2021年4月14日水曜日

認知行動療法について

社会福祉士の国家試験では,実に多くの心理療法が出題されています。


第31回国試に合格する勉強法~心理療法に関する出題は100%~その2

https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/311002.html


上記に示した出題回数は少し前のものなので,現在は種類がもう少し多くなっているかもしれません。


しかし,社会福祉士は実際に心理療法を行うわけではないので,詳しく覚える必要はありません。


それぞれの特徴を押さえるだけで正解できるレベルです。


例えば・・・


認知行動療法(CBT)は,学習理論を用いて,クライエントの認知及び行動を変化させるもの。


こんな感じです。


あとは,出題の内容からそれがCBTなのかどうかを判断するだけです。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題14 カウンセリングや心理療法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 認知行動療法では,クライエントの発言を修正せず全面的に受容することが,クライエントの行動変容を引き起こすと考える。

2 社会生活技能訓練(SST)では,ロールプレイなどの技法を用い,対人関係で必要なスキル習得を図る。

3 ブリーフセラピーでは,即興劇において,クライエントが役割を演じることによって,課題の解決を図る。

4 来談者中心カウンセリングでは,クライエントが事実と違うことを発言した場合,その都度修正しながら話を聞いていく。

5 動機づけ面接では,クライエントの変わりたくないという理由を深く掘り下げていくことが行動変容につながると考える。


たくさんの種類が出てきて,おなか一杯という感じかもしれません。


それでは解説です。


1 認知行動療法では,クライエントの発言を修正せず全面的に受容することが,クライエントの行動変容を引き起こすと考える。


早速,認知行動療法(CBT)です。


学習理論の要素はありますか?


どの心理療法でも受容は大切ですが,認知行動療法で行動変容を引き起こすのは,学習理論を活用したかかわりです。


受容を重視するのは,後述の来談者中心カウンセリングです。



2 社会生活技能訓練(SST)では,ロールプレイなどの技法を用い,対人関係で必要なスキル習得を図る。


これが正解です。


社会生活技能訓練(SST)では,ロールプレイなどの技法を用い,対人関係で必要なスキル習得を図ります。


重要なポイントとしては,モデリングです。集団で実施することで,ほかの人を見て,学ぶことができるからです。



3 ブリーフセラピーでは,即興劇において,クライエントが役割を演じることによって,課題の解決を図る。


即興劇において,クライエントが役割を演じることによって,課題の解決を図るのは,心理劇です。


ブリーフセラピー(短期療法)は,解決志向アプローチのベースとなるものです。

ポイントは,過去より未来です。過去とは問題の原因,未来は問題が解決されたイメージです。


それをセラピストが手助けしながら,未来を志向していきます。


4 来談者中心カウンセリングでは,クライエントが事実と違うことを発言した場合,その都度修正しながら話を聞いていく。


来談者中心カウンセリングは,修正せず,受容します。


そこがポイントです。


5 動機づけ面接では,クライエントの変わりたくないという理由を深く掘り下げていくことが行動変容につながると考える。


動機づけ面接とは,あまり聞き慣れないものかもしれません。


しかし,変わりたくない理由を掘り下げることは,変わりたくないという気持ちを確認してしまうことになりそうだと思いませんか?


クライエントが変わりたいというやる気になるためには,クライエント自身の気持ちの持ち方こそが大切です。


そこを重視してかかわっていくのが,動機づけ面接の基本です。


2021年4月13日火曜日

バーンアウト(燃え尽き症候群)の3つの症状

今回は,バーンアウト(燃え尽き症候群)を取り上げます。


バーンアウトは,1980年にフロイデンバーガーによって提唱され,その後マスラックがバーンアウトの状態を測定する尺度であるBMIを開発しました。


バーンアウトの症状は


1.情緒的消耗感(精神的な疲労などによって,それ以上努力できなくなってしまうこと)

  ↓ ↓

2.脱人格化(人を物のように扱ってしまうこと)

  ↓ ↓

3.個人的達成感の低下(自分に対する自信の喪失や仕事などに対するやりがいの喪失)


の順番に現われるとされます。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題13 バーンアウト(燃え尽き症候群)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 対人援助職に生じることは少ない。

2 援助対象者一人ひとりの感情に配慮した行動をとりやすくなる。

3 極度の身体的疲労は示すが,情緒的問題は少ない。

4 個人の能力やスキル不足が主な原因であり,職場環境の影響は小さい。

5 仕事に対する個人的達成感の低下が生じる。


前回取り上げた問題と異なり,この問題は勉強不足の人でもおそらく正解できます。


こういう問題が多ければ,合格基準点が上がります。


合格基準点が上がると,ぎりぎりのところで不合格になった人から不満の声が出ますが,得点しやすい問題で正解できなかったという事実から目をそらすと,次の年の受験に悪影響を及ぼすので注意が必要です。


