2021年4月6日火曜日

統合失調症について

国家試験の出題順で言うと,「①人体の構造と機能及び疾病」~「⑪権利擁護と成年後見制度」は,共通科目と呼ばれています。

 

このように呼ばれる理由は,これらの科目は精神保健福祉士の国家試験と共通の科目だからです。

 

今回は,統合失調症を取り上げますが,精神疾患はかなりの高率で出題されます。

その理由は,精神保健福祉士も学ぶからでしょう。

 

特に押さえておきたい精神疾患は

・統合失調症

・うつ病

・双極性障害

 

の3つです。そのほかの疾患が出題されることもありますが,この3つを押さえておけば,合格に必要な最低ラインの知識となります。

 

精神疾患の診断基準には,WHO(世界保健機関)によるICDとアメリカ精神医学会によるDSMがありますが,この科目で出題されるのは,DSMです。

 

精神保健福祉士の専門科目である「精神疾患とその治療」では,ICDも出題されます。

 

わが国の診療報酬はICDに基づいているので,精神保健福祉士は,より現場で使われるICDを勉強するのでしょう。

 

精神疾患の押さえ方

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/31_23.html

 

話は戻って,統合失調症です。

 

現時点の最新版であるDSM-5による診断基準は,以下の通りです。

 

・妄想

・幻覚

・まとまりのない発語

・ひどくまとまらない,または緊張病性の行動

・陰性症状(感情の平板化,意欲欠如など)

 

これらの2つかそれ以上が存在して,6か月を超えて続く場合に統合失調症だと診断されます。

 

なお,妄想,幻覚などは陽性症状といいます。陰性症状(感情の平板化,意欲欠如など)と混同しないようにしましょう。


今日は,リンクを貼った過去記事https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/31_23.htmlにも紹介している問題を改めて紹介したいと思います。

 

第30回・問題6 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において,「統合失調症」と診断するための5つの症状に含まれているものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。

1 まとまりのない発語

2 観念奔逸

3 強迫行為

4 抑うつ気分

5 不眠または過眠

 

勉強が足りない人にとっては,かなり辛い問題でしょう。

 

正解は,選択肢1です。

 

1 まとまりのない発語

 

は,5つの症状の1つです。

 

それではほかの選択肢も確認します。

 

2 観念奔逸

 

観念奔逸は,「かんねんほんいつ」と読み,次から次へと考えが浮かんでくる症状です。

 

双極性障害の躁病エピソードなどでみられる症状です。

 

3 強迫行為

 

強迫行為とは,自分ではムダだと変わっていてもやめることができない行為をいいます。

 

具体的には,手を洗い続ける,カギを閉め忘れていないか何度も何度も繰り返すなどの行為です。

 

強迫行為は,強迫性障害でみられる症状です。

 

4 抑うつ気分

 

抑うつ気分は,気分が落ち込む症状です。

 

うつ病や双極性障害のうつ病エピソードなどでみられます。

 

5 不眠または過眠

 

不眠または過眠もうつ病や双極性障害のうつ病エピソードなどでみられます。

 


<今日の一言>

 

今日の問題には,元ネタがあります。

 

第27回・問題6 精神疾患の診断・統計マニュアルDSM-5に基づく統合失調症の診断に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 妄想や幻覚は,陰性症状である。

2 まとまりのない会話あるいは発語は,症状の一つである。

3 症状は,発症から2週間で消失する。

4 仕事,対人関係,自己管理などの面での機能が低下することはない。

5 原因として,乱用薬物の摂取がある。

 

珍しく過去3年の出題の中に元ネタがありますが,こういった問題はめったにありません。

 

3年間の過去問をどれだけ完璧に解けてもそれだけの知識だけで合格できないのは,こういったところに理由があります。

 

それにもかかわらず,3年間の過去問で合格できると思っている人がどれだけいることでしょうか。

 

ご愁傷様と言いたいです。

2021年4月5日月曜日

脊髄小脳変性症とは

今回は,脊髄小脳変性症を取り上げます。


脊髄小脳変性症は,難病法の指定難病に指定されています。


どのような症状を呈するのかについて,難病情報センターのホームページ https://www.nanbyou.or.jp/entry/4879 から引用します(一部改変)。


