2021年5月20日木曜日

日本の社会保障制度

日本の社会保障制度を整理してみます。

  

制度の種類

制度の内容

制度の対象

社会保険制度

5つの社会保険

一般所得者層

社会扶助制度

社会福祉制度

児童・高齢者・障害者福祉,各種社会手当など

低所得者層を対象

公的扶助制度

生活保護

貧困者層を対象

 

制度の対象については,社会保障制度審議会の1962年勧告によるものです。

 

日本の社会保障は,国民の多くを占める一般所得者層を対象とする社会保険制度が中心です。

 

日本の社会保険制度の財源には税も使われていますが,社会保障制度全体の財源では,社会保険料のほうが大きくなります。

 

社会保険料≧公費

 

この図式を絶対に忘れてはなりません。

 

それでは,今日の問題です。

 

第30回・問題50 日本の社会保障の費用などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 2014年度(平成26年度)の国民所得に対する租税及び社会保障負担の割合は,約25%であった。

2 「平成26年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)によると,社会保障財源の構成比は,公費負担より社会保険料の方が大きい。

3 「平成26 年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)によると,社会保障財源に占める公費負担の内訳は,国より地方自治体の方が多い。

4 2014年度(平成26年度)以降,基礎年金の国庫負担割合を恒久的に2分の1とする財源は,所得税と消費税で賄われている。

5 2014年度(平成26年度)における,後期高齢者医療制度の財源に占める後期高齢者支援金の割合は,約10%である。

 

かなり前の統計です。

 

しかし,社会保障は天文学的な数字なので,年度によってほとんど変わりません。

 

細かい数字が問われることはありません。

 

数字を変える時は,大きく変えます。

 

10.2%を12.2%に変えるというようなことはなく,1割を5割,3割を7割など大きく変えて出題します。

 

年度によって順位が変わるものは出題されません。

 

勉強方法を間違えないようにしてください。

 

それでは解説です。

 

1 2014年度(平成26年度)の国民所得に対する租税及び社会保障負担の割合は,約25%であった。

 

国民所得に対する租税及び社会保障負担のことは,国民負担率といいます。

 

日本の国民負担率は,約40%です。

 

これを覚えていなくとも,消費税だけでも10%もあるわけですから,そこから推測して,25%で済むわけがないと考えることができます。

 

 

2 「平成26年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)によると,社会保障財源の構成比は,公費負担より社会保険料の方が大きい。

 

これが正解です。

 

今までに何度出題されてきたのかわからないほど出題頻度の高いものです。

 

社会保険料≧公費

 

社会保険料≧公費

 

社会保険料≧公費

 

社会保険制度が社会保障制度の中心をなすわけですから,財源も当然このようになります。

  

3 「平成26 年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)によると,社会保障財源に占める公費負担の内訳は,国より地方自治体の方が多い。

 

国と地方自治体の割合は,7:3です。

 

制度によっては,5:5というものもありますが,ほとんどの制度は,国の負担のほうが大きくなっています。

 

現在は財源を移譲して地方税も多くなってきていますが,国税が圧倒的に多いのです。

 

4 2014年度(平成26年度)以降,基礎年金の国庫負担割合を恒久的に2分の1とする財源は,所得税と消費税で賄われている。

 

基礎年金の国庫負担割合は,かつて3分の1でしたが,現在は2分の1に引き上げられています。

 

この時に,消費税を5%から8%に引き上げたのです。

 

この増税した部分は,社会保障財源となりましたが,国庫負担割合を引き上げるための財源は,国の一般会計から支出されている関係上,特定の財源が使われているということはありません。

 

選択肢2を選べなければ,この選択肢で引っ掛けられてしまいそうです。

 

5 2014年度(平成26年度)における,後期高齢者医療制度の財源に占める後期高齢者支援金の割合は,約10%である。

 

後期高齢者支援金とは,後期高齢者医療制度を安定化させるために,現役世代の医療保険制度から支出してもらっているものです。

 

