2022年12月27日火曜日

社会福祉連携推進法人とは

社会福祉連携推進法人は,令和2年の社会福祉法の改正で創設されたものです。

 

社会福祉連携推進法人は,社会福祉連携推進業務を行うことを目的として設立される一般社団法人です。

 

制度創設の背景には,事業規模が小さい法人は収益も小さいことがあります。

 

厚生労働省のホームページでは,以下のように書かれています。

 

社会福祉連携推進法人は、社会福祉法人等が社員となり、福祉サービス事業者間の連携・協働を図るための取組等を行う新たな法人制度です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20378.html

 

〈社会福祉法の規定〉

(社会福祉連携推進業務)

●地域福祉の推進に係る取組を社員が共同して行うための支援

●災害が発生した場合における社員(社会福祉事業を経営する者に限る)が提供する福祉サービスの利用者の安全を社員が共同して確保するための支援

●社員が経営する社会福祉事業の経営方法に関する知識の共有を図るための支援

●資金の貸付けその他の社員(社会福祉法人に限る)が社会福祉事業に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援として厚生労働省令で定めるもの

●社員が経営する社会福祉事業の従事者の確保のための支援及びその資質の向上を図るための研修

●社員が経営する社会福祉事業に必要な設備又は物資の供給

 

※社会福祉連携推進法人は,社会福祉事業を行うことができません。

 

※社会福祉連携推進法人の認定を行う所轄庁は,社会福祉法人の所轄庁と同じです。

 

(所轄庁)

第三十条 社会福祉法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地の都道府県知事とする。ただし、次の各号に掲げる社会福祉法人の所轄庁は、当該各号に定める者とする。

一 主たる事務所が市の区域内にある社会福祉法人(次号に掲げる社会福祉法人を除く。)であつてその行う事業が当該市の区域を越えないもの 市長(特別区の区長を含む。以下同じ。)

二 主たる事務所が指定都市の区域内にある社会福祉法人であつてその行う事業が一の都道府県の区域内において二以上の市町村の区域にわたるもの及び第百九条第二項に規定する地区社会福祉協議会である社会福祉法人 指定都市の長

2 社会福祉法人でその行う事業が二以上の地方厚生局の管轄区域にわたるものであつて、厚生労働省令で定めるものにあつては、その所轄庁は、前項本文の規定にかかわらず、厚生労働大臣とする。

 

それでは,今日の問題です。

 

19回・問題6 社会福祉法における社会福祉法人の解散と合併に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 社会福祉法人は,学校法人や宗教法人など社会福祉法人以外の法人とも合併することができる。

2 社会福祉法人が他の社会福祉法人と合併する場合,合併が効力を生じる時期は,合併によって消滅する社会福祉法人の解散を所轄庁が認可した日からである。

3 合併によって設立した社会福祉法人は,合併によって消滅した社会福祉法人の一切の権利義務を承継する。

4 社会福祉法上所轄庁の解散命令は,社会福祉法人の解散事由として定められていないが,破産については,その事由の一つとして定められている。

5 社会福祉法人が解散したとき,定款中に定めがあれば,解散した法人の残余財産は,社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者以外の者にも帰属させることができる。

 

社会福祉連携推進法人に関する問題だと思った人もいるでしょう。

 

残念ながら,現時点(202212月)ではまだ国家試験に出題されたことがありません。

 

事業規模が小さい社会福祉法人は収益も小さく経営基盤の弱いことから,合併が推奨された時期もあります。しかし,それほど合併が進まなかったこともあり,社会福祉連携推進法人が創設されました。

 

しかし,合併で経営を安定化する経営手法はもちろん残っているので,この問題を選びました。

 

それでは,解説です。

 

1 社会福祉法人は,学校法人や宗教法人など社会福祉法人以外の法人とも合併することができる。

 

社会福祉法人が合併できるのは,ほかの社会福祉法人のみです。

 

2 社会福祉法人が他の社会福祉法人と合併する場合,合併が効力を生じる時期は,合併によって消滅する社会福祉法人の解散を所轄庁が認可した日からである。

 

合併の効力を生じるのは,登記した日からです。

 

3 合併によって設立した社会福祉法人は,合併によって消滅した社会福祉法人の一切の権利義務を承継する。

 

合併によって新設された社会福祉法人は,合併によって消滅した社会福祉法人の一切の権利義務を承継します。

 

4 社会福祉法上所轄庁の解散命令は,社会福祉法人の解散事由として定められていないが,破産については,その事由の一つとして定められている。

 

社会福祉法人の解散事由には以下のものがあります。

 

●評議員会の決議

●定款に定めた解散事由の発生

●目的たる事業の成功の不能

●合併(合併により当該社会福祉法人が消滅する場合に限る。)

●破産手続開始の決定

●所轄庁の解散命令

 

5 社会福祉法人が解散したとき,定款中に定めがあれば,解散した法人の残余財産は,社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者以外の者にも帰属させることができる。

 

定款中に残余財産の帰属すべき者の規定を設ける場合は,社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者であることが必要です。

 

なお,厚生労働省の調査によると,合併の理由で最も多かったのは,「業績不振法人の救済のため」だったそうです。

 

積極的な理由は少なかったようです。

社会福祉連携推進法人の運営等について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000817539.pdf

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