サービス付き高齢者向け住宅事業(サ高住)を規定する高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)は,国土交通省と厚生労働省が共同で所管する法律です。
国土交通省がかかわるのは不思議な感じがするかもしれませんが,賃貸住宅は国土交通省が所管しているので,厚生労働省とともに国土交通省もかかわりがあります。
近年,サービス付き高齢者向け住宅事業(サ高住)が急速に増加していることもあり,高齢者住まい法の出題は,サ高住が中心です。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題30 高齢者の居住の安定確保に関する法律に規定されている事項として,正しいものを1つ選びなさい。
1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。
4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。
かなり難しい問題だと思います。
それでは解説です。
1 高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とする。
高齢者住まい法が目的とするのは,高齢者の居住の安定の確保を図ることです。
高齢者の移動上や施設利用上の利便性や安全性の向上を目的とするのは,バリアフリー法です。
2 国土交通大臣及び厚生労働大臣は,高齢者の居住の安定の確保に関する基本的な方針を定める。
これが正解です。
高齢者住まい法は,国土交通省と高齢労働省が共同で所管する法律です。
そのため,基本指針を策定するのは,国土交通大臣と高齢労働大臣だということになります。
3 都道府県は,高齢者の賃貸住宅への入居促進のため,居住支援協議会を組織する。
この問題の難易度を上げている理由は,この選択肢でしょう。
居住支援協議会は,「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(住宅セーフティネット法)です。
この法律は,住宅確保要配慮者(低所得者,高齢者,障害者,被災者など)に対する賃貸住宅の供給の促進を目的とするものです。
4 都道府県は,自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給する。
これも根拠法が異なります。
正しくは,被災者生活再建支援法です。しかし,これは対応可能です。
覚えておいてほしいヒントがあります。法律名は,法の内容を示すということです。
自然災害により被災した高齢者に住宅再建のための支援金を支給することが目的なら,法律名に必ずその内容を示すものが入るはずです。
そこから高齢者住まい法ではないと推測することが可能です。
5 都道府県は,サービス付き高齢者向け住宅の認可を行う。
これは誤りですが,確実に覚えておいてほしいものです。
有料老人ホーム等が都道府県知事に登録することでサービス付き高齢者向け住宅となります。認可制ではなく,登録制です。