この負担が大きいため,健康保険組合の運営が辛いことになっています。

割合は,40%も占めているのです。

2021年5月19日水曜日

白書などから出題への対応法

2018~2019年にかけて,厚生労働省が実施する統計調査に不正があったことが明らかとなりました。


記憶に新しいところでしょう。


厚生労働白書は,社会福祉士の国家試験で最も出題されるものですが,さすがに出題しにくかったのか,問題が発覚した次の年の試験である第32回国試では用いられませんでした。


第33回では再び出題されているので,今後は出題されていくと思います。


しかしちょっと違うことが起きています。


第28回 → 平成26年版

第29回 → 平成27年版

第30回 → 出題なし

第31回 → 平成29年版

第32回 → 出題なし

第33回 → 平成29年版


本来は,第33回国試では,令和元年(2019年)版が出題されるはずです。


しかし,令和元年版は,作成されていないのです。


厚生労働省の統計不正は,社会福祉士の国試にも影を落としています。


令和2年版は作成されていますが,第34回国試で統計に関する出題をするかは微妙です。


それはそれとして・・・,今日のテーマは「白書などから出題への対応法」です。


学校の先生は,国家試験に出題される白書は目を通すように言います。


しかし,分厚い白書を見ても覚えていられないように思うのです。


分厚い白書に目を通すことは勉強としては必要ですが,国試勉強という点では,効率が悪すぎると考えています。


しかも,参考書などに書かれている基本的なものを覚えておくことと普段見聞きしていることを考え合わせれば対応できる問題が多いのです。


それでは今日の問題です。


第30回・問題49 「平成28年版厚生労働白書」における高齢化などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 高齢化率が7%を超えてから14%に達するまでの所要年数を比較すると,日本の方がフランスよりも短い。

