2024年10月5日土曜日

更生緊急保護について

 

更生緊急保護
刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後,親族からの援助を受けることができず,若しくは公共の衛生福祉に関する機関その他の機関から医療,宿泊,職業その他の保護を受けることができない場合又はこれらの援助若しくは保護のみによっては改善更生することができないと認められる場合に,緊急に保護する制度です。

 

期間
6か月を超えない範囲内です。ただし,必要だと認められる場合は,金品の給与又は貸与及び宿泊場所の供与は6か月,それら以外は1年6か月を超えない範囲で延長することができます。

 

更生緊急保護の対象

・懲役,禁錮又は拘留の刑の執行を終わった者

・懲役,禁錮又は拘留の刑の執行の免除を得た者

・懲役又は禁錮につき刑の全部の執行猶予の言渡しを受け,その裁判が確定するまでの者

・懲役又は禁錮につき刑の一部の執行猶予の言渡しを受け,その猶予の期間中保護観察に付されなかった者であって,その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わったもの

・検察官が直ちに訴追を必要としないと認めた者

・罰金又は科料の言渡しを受けた者

・労役場から出場し,又は仮出場を許された者

・少年院から退院し,又は仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く)

 

更生緊急保護は,保護観察に付された者を対象としていません。

 

その理由は,保護観察に付された者には,「応急の救護」という制度で対応するためです。

 

なお,更生緊急保護は,本人の申し出があり,保護観察所の長が必要だと認めた場合に限り実施されます。

保護観察所の長が必要だと思っていても本人の申し出がないと実施されません。

 

それでは,今日の問題です。

 

第29回・問題148

更生緊急保護の対象者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。

5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。

 

なかなか高度な問題です。これらのうちから,保護観察に付される者を探し出さないといけないからです。

 

それでは,解説です。

 

1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

 

起訴猶予を受けた者は,対象です。

 

2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

 

罰金刑の言渡しを受けた者は,対象です。

 

3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

 

執行猶予の言渡しを受けた者は,対象です。

 

ただし,執行猶予でも保護観察付の執行猶予の場合は,対象となりません。

 

4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。

 

これが正解です。

 

仮釈放中は,必ず保護観察に付されるからです。

 

5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。

 

刑の執行を終わった者は,対象です。

 

〈今日のポイント〉

 

更生緊急保護は,保護観察に付されている者は対象としません。

 

保護観察に付されている者には,応急の救護があるからです。

2024年10月4日金曜日

更生保護法の目的

 

今回は,更生保護法の目的です。

 

更生保護法の目的

犯罪をした者及び非行のある少年に対し,社会内において適切な処遇を行うことにより,再び犯罪をすることを防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者が善良な社会の一員として自立し,改善更生することを助けるとともに,恩赦の適正な運用を図るほか,犯罪予防の活動の促進等を行い,もって,社会を保護し,個人及び公共の福祉を増進すること。

 

社会内において適切な処遇を行うことは,社会内処遇といいます。

 

更生保護制度の中心は,保護観察制度です。

 

保護観察は,社会内で行われるのは,この目的があるからです。

 

更生保護施設に入所したとしても,更生保護施設は矯正施設ではないので,社会内処遇であることには変わりません。

 

それでは,今日の問題です。

 

第29回・問題147

更生保護法の目的に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 犯罪をした者及び非行のある少年に対して,矯正施設内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,自立と改善更生を助ける。

2 犯罪をした者及び非行のある少年に対して,社会内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,自立と改善更生を助ける。

3 犯罪及び非行を行うおそれのある者に対して,適切な予防活動を行うことにより犯罪を防ぎ,又はその非行性をなくし,自立と改善更生を助ける。

4 犯罪をした者に対して,本人との契約に基づき,適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,自立と改善更生を助ける。

5 犯罪をした者に対して,矯正施設及び社会内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,自立と改善更生を助ける。

 

この問題のように,同じような文章が並ぶ問題が時々見られますが,慎重に読まないとミスするので注意が必要です。

 

正解は,選択肢2です。

 

2 犯罪をした者及び非行のある少年に対して,社会内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,自立と改善更生を助ける。

 

正しく,「社会内において」となっています。

 

ほかの選択肢の誤りポイント

 

1 犯罪をした者及び非行のある少年に対して,矯正施設内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,自立と改善更生を助ける。

3 犯罪及び非行を行うおそれのある者に対して,適切な予防活動を行うことにより犯罪を防ぎ,又はその非行性をなくし,自立と改善更生を助ける。

4 犯罪をした者に対して,本人との契約に基づき,適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,自立と改善更生を助ける。

5 犯罪をした者に対して,矯正施設及び社会内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,自立と改善更生を助ける。

 

この問題とそっくりな問題がかなり前に出題されたことがあります。

 

