社会福祉協議会は,社会福祉法に規定されています。
(都道府県社会福祉協議会) 第百十条 都道府県社会福祉協議会は、都道府県の区域内において次に掲げる事業を行うことにより地域福祉の推進を図ることを目的とする団体であつて、その区域内における市町村社会福祉協議会の過半数及び社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものとする。 一 前条第一項各号に掲げる事業であつて各市町村を通ずる広域的な見地から行うことが適切なもの 二 社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成及び研修 三 社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言 四 市町村社会福祉協議会の相互の連絡及び事業の調整 |
以下の市町村社会福祉協議会と比較するといかにも都道府県レベルの内容になっていることを覚えておきたいです。
特に「社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成及び研修」は,都道府県レベルの典型例で,地方公共団体の都道府県にも同じことが言えます。
専門職の養成や研修の内容なのに,「市町村が行う」という出題があった場合,その多くは誤りです。
一 社会福祉を目的とする事業の企画及び実施 二 社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助 三 社会福祉を目的とする事業に関する調査、普及、宣伝、連絡、調整及び助成 四 前三号に掲げる事業のほか、社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業 |
市町村社会福祉協議会の業務は,いかにも市町村らしい内容だと思いませんか。
この違いがわかれば,地方公共団体としての都道府県と市町村の役割について出題されたときは,迷わなくて済みます。
市町村は地域住民に対して直接的なサービスにかかわるものを担います。
都道府県は,市町村が行うには非効率的なものを行います。それが,専門職の養成であったり,研修であったり,ということになります。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題37 市町村社会福祉協議会に関して,社会福祉法に規定されている次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの苦情を解決するための運営適正化委員会を設置する。
2 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し,制度では対応できないニーズに対応する。
3 役員の総数の3分の1を関係行政庁の職員で構成しなければならない。
4 第一種社会福祉事業の経営に関する指導及び助言を行う。
5 市町村の区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する。
都道府県社会福祉協議会の問題だと思ったでしょう?
それでは,解説です。
1 福祉サービスの苦情を解決するための運営適正化委員会を設置する。
運営適正化委員会を設置するのは,都道府県社会福祉協議会です。
2 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し,制度では対応できないニーズに対応する。
生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の根拠法は,介護保険法です。
3 役員の総数の3分の1を関係行政庁の職員で構成しなければならない。
第109条の5 関係行政庁の職員は、市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会の役員となることができる。ただし、役員の総数の5分の1を超えてはならない。 |
この規定は,都道府県社会福祉協議会も同じです。
4 第一種社会福祉事業の経営に関する指導及び助言を行う。
第一種社会福祉事業の経営に限らず,指導及び助言を行うのは都道府県社会福祉協議会です。
5 市町村の区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する。
これが正解です。これは何度も何度も出題されているので,確実に覚えておきたいです。