この病気ではどのような症状がおきますか

主な症状は、起立や歩行がふらつく、手がうまく使えない、喋る時に口や舌がもつれるなどの症状です。

脊髄小脳変性症では、これらの症状がたいへんゆっくりと進みます。このような、運動が上手に出来ないという症状を総称して運動失調症と言います。

脊髄小脳変性症として総称されている病気では、それぞれの種類で、運動失調以外にもさまざまな症状を伴います。


同ホームページによると,脊髄小脳変性症の発症要因には,遺伝性と非遺伝性のものがあり,約3分の1が遺伝性によるものだそうです。


脊髄小脳変性症の症状はさまざまありますが,主症状として「運動失調」がゆっくり進行するということは覚えておきたいです。


それでは今日の問題です。


第30回・問題5 肢体不自由となる疾患に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは,呼吸困難が初発症状である。

2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動失調を主体とする変性疾患である。

3 脊髄損傷では,排尿障害が起こりやすい。

4 分娩時の高酸素血症は,脳性麻痺の原因となる。

5 遺伝性の脊髄小脳変性症では,歩行障害は起こらない。


デュシェンヌ型筋ジストロフィーという聞き慣れないものが含まれた問題ですが,そういったものに決してひるむことなく,前向きの気持ちで問題を読むようにしましょう。


それでは,解説です。


1 デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは,呼吸困難が初発症状である。


筋ジストロフィーは,中高年の男性が多く罹患するというイメージがあるかと思います。


デュシェンヌ型筋ジストロフィーは,遺伝子の異常(伴性劣性遺伝)によって多くは幼児期に発症するのが特徴です。

悲しいですが,多くの患者は20歳までには亡くなると言われています。


さて,初発症状です。デュシェンヌ型であっても,筋ジストロフィーなので,身体の筋力低下を来します。

呼吸に関連する筋力低下に伴い,呼吸困難も来すことがありますが,初発症状ではありません。


2 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動失調を主体とする変性疾患である。


運動失調とは,運動が上手に出来ないという症状です。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)も運動ができなくなりますが,運動失調ではなく,筋力低下によって生じるところが異なります。


3 脊髄損傷では,排尿障害が起こりやすい。


これが正解です。


脊髄を損傷することで排尿調節をすることが困難になり,多くの人が排尿障害を来たします。


4 分娩時の高酸素血症は,脳性麻痺の原因となる。


脳性麻痺の原因となるのは,分娩時の低酸素血症です。


5 遺伝性の脊髄小脳変性症では,歩行障害は起こらない。


髄小脳変性症は,遺伝性であっても非遺伝性であっても,歩行障害を含む運動失調を来たすのが特徴です。

2021年4月4日日曜日

高齢者の病態

「人体の構造と機能及び疾病」は,なかなか手ごわい科目です。


勉強しないものが出題されるからです。


だからといって,決して解けないものではありません。なぜなら身近なものが多いので,勉強しなくても正解できる可能性があるからです。


前回取り上げた「健康」に関するものは大違いです。

https://fukufuku21.blogspot.com/2021/04/blog-post_3.html


それでは,今日の問題です。


第30回・問題4 高齢者に多くみられる病態に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 脱水になると,脈拍が少なくなる。

2 老人性難聴では,低音領域から聴力が低下する。

3 甲状腺機能低下症は,浮腫の原因となる。

4 栄養過多は,褥瘡の発生要因になる。

5 葉酸が不足すると,味覚障害が生じる。


国家試験が終わると,「今年の国試は今まで見た中で最も難しかった」という感想がSNSなどでみられます。


なぜそのような感想になると思いますか?


