2022年12月15日木曜日

中央慈善協会とは?

中央慈善協会とは,全国社会福祉協議会の源流の一つです。

国内外の救済事業の調査,慈善団体や慈善家の連絡調整・指導奨励事業のほか,救済事業の専門誌『慈善事業』を発刊しました。


救護法の創設,実施に尽力した渋沢栄一は,現在の全国社会福祉協議会(全社協)の源流である中央慈善協会の初代会長を務めています。

  

 

全国社協

都道府県社協

市町村社協

1908

(明治41年)

中央慈善協会設立

初代会長は,渋沢栄一

1921

(大正10年)

社会事業協会

1924

(大正13年)

中央社会事業協会

1947

(昭和22年)

日本社会事業協会

全日本私設社会事業連盟との合併による

1951

(昭和26年)

中央社会福祉協議会

日本社会事業協会,全日本民生委員連盟,同胞援護会の合併による

都道府県社会福祉協議会設立

同年

社会福祉事業法によって,法制化

社会福祉事業法によって,法制化

1952

(昭和27年)

全国社会福祉協議会連合会

厚生省通知によって,設立が始まる

1955

(昭和30年)

全国社会福祉協議会

1962

(昭和37年)

『社会福祉協議会基本要項』で「住民主体の原則」が示される

1983

(昭和58年)

社会福祉事業法の改正で,法制化

1992

(平成4年)

『新・社会福祉協議会基本要項』で,「公私協働の原則」が示される

 

それでは,今日の問題です。

 

26回・問題33 地域福祉の発展過程に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 スラム地区などにおいて隣保館が普及したことが,隣保相扶を強調する恤救規則の制定につながった。

2 近代日本の代表的な労働運動家である片山潜が,東京の神田に開設した善隣館は,日本における友愛訪問活動の代表的な事例の一つである。

3 慈善事業を組識化した中央慈善協会は,当時の慈善救済活動の調査や団体相互の連絡などを行い,現在の共同募金会の源流とされている。

4 岡山県知事の笠井信一が創設した済世顧問制度は,石井十次による岡山孤児院での取組を参考にして制度化された。

5 民間の篤志家が個別的援助と社会測量を行う方面委員制度は,小河滋次郎がドイツのエルバーフェルト制度を参考に考案した制度とされている。

 

知識がないと5分の1以上の確率で正解することはできないでしょう。

 

正解は,選択肢5です。

 

5 民間の篤志家が個別的援助と社会測量を行う方面委員制度は,小河滋次郎がドイツのエルバーフェルト制度を参考に考案した制度とされている。

 

方面委員制度は,大阪府知事の林市蔵が小河滋次郎の協力でつくられました。

 

岡山県でつくられた再生顧問制度とともにドイツのエルバーフェルト制度を参考にしてつくられたものです。

 

それでは,ほかの選択肢を解説します。

 

1 スラム地区などにおいて隣保館が普及したことが,隣保相扶を強調する恤救規則の制定につながった。

 

隣保館とは,セツルメントのことです。

 

恤救規則ができたときには,世界初とされるイギリスのトインビー・ホールもまだできていません。

 

2 近代日本の代表的な労働運動家である片山潜が,東京の神田に開設した善隣館は,日本における友愛訪問活動の代表的な事例の一つである。

 

片山潜が開設したのは,キングスレー館です。

 

3 慈善事業を組識化した中央慈善協会は,当時の慈善救済活動の調査や団体相互の連絡などを行い,現在の共同募金会の源流とされている。

 

今日のテーマの中央慈善協会の登場です。

 

中央慈善協会は,現在の全国社会福祉協議会の源流の一つです。

 

4 岡山県知事の笠井信一が創設した済世顧問制度は,石井十次による岡山孤児院での取組を参考にして制度化された。

 

先述のように,岡山県の済世顧問制度と大阪府の方面委員制度は,ともにドイツのエルバーフェルト制度を参考にして制度化しました。

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