第22回・問題147 

保護観察の目的に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,本人の申出に基づき,社会内で適切な処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者の自立と改善更生を助ける。

2 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,矯正施設内で適切な処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者の自立と改善更生を助ける。

3 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,社会内で適切な処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者の自立と改善更生を助ける。

4 犯罪及び非行を行うおそれのある者に対し,予防的に社会内で適切な処遇を行うことにより,これらの者の自立と改善更生を助ける。

5 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,社会内で適切な処遇を行うことにより,これらの者が生業に就く機会を保障し,社会的に自立し改善更生することを助ける。

 

正解は,選択肢3です。

 

3 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,社会内で適切な処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者の自立と改善更生を助ける。

 

正しく,社会内となっています。

 

そのほかの選択肢の誤りポイントは,以下のとおりです。

 

1 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,本人の申出に基づき,社会内で適切な処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者の自立と改善更生を助ける。

2 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,矯正施設内で適切な処遇を行うことにより,再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者の自立と改善更生を助ける。

4 犯罪及び非行を行うおそれのある者に対し,予防的に社会内で適切な処遇を行うことにより,これらの者の自立と改善更生を助ける。

5 犯罪をした者及び非行のある少年に対し,社会内で適切な処遇を行うことにより,これらの者が生業に就く機会を保障し,社会的に自立し改善更生することを助ける。

 

保護観察は,本人との契約でも申し出でもなく,裁判所によって,保護観察に付された場合に実施されます。

2024年10月3日木曜日

特別遵守事項と専門的処遇プログラム

 

今回は,保護観察制度を学びます。

 

保護観察対象者は,すべての人が等しく守らなければならない「一般遵守事項」に加えて,遵守すべき特別の事項「特別遵守事項」が定められた場合,特別遵守事項を遵守しなければなりません。

 

一般遵守事項 ※全員が遵守すべき事項

・再び犯罪をすることがないよう,又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること。

・保護観察官又は保護司の呼出し又は訪問を受けたときは,これに応じ,面接を受けること。

・保護観察官又は保護司から,労働又は通学の状況,収入又は支出の状況,家庭環境,交友関係その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは,これに応じ,その事実を申告し,又はこれに関する資料を提示すること。

・速やかに,住居を定め,その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること(住居あるいは宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く)。

・転居又は七日以上の旅行をするときは,あらかじめ,保護観察所の長の許可を受けること。 など

 

特別遵守事項 ※個別に定められた場合に遵守する

・犯罪性のある者との交際,いかがわしい場所への出入り,遊興による浪費,過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。

・労働に従事すること,通学することその他の再び犯罪をすることがなく又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し,又は継続すること。

・七日未満の旅行,離職,身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について,緊急の場合を除き,あらかじめ,保護観察官又は保護司に申告すること。

・医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。

・法務大臣が指定する施設,保護観察対象者を監護すべき者の居宅その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって,宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。 など

 

このうちの「医学,心理学,教育学,社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇」が専門的処遇プログラムのことです。

 

専門的処遇プログラム

・性犯罪者処遇プログラム

・薬物再乱用防止プログラム

・暴力防止プログラム

・飲酒運転防止プログラム

 

特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助を行うために必要な指示その他の措置を取る場合,保護観察対象者の意思に反しないことを確認しなければなりません。

 

ただし,専門処遇プログラムの実施が,特別遵守事項として定められている場合は,意思を確認する必要はありません。

なお,薬物使用等の罪を犯した者が刑の一部の執行猶予に付された場合,猶予期間は,特別遵守事項として薬物乱用防止プログラムが定められます。

 

それでは,今日の問題です。

 

第33回・問題150

事例を読んで,保護観察に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Aさん(47歳,男性)は,覚醒剤取締法違反により懲役2年執行猶予4年の保護観察付きの刑の言渡しを受けた。今まで頻繁に転職を繰り返し就労経験に乏しく,現在も無職である。親の遺産で生活できており,経済的には今すぐ困窮するような状況ではない。薬物使用に関する罪悪感や後悔の念が薄いことが懸念されている。

1 Aさんの指導監督における,更生保護法が定める一般遵守事項としては,薬物再乱用防止プログラムを受けることが明記される。

2 Aさんは,薬物再乱用防止プログラムの実施期間中,簡易薬物検出検査を受けることまでは求められない。

3 Aさんへの指導監督において,保護観察官若しくは保護司は,収入又は支出の状況など,生活実態に関する資料の提出を求めることはできない。

4 Aさんのプライバシー保護のため,薬物再乱用防止プログラムには外部の関係機関(者)は関与することはできない。

5 薬物依存の改善に資する医療を受けるよう,必要な指示その他の措置をとる場合は,あらかじめ,Aさんの意思に反しないことを確認しなければならない。

 