そのヒントは,参考書にあります。現時点(2021年4月)では,今年度版の参考書はまだ発刊されていません。


今年の国試問題を参考にしながら,制作過程にあることでしょう。


国試内容すべてが反映されるわけではありませんが,多くは加筆されるでしょう。


次の年の国試を受験する人は,そのように出来上がった参考書を使って勉強します。そのため過去問を見たとき,ある程度対応が可能です。


国試は,みんなが正解できては合格基準点が上がるので,ある程度の問題調整が必要です。


今日の問題は,そのような調整で出題されたものではないと思いますが,結果的にはそれと同じ効果をもたらしたと言えるでしょう。


なぜなら,ほかのものを確実に消去することで正解できる問題だからです。

こういったタイプの問題は,消去できない選択肢が1つでもあると正解することが困難です。


この問題の正解は,選択肢3です。


3 甲状腺機能低下症は,浮腫の原因となる。


よくよく考えてみれば,甲状腺ホルモンは,新陳代謝を促す作用があるので,それが低下するとむくみそうな感じがします。

しかし,それは今だから言えること,国試会場でそう考えるのはとても困難です。

だから難しい問題となります。


それでは,ほかの選択肢を消去していきましょう。


1 脱水になると,脈拍が少なくなる。


脱水になると,脈拍は多くなります。


脱水になると血液循環量が減少することで血圧が低下します。

それでも酸素を運ばなければならないために脈拍を多くして,それを補おうとするためです。


2 老人性難聴では,低音領域から聴力が低下する。


老人性難聴は,高音領域から聴力が低下することが特徴です。これはよく知られていることです。


この出題は,親切な出題です。


場合によっては,感音難聴は,低音領域から聴力が低下する,といったように出題されます。


感音難聴(感音性難聴)は,老人性難聴のことです。


4 栄養過多は,褥瘡の発生要因になる。


褥瘡は,圧迫によって血液循環が悪くなることで生じますが,栄養が不足することでも生じます。


特に注意が必要なのは,たんぱく不足による低アルブミン血症です。アルブミン不足は,褥瘡発生要因となるからです。


5 葉酸が不足すると,味覚障害が生じる。


葉酸を聞いたことがない人もいるかもしれません。しかし,それを知らなくても何とかなるのが国試です。

「葉酸は知らない」と思うと,迷いの森に入り込みますので,注意が必要です。


現在(2021年4月)での味覚障害と言えば,新型コロナの感染が疑われます。


しかし,味覚障害の要因として一般的に知られるのは亜鉛不足でしょう。そのために,しじみが良いとされます。


おばあちゃんの知恵は,根拠があるものです。

2021年4月2日金曜日

脊椎の覚え方

社会福祉士の国家試験では,最初の科目である「人体の構造と機能及び疾病」は,なかなかやっかいな科目です。

 

覚えることが多いからです。

 

しかし,専門科目の用語などと異なり,実社会で見聞きするものなので,勉強せずとも対応できる問題もあります。

 

今日はそんな問題を取り上げます。

 

第30回・問題2 人体の各器官に関する次の記述のうち,解剖学的に正常なものを1つ選びなさい。

1 頸椎は12個の骨で構成される。

2 頸動脈は体表から触知できる。

3 大腸は空腸と回腸に分けられる。

4 右肺は2つの肺葉からなる。

5 胃は横隔膜の上にある。

 

問題自体はかなり高度です。

 

しかし,正解は選択肢2です。

2 頸動脈は体表から触知できる。

 

変に勘繰ることなく,素直に考えると選べるはずです。

 

一般的に,脈をみるときは,手首にある橈骨動脈を使います。

 

しかし,末梢に近い動脈なので心臓の拍動が弱いと脈をみることができなくなることがあります。

 

その代わりに使われるのが頸動脈です。橈骨動脈よりずっと心臓に近く血管も太いためです。

 

ほかの選択肢も確認します。

 

1 頸椎は12個の骨で構成される。

 

このような出題があると焦ることでしょう。

頸椎の数なんて勉強してしなかった,と思うと混乱の元です。

 

頸椎は7つですが,このように数字が含まれるものは,気をつけたほうが良いです。

 

脊椎の覚え方です。


脊椎は上から頸椎7個,胸椎12個,腰椎5個となりますが,食事の時間をイメージすると良いように思います。

 

朝7時,昼12時,夕5時。

 

夕食がちょっと早い5時というのは,かつての施設の夕食と思うと良いかもしれません。

 

3 大腸は空腸と回腸に分けられる。

 

大腸は,盲腸,結腸,直腸に分けられます。

空腸と回腸に分けられるのは小腸です。

 

4 右肺は2つの肺葉からなる。

 

今日の問題の中で,過去に出題実績のあるものです。

そのため,参考書などにも記載があったはずです。

 

左肺は,2つ

右肺は,3つ

 

左右に差があるので覚えにくいものの一つだと言えます。だからこそ出題されます。

 

覚え方は,

 

左には心臓があるので,左肺の肺容量が小さい。

 

これで左右差は忘れないでしょう。

 

5 胃は横隔膜の上にある。

 

胃は横隔膜の下にあります。

 

胃の位置よりも,この問題で重要なことは,横隔膜の働きです。

 

肺の動きに関係しているからです。肺は自ら拡張・収縮しているわけではありません。

 

これが押さえられていれば,胃が横隔膜の上にはないだろうと考えることができそうです。


 

<今日の一言>

 

国試に不合格になると,「応用力がなかった」と思う人がいます。

 

今日の問題の選択肢5のように,確かに応用力が求められるものもあるでしょう。

しかし,不合格になるのは,応用力がなかったことではなく,理解が不足していたからです。そのように考えるとシンプルです。

 

「応用力がなかった」というのは,あまりにあいまいです。どうしたらよいのか次の手が見えて来ません。

 

応用力がなかったと本気で思っているとしたら,それは覚え方が間違っています。

丸暗記勉強の弊害です。

 

