2022年12月9日金曜日

ヒラリーとウェルマン

回は,ヒラリー(HilleryG.)とウェルマン(WellmanB.)を取り上げたいと思います。

 

ヒラリーの業績は,さまざまなコミュニティの定義を分析した結果,それらに共通するものとして

・社会的相互作用

・空間の限定

・共通の絆

 

があることを発見したことです。

 

時代は進み,交通や通信機器が発達していきます。

 

ウェルマンの業績は,「空間の限定」に縛られない新しいコミュニティが存在することを発見したことです。これを「コミュニティ解放論」といいます。

 

現代では,SNSの中でのつながり,お気に入りの芸能人のコンサートなら全国どこにでも出かける熱狂的なファン,などが存在します。

 

ヒラリーが発見した「空間の限定」に縛られないコミュニティは,世の中にはいっぱい存在しています。

 

それでは今日の問題です。

 

24回・問題32 コミュニティに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 マッキーヴァー(MaclverR.)は,国家はアソシエーションであり,家族はコミュニティであるとした。

2 ベヴァリッジ(BeveridgeW.)は,5つの巨悪と呼ばれる人々のニーズのうち,窮乏に対してはコミュニティによる対策が有効であるとした。

3 ウェルマン(WellmanB.)は,コミュニティの定義の多くが社会的相互作用と共通の絆から成り立っているとした。

4 ヒラリー(HilleryG.)は,都市化はコミュニティを近隣社会から解放し,地域という空間的枠組みを超えたネットワーク形成を促すとした。

5 パットナム(PutnamR.)は,ソーシャル・キャピタルを,個人間のつながりである社会的ネットワークとそこから生じる互酬性と信頼性の規範が強くかかわっているとした。

 

苦手な人なら,見るのもいやだと思う問題かもしれません。

 

それでは解説です。

 

3 ウェルマン(WellmanB.)は,コミュニティの定義の多くが社会的相互作用と共通の絆から成り立っているとした。

 

4 ヒラリー(HilleryG.)は,都市化はコミュニティを近隣社会から解放し,地域という空間的枠組みを超えたネットワーク形成を促すとした。

 

この2つは入れ替えているものです。

 

それを戻すと,以下の文章となります。

 

ヒラリー(HilleryG.)は,コミュニティの定義の多くが社会的相互作用と共通の絆から成り立っているとした。

 

ウェルマン(WellmanB.)は,都市化はコミュニティを近隣社会から解放し,地域という空間的枠組みを超えたネットワーク形成を促すとした。

 

今なら参考書に書かれているものですが,ウェルマンが国家試験に登場したのは,この時が初めてです。

 

この問題を目にした人は今よりもさらに難しく思ったことでしょう。

 

それではこのほかのものも解説します。

 

1 マッキーヴァー(MaclverR.)は,国家はアソシエーションであり,家族はコミュニティであるとした。

 

マッキーバーは,これに何度も出題されているおなじみの人です。

 

マッキーバーのコミュニティ論の特徴は,家族をアソシエーションに分類したことです。

 

2 ベヴァリッジ(BeveridgeW.)は,5つの巨悪と呼ばれる人々のニーズのうち,窮乏に対してはコミュニティによる対策が有効であるとした。

 

ベヴァリッジはマッキーバーよりも出題回数が多い超おなじみです。

 

ベヴァリッジは,5大巨悪(5つの巨人)を以下の方法で根絶することを考えました。

 

窮乏  社会保険制度

疾病  保健・医療制度

無知  教育・科学制度

不潔  住宅・環境制度

無為(怠惰)  労働・完全雇用制度

 

5 パットナム(PutnamR.)は,ソーシャル・キャピタルを,個人間のつながりである社会的ネットワークとそこから生じる互酬性と信頼性の規範が強くかかわっているとした。

 

これが正解です。パットナムの名前は覚えなくても良いので,ソーシャル・キャピタルは必ず覚えておきたいです。

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