今回は,丁寧に前説を書いたので,答えはすぐわかると思います。しかし,前説を読んでいなくても正解出来そうな問題でもあります。

 

それでは,解説です。

 

1 Aさんの指導監督における,更生保護法が定める一般遵守事項としては,薬物再乱用防止プログラムを受けることが明記される。

 

薬物再乱用防止プログラムを受けることは,特別遵守事項として定められます。

 

 

2 Aさんは,薬物再乱用防止プログラムの実施期間中,簡易薬物検出検査を受けることまでは求められない。

 

薬物再乱用防止プログラムは,簡易薬物検出検査を受けながら実施されます。

 

3 Aさんへの指導監督において,保護観察官若しくは保護司は,収入又は支出の状況など,生活実態に関する資料の提出を求めることはできない。

 

保護観察官若しくは保護司が収入又は支出の状況など,生活実態に関する資料の提出を求めることは,一般遵守事項として定められています。

 

4 Aさんのプライバシー保護のため,薬物再乱用防止プログラムには外部の関係機関(者)は関与することはできない。

 

薬物再乱用防止プログラムは,更生保護事業を営む者その他の適当な者が行うことができます。

 

5 薬物依存の改善に資する医療を受けるよう,必要な指示その他の措置をとる場合は,あらかじめ,Aさんの意思に反しないことを確認しなければならない。

 

これが正解です。

 

特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助を行うために必要な指示その他の措置を取る場合,保護観察対象者の意思に反しないことを確認しなければなりません。

 

ただし,専門処遇プログラムの実施が,特別遵守事項として定められている場合は,意思を確認する必要はありません。

2024年10月2日水曜日

医療観察制度

 

今回,医療観察法が定める医療観察制度を学びます。

 

法の目的

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し,その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより,継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって,その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り,もってその社会復帰を促進すること。

 

社会復帰が目的であることを忘れてはなりません。

 

医療観察制度の対象となる他害行為

殺人 強盗 放火 不同意性交等 不同意わいせつ 傷害

 

それでは,今日の問題です。

 

第33回・問題149

「医療観察法」が定める医療観察制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 精神保健観察は,刑法上の全ての犯罪行為に対して適用される制度である。

2 医療観察制度における医療は,法務大臣が指定する指定入院医療機関又は指定通院医療機関で行われる。

3 医療観察制度による処遇に携わる者は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者が円滑に社会復帰をすることができるように努めなければならない。

4 精神保健観察に付された者には,保護司によって「守るべき事項」が定められる。

5 精神保健観察に付される期間は,通院決定又は退院許可決定があった日から最長10年まで延長できる。

(注) 「医療観察法」とは,「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。

 

医療観察制度の処遇は,入院,あるいは通院によって行われます。

 

通院の場合は,治療を受けているかなどを確認する精神保健観察に付されます。

 

精神保健観察を行うのは,保護観察所に配置されている社会復帰調整官です。

 

それでは解説です。

 

1 精神保健観察は,刑法上の全ての犯罪行為に対して適用される制度である。

 

医療観察制度の対象となる重大な他害行為は,殺人,強盗,放火,不同意性交等,不同意わいせつ,傷害です。

 

2 医療観察制度における医療は,法務大臣が指定する指定入院医療機関又は指定通院医療機関で行われる。

 

指定医療機関の指定は,厚生労働大臣が行います。

 

なお,指定入院医療機関は,国,都道府県,特定地方独立行政法人が開設する病院のうちから指定されます。

 

指定通院医療機関は,そういった限定はありません。

 

3 医療観察制度による処遇に携わる者は,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者が円滑に社会復帰をすることができるように努めなければならない。

 

これが正解です。

 

法の目的を理解していれば,これを選べるのではないかと思います。

 

4 精神保健観察に付された者には,保護司によって「守るべき事項」が定められる。

 

医療観察制度の「守るべき事項」は,更生保護制度の一般遵守事項のように,対象者すべてが遵守するものです。特定の者に定められる特別遵守事項のようなものはありません。

 

〈守るべき事項〉

・一定の住居に居住すること。

・住居を移転し,又は長期の旅行をするときは,あらかじめ,保護観察所の長に届け出ること。

・保護観察所の長から出頭又は面接を求められたときは,これに応ずること。

 

 

5 精神保健観察に付される期間は,通院決定又は退院許可決定があった日から最長10年まで延長できる。

 

精神保健観察の期間は,当該決定があった日から起算して3年間です。ただし,裁判所は,2年を超えない範囲で延長することができます。

 

この場合の裁判所は,家庭裁判所ではなく,地方裁判所です。

2024年10月1日火曜日

少年司法制度について

 