2 2010年(平成22年)以降,日本の総人口は増加に転じた。

3 2014年(平成26年)における都道府県別の高齢化率をみると,東京都の高齢化率は全国平均より高い。

4 2015年(平成27年)における高齢者人口は,生産年齢人口を上回っている。

5 65~69歳の労働力人口比率を2005年(平成17年)と2015年(平成27年)で比較すると,低下している。


この問題は,日常生活を通して身につけた知識が役立つ問題の典型例です。


正解は,選択肢1です。


1 高齢化率が7%を超えてから14%に達するまでの所要年数を比較すると,日本の方がフランスよりも短い。


フランスは,ドイツとともに保守主義レジームに属していますが,社会保障にはものすごくお金を使っている国です。


現在の国民負担率は,スウェーデンよりも高いくらいです。


一時期は,合計特殊出生率が低下していましたが,様々な政策が功を奏したのか,現在はかなり高くなってきています。


そんなことを知らなくても,日本の高齢化率の進展は,他の国にはないスピードで進んでいるいるので,主要各国と比べると必ず日本のほうが早くなります。


ただし,韓国は日本よりも速いスピードで高齢化しています。しかしおそらく日本と韓国の比較する出題はないでしょう。


というのは,国際比較の出題の場合,比較する国は決まっているからです。


それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。


2 2010年(平成22年)以降,日本の総人口は増加に転じた。


こんなことはありません。日本の人口が減少していることは誰もが知っていることです。


3 2014年(平成26年)における都道府県別の高齢化率をみると,東京都の高齢化率は全国平均より高い。


高齢化率が高いのは,過疎化が進む地域です。


東京都のような生産年齢人口が多い地域の高齢化はゆっくり進みます。


4 2015年(平成27年)における高齢者人口は,生産年齢人口を上回っている。


うっかりすると間違えてしまいそうなのが,この問題です。


年少人口(15歳未満) 約12%

生産年齢人口(15歳以上から64歳未満) 約60%

高齢者人口(65歳以上) 約28%


高齢者人口が多いのは,年少人口と比べてです。


5 65~69歳の労働力人口比率を2005年(平成17年)と2015年(平成27年)で比較すると,低下している。


こういった問題は,知恵が必要です。


現在は70歳まで働け,という時代です。


低下するわけがありません。

2021年5月18日火曜日

社会福祉士の国家試験に合格するということ

今回は,「今日の問題」はお休みしして,国家試験について考えたいと思います。


この学習部屋に訪れている方は,社会福祉士,あるいは精神保健福祉士の国家資格取得を目指している方でしょう。


精神保健福祉士の合格率は60%を超えますが,社会福祉士の合格率は30%程度しかありません。


それにもかかわらず,


社会福祉士の国試は落とす試験ではない


と言う人がいます。


それは間違っています。近年の動きから30%の人しか合格させない試験であることがわかっています。


社会福祉士の国試は,7割の人を落とす試験である


これが真実です。


一つひとつの選択肢を見てみると,それほど難しいものではありません。


しかし,簡単に正解にたどり着けないように設計されているのが国家試験の怖いところです。


国家試験の実施機関である「公益財団法人 社会福祉振興・試験センター」が問題を作成していますが,合格率30%,合格基準点90点になるようにそれぞれの問題を配置しています。


合格基準点が年々上昇傾向にあるのは,その理想に向かって調整している結果です。


そして,理由としてもう一つあるのが,第22回から始まった現在の国家試験は末期になってきていることです。


大学では新しいカリキュラムによる教育が始まっていますが,国家試験が変わるのは,第37回国家試験からです。


それまでの間は,きっちり勉強すれば高い点数が取れるはずです。

なぜなら出題される内容がある程度固定されてきているからです。


しかし,高い点数が取れる人は,きっちり勉強した人だけです。

勉強不足の人が合格できる試験ではありません。ヤマを張ったような勉強は禁物です。


7割の人は不合格になる試験ですが,その数字ほど難しくはありません。


参考書に書かれたものを一つひとつ確実に覚えていけば必ず合格できる


次回からは,第30回国試シリーズの中盤に突入していきます。

国試合格に重要な科目が並んでいますので,ご期待ください。

2021年5月17日月曜日

地域福祉計画の策定について

社会福祉法で規定される地域福祉計画は,2018年(平成30年)4月に変更されています。

 

ポイントは,

 

●策定が努力義務化されたこと。

●他計画の上位計画に位置づけられたこと。

●調査・分析・評価が努力義務化されたこと。

 

歴史を紐解くと,地域福祉計画は2000年(平成12年)に社会福祉事業法が社会福祉法になった際に規定されたものです。

 

その時に策定は任意とされました。それが努力義務になったのが2018年です。

 

2000年(平成12年)

↓

↓

↓

任意

↓

↓

↓

2018年(平成30年)

↓

↓

↓

努力義務

↓

↓

↓

現在に至る(努力義務)

 

単純な流れですが,勉強不足の人はこういったことも整理できないので得点が難しいものとなります。

 

それでは,現時点(2021年)の規定を整理します。

 

〈地域福祉計画〉

(市町村地域福祉計画)

第百七条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定するよう努めるものとする。

一 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項

二 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項

三 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項

四 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項

五 地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に関する事項

2 市町村は、市町村地域福祉計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、地域住民等の意見を反映させるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする。

3 市町村は、定期的に、その策定した市町村地域福祉計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該市町村地域福祉計画を変更するものとする。

(都道府県地域福祉支援計画)

第百八条 都道府県は、市町村地域福祉計画の達成に資するために、各市町村を通ずる広域的な見地から、市町村の地域福祉の支援に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「都道府県地域福祉支援計画」という。)を策定するよう努めるものとする。

一 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項

二 市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項

三 社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項

四 福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達のための基盤整備に関する事項

五 市町村による地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備の実施の支援に関する事項

2 都道府県は、都道府県地域福祉支援計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民その他の者の意見を反映させるよう努めるとともに、その内容を公表するよう努めるものとする。

3 都道府県は、定期的に、その策定した都道府県地域福祉支援計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該都道府県地域福祉支援計画を変更するものとする。

 

市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画で定める内容は,市町村と都道府県のや役割の違いを明確に示しています。


重要

 

市町村の役割

・住民に対する直接的なサービスの提供 など

 

都道府県の役割

・専門職の確保,および質の向上

・基盤整備 など

 

この違いは,ほかの領域でも同様です。

確実に押さえておきたいです。

 

