2022年12月8日木曜日

社会福祉協議会の基本的機能

1962(昭和37)年に出された「社会福祉協議会基本要項」に関連する出題は結構多いです。

 

第3回国試で既に登場しています。

 

第3回・問題81 社会福祉協議会に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 福祉活動指導員は,市町村社会福祉協議会に配属され,地域福祉の推進にあたる。

2 1962(昭和37)年に策定された「社会福祉協議会基本要項」は,社会福祉協議会の運営に関する官民一体の原則を明記した。

3 市町村社会福祉協議会の法制化は,在宅福祉サービスが実体化してきた1975(昭和50)年に社会福祉事業法が改正されて行われた。

4 市町村社会福祉協議会は,法律により,当該市町村区域内の社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものでなければならない。

5 日本の社会福祉協議会は,国民の慈善意識の高揚と富国強兵を補完するために,1908(明治41)年,内務省により設立された。

 

今でもそのまま出題されそうな問題ですが,出題の仕方がせこいです。

 

これは今日の問題ではありませんが,一応解説します。

 

1 福祉活動指導員は,市町村社会福祉協議会に配属され,地域福祉の推進にあたる。

 

市町村社協に配属されるのは,福祉活動専門員です。福祉活動指導員が配属されるのは都道府県社協です。

 

2 1962(昭和37)年に策定された「社会福祉協議会基本要項」は,社会福祉協議会の運営に関する官民一体の原則を明記した。

 

社会福祉協議会基本要項で示されたのは「住民主体の原則」です。

 

3 市町村社会福祉協議会の法制化は,在宅福祉サービスが実体化してきた1975(昭和50)年に社会福祉事業法が改正されて行われた。

 

せこいと言ったのはこの選択肢です。

 

市町村社協が法制化されたのは,社会福祉事業法の改正であることは適切ですが,1975年の改正ではなく,1983年の改正の時です。今はこんな出題はしません。

 

4 市町村社会福祉協議会は,法律により,当該市町村区域内の社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものでなければならない。

 

これが正解です。

 

これまでに何度同じような出題がされてきたことでしょう。

 

この問題では正解となりましたが,多くの場合は,誤りとして出題されています。

 

更生保護事業のところをほかのものに変える。

過半数が参加するものを3分の1や3分の2と変える。

 

といったように出題されています。

 

5 日本の社会福祉協議会は,国民の慈善意識の高揚と富国強兵を補完するために,1908(明治41)年,内務省により設立された。

 

1908(明治41)年,内務省により設立されたのは,全国社会福祉協議会の源流の一つである中央慈善協会です。

 

初代会長は,渋沢栄一が務めました。

 

それでは今日の問題です。

 

30回・問題32 社会福祉協議会の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 1951年(昭和26年)に,現在の全国社会福祉協議会の前身となる中央慈善協会が設立された。

2 1962年(昭和37年)に,全国社会福祉協議会は「社会福祉協議会基本要項」の中で,社会福祉協議会の基本的機能はコミュニティ・オーガニゼーションの方法を地域社会に適用することであるとした。

3 1979年(昭和54年)に,全国社会福祉協議会は「在宅福祉サービスの戦略」の中で,ボランティアが行政サービスを代替すべきであると提言した。

4 1983年(昭和58年)に,都道府県社会福祉協議会による事業が拡大する中で,都道府県社会福祉協議会が法的に位置づけられた。

5 1992年(平成4年)に,全国社会福祉協議会は「新・社会福祉協議会基本要項」の中で,「住民主体の原則」を初めて明文化した。

 

正解は,選択肢2です。

2 1962年(昭和37年)に,全国社会福祉協議会は「社会福祉協議会基本要項」の中で,社会福祉協議会の基本的機能はコミュニティ・オーガニゼーションの方法を地域社会に適用することであるとした。

 

社会福祉協議会基本要項が出題される時にはそれまでは「住民主体の原則」に関するものだったので,これが正解になったのはちょっとびっくりでした。

 

このようにして,覚えることが必要なものがどんどん増えていくのです。

 

社会福祉協議会基本要項の記述

社会福祉協議会はひろく住民の福祉増進を目的とする組織であるので,その機能は広範かつ多岐にわたることはいうまでもない。しかし社会福祉協議会の基本的機能はコミュニティ・オーガニゼーションの方法を地域社会にたいして総合的に適用することである。

 

ロス(Ross,M.)のコミュニティ・オーガニゼーションの理論が日本の社会福祉協議会の活動に影響を受けていることがよく現われていると思います。

 

それでは,正解以外を解説します。

 

1 1951年(昭和26年)に,現在の全国社会福祉協議会の前身となる中央慈善協会が設立された。

 

中央慈善協会が設立されたのは,1908(明治41)年です。

 

3 1979年(昭和54年)に,全国社会福祉協議会は「在宅福祉サービスの戦略」の中で,ボランティアが行政サービスを代替すべきであると提言した。

 

在宅福祉サービスの戦略を知らずともこの選択肢は消去できるでしょう。

 

4 1983年(昭和58年)に,都道府県社会福祉協議会による事業が拡大する中で,都道府県社会福祉協議会が法的に位置づけられた。

 

1983年(昭和58年)に法制化されたのは,市町村社会福祉協議会です。都道府県社会福祉協議会は,1951(昭和26)年に社会福祉事業法ができた時に全社協とともに法制化されています。

 

5 1992年(平成4年)に,全国社会福祉協議会は「新・社会福祉協議会基本要項」の中で,「住民主体の原則」を初めて明文化した。

 

「住民主体の原則」を初めて明文化したのは,1962(昭和37)年の「社会福祉協議会基本要項」です。

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