2022年12月23日金曜日

重層的支援体制整備事業とは

社会福祉法では,市町村は,地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制を整備するため,重層的支援体制整備事業を行うことができる,と規定しています。

 

事業のコンセプトは,「つながり続ける支援体制の構築」です。

 

事業の内容は,以下のとおりです。

 

・包括的相談支援事業

・参加支援事業

・地域づくり事業

・アウトリーチ等を通じた継続的支援事業

・多機関協働事業

 


社会福祉法では,地域福祉計画が規定されていますが,そのほかに,「重層的支援体制整備事業実施計画」の策定を市町村の努力義務として規定しています。


それでは,今日の問題です。


第34回・問題35 次の記述のうち,社会福祉法における地域福祉の推進に関する規定として,適切なものを2つ選びなさい。

1 国及び地方公共団体は,関連施策との連携に配慮して,包括的な支援体制の整備のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 都道府県は,その区域内においてあまねく福祉サービス利用援助事業が実施されるために必要な事業を行うものとする。

3 都道府県社会福祉協議会は,その区域内における地域福祉の推進のための財源として,共同募金を実施することができる。

4 市町村は,子ども・障害・高齢・生活困窮の一部の事業を一体のものとして実施することにより,地域生活課題を抱える地域住民に対する支援体制等を整備する重層的支援体制整備事業を実施することができる。

5 市町村社会福祉協議会は,市町村地域福祉計画を策定するよう努めなければならない。


今のところ(2022年12月)で,重層的支援体制整備事業が出題された唯一の問題です。


今後は,事業の内容も出題されてくることが予測されます。


そでは解説です。


1 国及び地方公共団体は,関連施策との連携に配慮して,包括的な支援体制の整備のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。


これがまず1つめの正解です。


義務規定なのか,努力義務規定なのか,悩むところですが,消去法でこれが残るように問題が作られています。


2 都道府県は,その区域内においてあまねく福祉サービス利用援助事業が実施されるために必要な事業を行うものとする。


第二種社会福祉事業である福祉サービス利用援助事業は,日常生活自立支援事業として,都道府県社会福祉協議会が実施します。


3 都道府県社会福祉協議会は,その区域内における地域福祉の推進のための財源として,共同募金を実施することができる。


共同募金を行うことができるのは,共同募金会のみです。


4 市町村は,子ども・障害・高齢・生活困窮の一部の事業を一体のものとして実施することにより,地域生活課題を抱える地域住民に対する支援体制等を整備する重層的支援体制整備事業を実施することができる。


これが2つめの正解です。これも実施は,義務なのか,努力義務なのか,任意なのか,悩むところです。


しかし,消去法で残ります。


5 市町村社会福祉協議会は,市町村地域福祉計画を策定するよう努めなければならない。


市町村地域福祉計画を作成するよう努めなければならないのは,市町村です。


ということで,正解となった,選択肢1と4が残ります。


正解するのに重要なことは,持っている知識を使って,消去できるものは確実に消去することです。


消去できないと正解することができません。

最新の記事

子ども・子育て支援法

  子ども・子育て支援法は,これまでにも出題されてきましたが,正式に出題基準に含まれたのは,第37回国家試験です。 子ども・子育て支援制度は,市町村が実施主体になっています。 支給申請は,市町村に対して行います。 児童福祉法には,入所系があるので都道府県の役割がありますが,子ども...

過去一週間でよく読まれている記事