参考書に書いているあることを丸暗記することは,非効率であるとともに,文章をちょっと変えられただけでも対応が難しくなります。

2021年4月1日木曜日

第30回の国家試験問題

今回から,第30回の問題を取り上げていきますが,この第30回国試は,いわくつきの回となりました。

いわくつきとは,合格基準点がこの時点で過去最高の99点となったことです。


だからと言って,合格が難しい試験だったのかと言えば,決してそんなことはありません。

合格率は例年並みだったからです。


第30回国試のおかげで,国家試験を実施する「社会福祉振興・試験センター」にとって良いデータが入手できたのです。


どんな問題を出題すれば得点できないのか,得点できるのかの見極めができるようになりました。


どんな問題を出題すれば得点できないのか,は言うまでもなく,第25回国試です。


その逆に,得点できるのかは,第30回国試です。


それでは早速今日の問題です。


第30回・問題1 標準的な身体の成長と発達に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 生後2か月までに,首がすわる。

2 生後3か月までに,座位保持ができる。

3 生後6か月までに,乳歯が生えそろう。

4 生後6か月までに,大泉門は閉鎖する。

5 生後18か月までに,一人で歩くことができる。


こんな問題が出題されて,しかも合格基準点が99点だと聞いて,絶望的に思う人もいることでしょう。


また,子育て経験がない人も不利だと思うかもしれません。

しかし,たとえ子育て経験があっても正解するのは,簡単なものではありません。


日記でもつけていれば,後から振り返るとわかるかもしれません。子育て中は目の前のことで精いっぱいなので,言われてみると確かにそうだと思ったとしても,それがいつのことだったのかを覚えているのは難しいように思います。


子育て経験のない人は不利だと思うのは,子育て経験がないからそう思うだけで,子育て経験がたとえあったとしても,このように決して有利だと言えるものではありません。


大切なことは,決して焦らず,冷静に判断することを心掛けることです。


近年の問題1は比較的解きやすい問題が出題されてきていますが,この問題のように難しめの問題が出題されると,問題2以降に大きな影響を及ぼしかねません。


難しい問題はほかの受験生にとっても難しいものです。

そんな問題に右往左往することなく,気持ちを切り替えて次の問題に進むことが重要です。


さて,この問題の正解は,選択肢5です。


5 生後18か月までに,一人で歩くことができる。


言われてみると,「そうだな」と思う人も多いことでしょう。

この問題の難易度が高いのは,勉強したことがないものが出題されているからです。


今はおそらくどの参考書にも書かれていると思いますが,この時点では書かれていなかったはずです。

しかし,ほかの選択肢にとらわれず,冷静に考えてみると,正解できる可能性はあります。


それでは,一応ほかの選択肢も見てみます。


1 生後2か月までに,首がすわる。


首がすわるのは,もう少し後の3か月くらいからです。


2 生後3か月までに,座位保持ができる。


座位が保持できるようになるのは,もっと先の6か月を超えてからです。


3 生後6か月までに,乳歯が生えそろう。


この選択肢は消去できる可能性があるかもしれません。


6か月で乳歯が生えそろった乳児がいたらびっくりです。この時期くらいから生え始めます。


4 生後6か月までに,大泉門は閉鎖する。


頭蓋骨は大きいので,そのままだと産道を通り抜けることができません。

そのために,新生児の頭蓋骨はつながっておらず,それぞれが重なり直径が小さくなることによって,産道を通り抜けることができます。


生まれると重なりが戻りますが,すき間が生じます。大きいすき間が大泉門,小さいすき間が小泉門です。

小泉門は3か月ころまでに閉じて,大泉門は1歳6か月ころまでに閉じます。


<今日の一言>


今日の問題の正解は,「生後18か月までに,一人で歩くことができる」です。

これ単体でみた場合は,それほど難しくないかもしれません。


しかし,今日の問題でわかるように,ほかの選択肢がどのように出題されるかによって,簡単に正解することができなくなります。

これが国家試験の難しさです。


国家試験問題をばらして,一問一答にした問題集も販売されています。


一問一答式もそれなりに意味がありますが,ほかの選択肢との相互作用に慣れることができないことを知っておくことが大切です。


今日の問題のような問題は,第30回には少なく,しっかり勉強した人は解きやすい問題が多かったのが特徴です。しかし,それぞれの問題をみると決して簡単ではありません。

今日から,第30回国試問題を取り上げていきますが,問題の目のつけどころなども学んでいってください。知識だけで合格基準点を超えることは簡単なことではないのです。

ほかの受験生と一歩も二歩も差をつけることができるとっておきの方法を学んでいきましょう。

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