中央慈善協会とは,全国社会福祉協議会の源流の一つです。
国内外の救済事業の調査,慈善団体や慈善家の連絡調整・指導奨励事業のほか,救済事業の専門誌『慈善事業』を発刊しました。
救護法の創設,実施に尽力した渋沢栄一は,現在の全国社会福祉協議会(全社協)の源流である中央慈善協会の初代会長を務めています。
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全国社協 |
都道府県社協 |
市町村社協 |
1908年 (明治41年) |
中央慈善協会設立 初代会長は,渋沢栄一 |
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1921年 (大正10年) |
社会事業協会 |
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1924年 (大正13年) |
中央社会事業協会 |
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1947年 (昭和22年) |
日本社会事業協会 全日本私設社会事業連盟との合併による |
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1951年 (昭和26年) |
中央社会福祉協議会 日本社会事業協会,全日本民生委員連盟,同胞援護会の合併による |
都道府県社会福祉協議会設立 |
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同年 |
社会福祉事業法によって,法制化 |
社会福祉事業法によって,法制化 |
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1952年 (昭和27年) |
全国社会福祉協議会連合会 |
厚生省通知によって,設立が始まる |
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1955年 (昭和30年) |
全国社会福祉協議会 |
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1962年 (昭和37年) |
『社会福祉協議会基本要項』で「住民主体の原則」が示される |
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1983年 (昭和58年) |
社会福祉事業法の改正で,法制化 |
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1992年 (平成4年) |
『新・社会福祉協議会基本要項』で,「公私協働の原則」が示される |
それでは,今日の問題です。
第26回・問題33 地域福祉の発展過程に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 スラム地区などにおいて隣保館が普及したことが,隣保相扶を強調する恤救規則の制定につながった。
2 近代日本の代表的な労働運動家である片山潜が,東京の神田に開設した善隣館は,日本における友愛訪問活動の代表的な事例の一つである。
3 慈善事業を組識化した中央慈善協会は,当時の慈善救済活動の調査や団体相互の連絡などを行い,現在の共同募金会の源流とされている。
4 岡山県知事の笠井信一が創設した済世顧問制度は,石井十次による岡山孤児院での取組を参考にして制度化された。
5 民間の篤志家が個別的援助と社会測量を行う方面委員制度は,小河滋次郎がドイツのエルバーフェルト制度を参考に考案した制度とされている。
知識がないと5分の1以上の確率で正解することはできないでしょう。
正解は,選択肢5です。
5 民間の篤志家が個別的援助と社会測量を行う方面委員制度は,小河滋次郎がドイツのエルバーフェルト制度を参考に考案した制度とされている。
方面委員制度は,大阪府知事の林市蔵が小河滋次郎の協力でつくられました。
岡山県でつくられた再生顧問制度とともにドイツのエルバーフェルト制度を参考にしてつくられたものです。
それでは,ほかの選択肢を解説します。
1 スラム地区などにおいて隣保館が普及したことが,隣保相扶を強調する恤救規則の制定につながった。
隣保館とは,セツルメントのことです。
恤救規則ができたときには,世界初とされるイギリスのトインビー・ホールもまだできていません。
2 近代日本の代表的な労働運動家である片山潜が,東京の神田に開設した善隣館は,日本における友愛訪問活動の代表的な事例の一つである。
片山潜が開設したのは,キングスレー館です。
3 慈善事業を組識化した中央慈善協会は,当時の慈善救済活動の調査や団体相互の連絡などを行い,現在の共同募金会の源流とされている。
今日のテーマの中央慈善協会の登場です。
中央慈善協会は,現在の全国社会福祉協議会の源流の一つです。
4 岡山県知事の笠井信一が創設した済世顧問制度は,石井十次による岡山孤児院での取組を参考にして制度化された。
先述のように,岡山県の済世顧問制度と大阪府の方面委員制度は,ともにドイツのエルバーフェルト制度を参考にして制度化しました。