それでは今日の問題です。

 

第30回・問題48 近年の福祉計画等に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地域福祉計画は,社会福祉法の制定(2000年(平成12年))により,市町村にその策定が義務づけられた。

2 障害者基本計画策定の目的が,障害者基本法改正(2011年(平成23年))により,障害者の福祉及び障害の予防に関する施策の推進を図ることとされた。

3 都道府県健康増進計画では,健康増進法改正(2014年(平成26年))により,特定健康診査等の具体的な実施方法を定めている。

4 市町村子ども・子育て支援事業計画では,地域子ども・子育て支援事業の従事者の確保などの措置を定めるものとされている。

5 第6期介護保険事業計画の基本指針では,2025年度(平成37年度)の介護需要等の見込みを示した上で,地域包括ケアシステムの特色を明確にすることが求められている。

 

近年の動向が出題されていても動揺してはいけません。

 

落ち着けば,こういった問題でも確実に正解できます。

 

それでは解説です。

 

1 地域福祉計画は,社会福祉法の制定(2000年(平成12年))により,市町村にその策定が義務づけられた。

 

現在の地域福祉計画の策定は努力義務です。

現在において努力義務規定のものが,かつては義務規定だったということはめったにないことでしょう。

歴史がわからなくても消去できそうです。

 

2 障害者基本計画策定の目的が,障害者基本法改正(2011年(平成23年))により,障害者の福祉及び障害の予防に関する施策の推進を図ることとされた。

 

この選択肢がくせ者のです。

障害者の福祉及び障害の予防に関する施策の推進を図ることとされていたのは,改正前の規定です。

この選択肢を消去するために必要な知識は,障害者基本法の2011年(平成23年)の改正は何のために行われたのかを知っていることです。

 

こう書けばわかりますね?

この改正は,障害者権利条約を批准するためのものでした。

ここを思い出せば,「障害者の福祉及び障害の予防に関する施策の推進を図ること」はあまりに当たり前のことだと思えるはずです。障害者権利条約批准のタイミングでの改正には似つかわしくない印象です。

 

現在の目的は「障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図ること」です。

障害者権利条約の重要ポイントである合理的配慮は,障害者の自立及び社会参加の支援等のためのものだということがよくわかるでしょう。

 

3 都道府県健康増進計画では,健康増進法改正(2014年(平成26年))により,特定健康診査等の具体的な実施方法を定めている。

 

特定健康診査と特定健康指導の根拠法は,「高齢者の医療の確保に関する法律」です。

 

特定健康診査等の具体的な実施方法を定めるのは,同法に規定される「特定健康診査等実施計画」です。

 

4 市町村子ども・子育て支援事業計画では,地域子ども・子育て支援事業の従事者の確保などの措置を定めるものとされている。

 

前説に書いたように従事者の確保は,都道府県の役割です。

 

つまり「地域子ども・子育て支援事業の従事者の確保などの措置を定める」のは,都道府県子ども・子育て支援事業支援計画だということになります。

 

都道府県の役割

・専門職の確保,および質の向上

・基盤整備

 

確実に押さえておきたいです。

 

5 第6期介護保険事業計画の基本指針では,2025年度(平成37年度)の介護需要等の見込みを示した上で,地域包括ケアシステムの特色を明確にすることが求められている。

 

これが正解です。

 

第6期介護保険事業計画の基本指針の内容を知らなくても,ほかの選択肢を消去できればこの選択肢が残るようにこの問題が設計されているのです。

 

もう二度と出題されないとは思いますが,第6期以降を紹介すると以下のようになります。

 

第6・7期 

2025年を見据えた地域包括ケアシステムの構築

 

第8期(2021~2023年度)

2025年を見据えた地域包括ケアシステムの構築に加えて,現役世代が減少する2040年を見据えたもの

2021年5月16日日曜日

介護保険事業計画と障害福祉計画の策定期間

社会福祉士の国家試験に出題される福祉計画の中で,最も重要なのは「地域福祉計画」です。

 

ほかの福祉計画の上位計画と位置づけられているからです。

 

その根拠です。

 