少年司制度は,少年法,少年院法,少年鑑別所法などによって形成されています。

 

少年法の少年は,20歳未満と定められていますが,少年犯罪の増加や凶悪化があると,引き下げの声が高まります。

 

これまでに何度も引き下げが検討されてきましたが,成年年齢が18歳以上となった現在も少年法の少年は20歳のままです。

 

その代わりに,18歳,19歳の少年は,特定少年となり,18歳未満の少年とは異なる処遇が行われます。

 

見る人から見れば妥協の産物かもしれませんが,20歳を死守したのは,司法関係者のファインプレーだったと思います。

 

少年は性格の矯正を行うことで更生できる可能性があるからです。

 

少年法の目的

少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずること。

 

少年院法の目的

少年院の適正な管理運営を図るとともに、在院者の人権を尊重しつつ、その特性に応じた適切な矯正教育その他の在院者の健全な育成に資する処遇を行うことにより、在院者の改善更生及び円滑な社会復帰を図ること。

 

少年鑑別所法の目的

少年鑑別所の適正な管理運営を図るとともに、鑑別対象者の鑑別を適切に行うほか、在所者の人権を尊重しつつ、その者の状況に応じた適切な観護処遇を行い、並びに非行及び犯罪の防止に関する援助を適切に行うこと。

 

少年法と少年院法は,矯正教育が強調されていることが特徴です。

 

それでは,今日の問題です。

 

第33回・問題148

少年司法制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 少年法は,家庭裁判所の審判に付すべき少年として,犯罪少年,触法少年,虞犯少年,不良行為少年の4種類を規定している。

2 家庭裁判所は,18歳未満の少年については,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り,これを審判に付することができる。

3 少年鑑別所は,警察官の求めに応じ,送致された少年を一定期間収容して鑑別を行う施設である。

4 少年院は,保護処分若しくは少年院において懲役又は禁錮の刑の執行を受ける者に対し,矯正教育その他の必要な処遇を行う施設である。

5 家庭裁判所が決定する保護処分は,保護観察,児童自立支援施設又は児童養護施設送致,少年院送致,検察官送致の4種類である。

 

「刑事司法と福祉」は,旧カリキュラムの「更生保護制度」をグレードアップしたものです。

 

新しい内容が多く含まれているため,旧カリ時代に出題されていた内容は,完璧にしておきたいです。

 

それでは解説です。

 

1 少年法は,家庭裁判所の審判に付すべき少年として,犯罪少年,触法少年,虞犯少年,不良行為少年の4種類を規定している。

 

審判に付すべき少年

犯罪少年

罪を犯した少年

触法少年

14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年

虞犯少年

その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年

 

不良行為少年というものはありません。

 

2 家庭裁判所は,18歳未満の少年については,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り,これを審判に付することができる。

 

18歳未満の少年については,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り,これを審判に付することができるのは,触法少年と虞犯少年です。児童福祉法が優先されるためです。

 

犯罪少年は,少年法の適用を受け,全件家庭裁判所に送致されます。そして家庭裁判所の審判を受けます。

 

3 少年鑑別所は,警察官の求めに応じ,送致された少年を一定期間収容して鑑別を行う施設である。

 

少年鑑別所が,鑑別を行うのは,以下の者に鑑別を求められた場合です。警察官は含まれません。

 

・家庭裁判所

・地方更生保護委員会

・保護観察所の長

・児童自立支援施設の長

・児童養護施設の長

・少年院の長

・刑事施設の長

 

これは詳しく覚える必要はありません。

 

4 少年院は,保護処分若しくは少年院において懲役又は禁錮の刑の執行を受ける者に対し,矯正教育その他の必要な処遇を行う施設である。

 

これが正解です。

 

少年院の種類

種類

対象

入院者

第一種

保護処分に付された少年

心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの。

第二種

保護処分に付された少年

心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの。

第三種

保護処分に付された少年

心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの。

第四種

刑の執行を受ける少年

少年院において刑の執行を受ける者。

※少年刑務所は16歳以上が対象のため。16歳になると少年刑務所に移る。

第五種

保護処分に付された特定少年

遵守すべき事項を遵守しなかった者。

 

なお,懲役又は禁錮の刑は,2025年6月から「拘禁刑」となります。

 

5 家庭裁判所が決定する保護処分は,保護観察,児童自立支援施設又は児童養護施設送致,少年院送致,検察官送致の4種類である。

 

保護処分の種類

・保護観察

・児童自立支援施設又は児童養護施設送致

・少年院送致

 

の3種類です。

 

検察官送致(逆送致)は,保護処分ではなく,家庭裁判所が刑事罰が必要だと判断した場合に送致するものです。

 

非行少年のうち,検察官送致(逆送致)されることがあるのは,犯罪少年のみです。

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