2022年12月19日月曜日

知らない報告書が出題されたなら・・・

国家試験ではさまざまな報告書が出題されます。


イギリスの報告書やレイン報告など,歴史上の報告書は勉強しないと正解するのは困難ですが,現代社会の報告書の多くは知識がなくても正解できるものがほとんどです。


とにかく焦ることなく,落ち着いて問題を読むことが大切です。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題34 地域福祉の在り方に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 社会保障審議会の「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について」(2002年(平成14年))は,専門のコンサルタントに計画の策定を請け負わせるべきであると提言した。

2 厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」(2008年(平成20年))は,制度の対象とならない生活課題は,行政が原則として関与せず,住民同士の支え合いによって解決していく必要があると提言した。

3 社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」(2013年(平成25年))は,生活保護受給者が増加する中で,中間的就労を通じた生活困窮者の社会参加よりも一般就労を重視すべきであると提言した。

4 厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年(平成29年))は,地域共生社会の実現に向けて,地域住民が多機関協働の中核を担う必要があると提言した。

5 厚生労働省の「地域共生社会推進検討会最終とりまとめ」(2019年(令和元年))は,既存の地域資源と狭間のニーズを持つ者との間を取り持つ,新たな参加支援の機能が重要であると提言した。


この問題で出題されている報告書は,5つあります。


1 市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について

2 これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書

3 生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書

4 地域力強化検討会最終とりまとめ

5 地域共生社会推進検討会最終とりまとめ


とても盛沢山です。びっくりすると正解することができません。


びっくりして混乱することなく内容をしっかり読み込めば,正解以外の選択肢は正解になることはないだろうと推測可能です。


それでは,解説です。


1 社会保障審議会の「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について」(2002年(平成14年))は,専門のコンサルタントに計画の策定を請け負わせるべきであると提言した。


今の世の中にはどんなことが潜んでいるかはわかりませんが,もしこの報告書の内容が本当なら,報告書を取りまとめた委員の中に専門のコンサルタントに便宜を図った者がいるのではないと疑われても仕方がないところです。


そのくらい危うい内容です。


2 厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会報告書」(2008年(平成20年))は,制度の対象とならない生活課題は,行政が原則として関与せず,住民同士の支え合いによって解決していく必要があると提言した。


行政が原則として関与せず,といった内容もおかしなものでしょう。


3 社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会報告書」(2013年(平成25年))は,生活保護受給者が増加する中で,中間的就労を通じた生活困窮者の社会参加よりも一般就労を重視すべきであると提言した。


一般就労も重要かもしれませんが,一般就労できない人が大半です。


4 厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年(平成29年))は,地域共生社会の実現に向けて,地域住民が多機関協働の中核を担う必要があると提言した。


福祉に関して素人である地域住民が多機関協働の中核を担うことができるはずがありません。


5 厚生労働省の「地域共生社会推進検討会最終とりまとめ」(2019年(令和元年))は,既存の地域資源と狭間のニーズを持つ者との間を取り持つ,新たな参加支援の機能が重要であると提言した。


これが正解です。


ほかの選択肢から比べると明らかに自然にスムーズです。


この感覚がわかる人は,国家試験におそらく合格できるのではないかと思います。


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