社会福祉法

市町村地域福祉計画

第107条 市町村は、地域福祉の推進に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「市町村地域福祉計画」という。)を策定するよう努めるものとする。

一 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項

 

都道府県地域福祉支援計画

第108条 都道府県は、市町村地域福祉計画の達成に資するために、各市町村を通ずる広域的な見地から、市町村の地域福祉の支援に関する事項として次に掲げる事項を一体的に定める計画(以下「都道府県地域福祉支援計画」という。)を策定するよう努めるものとする。

一 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項

 

このように地域福祉計画は重要なものですが,策定に関しては「努力義務」,策定期間の定めはありません。

 

その理由は,自治事務に位置づけられているからです。

 

さて,今日のテーマは,「介護保険事業計画と障害福祉計画の策定期間」です。

 

この2つの計画は,いずれも3年を一期として定めます。

 

主だった計画の中で,3年を一期として定めるのは,この2つと障害児福祉計画だけです。

 

そのほかの計画は,5年を一期として定めるか,地域福祉計画のように策定期間の法規定はないものに分かれます。

 

歴史を紐解けば,介護保険事業計画も第1期と第2期までは5年を一期として定めていました。

 

しかし,単純に5年を一期として定めるのではなく,5年を一期として3年ごとに定めることになっていました。

 

このことから,役人の頭の中には,3年を一期という概念はなかったことがわかるようです。

 

3年ごとに定めることは,介護保険にとって極めて重要なことです。

 

その理由は,第一号被保険者の保険料を定める必要があるからです。3年間に介護保険サービスを利用する量を見積り,それを市町村内の第一号被保険者の人数で割って,第一号被保険者の保険料を定めます。

 

そのために5年では長すぎたのでしょう。5年後のことを予測するのはかなり困難です。

 

そのうち誰かが気づきました。

 

「5年を一期として3年ごとに定めるのだったら,3年を一期として定めても同じではないか」

 

まさにコロンブスの卵的な発想の転換です。

 

その時にできたのが「障害者自立支援法」です。同法に基づく障害福祉計画は介護保険事業計画のように金額を定めることはないので,本来は5年を一期としてもよかったのだと思いますが,両計画は関連を持たせた方が施策上何かと都合が良いので,3年を一期とすることになったものだと考えられます。その後策定義務ができた障害児福祉計画も3年を一期となっています。

 

現在では,地域包括ケアシステムの構築のため,従来5年を1期として定めていた「医療計画」と「医療費適正化計画」は6年を一期と変更されています。

 

6年を一期とすることによって,医療と介護の計画は6年ごとに同時スタートさせることができます。

 

5年を一期とするのであれば,同時スタートは15年に1回しか生まれません。

 

それでは,今日の問題です。

 

第30回・問題47 次の福祉計画のうち,現行法上の計画期間が5年を一期とするものを1つ選びなさい。

1 市町村介護保険事業計画

2 市町村老人福祉計画

3 市町村障害福祉計画

4 市町村子ども・子育て支援事業計画

5 市町村地域福祉計画

 

3年を1期とするものなら,答えを出すのは簡単ですが,この問題は5年を一期とするものです。

 

その分,ちょっと難しいかもしれません。

 

それでは解説です。

 

1 市町村介護保険事業計画

3 市町村障害福祉計画

 

これらは,前説のように3年を一期として定めます。

 

2 市町村老人福祉計画

 

老人福祉計画は,1990年(平成2年)の福祉関係八法改正で,策定が義務づけられたものです。

 

日本の福祉計画の歴史はここから始まったものだと言うことができるでしょう。

 

しかし,策定期間は定められていません。

 

とは言うものの,現在は介護保険事業計画と一体で定めるので,実態的には3年ごとに定めるものとなるのかもしれません。

 

4 市町村子ども・子育て支援事業計画

 

これが正解です。子ども・子育て支援事業計画は,福祉計画で最も一般的な「5年を一期」として定めるグループの一つです。

 

5 市町村地域福祉計画

 

地域福祉計画の策定期間には定めはありません。前説のように自治事務に位置づけられているからです。

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