さて,この問題の正解は,選択肢5です。


5 仕事に対する個人的達成感の低下が生じる。


何のひねりもありません。

知識ゼロの人でもこれを選べるでしょう。


それにもかかわらず,これを選べなかった人は,何かの理由があるはずです。

最も考えられるのは,ほかの選択肢との関係です。


2 援助対象者一人ひとりの感情に配慮した行動をとりやすくなる。


先に述べたように,バーンアウトになると,人を物のように扱ってしまう「脱人格化」が生じます。

そのため,援助対象者一人ひとりの感情に配慮することが少なくなります。


しかし,変に勘繰ると,人の感情に配慮した行動をとるようになるのかもしれない,考えてしまいます。

そうすると深い深い迷いの森に入り込んでしまいます。

国家試験は,多くの人が思うほど意地悪ではありません。


人の感情に配慮した行動をとるようになるのかもしれないなどと考えることなく,「仕事に対する個人的達成感の低下が生じる」を選ばなければなりません。


迷いの森に入り込まないためには,自信を持つことが必要です。


ほかの選択肢は解説しません。わかりやすいからです。

2021年4月12日月曜日

ピアジェの発達段階

近年の国試で,発達心理学の中でも発達段階で出題されているのは,エリクソンとピアジェのものです。

 

今回は,そのうちのピアジェを取り上げます。

 

発達段階は以下の4段階です。

 

感覚運動期 

 ↓

前操作期

 ↓

具体的操作期

 ↓

形式的操作期

 

人の発達は,下の段階には戻りません。

 

防衛機制では「退行」(いわゆる赤ちゃん返り)がありますが,本当に心身の発達が下の段階に戻っているわけではなく,防衛機制によって,心理的に退行しているだけです。

 

それでは今日の問題です。

 

第30回・問題12 ピアジェ(Piaget,J.)の認知発達理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 体積や量の保存の概念は,感覚運動期に獲得される。

2 自己中心的な思考は,形式的操作期の特徴である。

3 抽象的な論理的思考は,前操作期に発達する。

4 可逆的な操作は,具体的操作期に可能となる。

5 対象の永続性は,形式的操作期に獲得される。

 

知識ゼロの人は,消去できる選択肢がないので,5分の1の確率でしか正解することができません。

 

しかし,これが国試の理想形です。勉強していない人でも解ける問題ではだめなのです。

 

それでは解説です。

 

1 体積や量の保存の概念は,感覚運動期に獲得される。

 

保存の概念は,見かけが変わっても元と同じであると認識できることをいいます。

 

保存の概念を獲得できるのは,具体的操作期です。

 

2 自己中心的な思考は,形式的操作期の特徴である。

 

自己中心的な思考は,前操作期にみられる特徴です。

この時期には,まだ他者の立場で考えることができないからです。

 

3 抽象的な論理的思考は,前操作期に発達する。

 

抽象的な論理的思考は,具体的操作期からできるようになり,形式的操作期に発達していきます。

 

4 可逆的な操作は,具体的操作期に可能となる。

 

可逆的な操作とは,元に戻しても同じものだととらえることができることをいいます。

可逆的な操作ができるようになると,保存の概念が獲得されていきます。

 

5 対象の永続性は,形式的操作期に獲得される。

 

対象の永続性は,目の前に見えなくなっても,存在していることがわかることをいいます。

対象の永続性が獲得されるのは,感覚運動期です。

 

さて,それでは今回もまとめてみましょう。

 

感覚運動期

対象の永続性が獲得される。

前操作期

自己中心的な思考が特徴である。

保存の概念は獲得されていない。

具体的操作期

可逆的な操作ができるようになり,保存の概念が獲得される。

形式的操作期

抽象的な論理的思考ができるようになる。

 

またまた立派な資料が出来上がりました。

2021年4月11日日曜日

社会心理学について

「心理学理論と心理的支援」を苦手にしている受験生が多いようです。

 

心理学とひとまとめにされますが,「認知心理学」「発達心理学」「社会心理学」「学習心理学」「人格心理学」など多くの領域があります。

 

このことによって,雲をつかむような気がするのかもしれません。

 

しかし,社会福祉士・精神保健福祉士に出題されるのは,それらのほんの入り口のものだけです。

 

本格的な知識は必要とされないので,用語を簡単に覚えるだけで何とかなります。

 

実は国試に合格するためには,極めて重要なことです。多くの受験生が苦手としている科目なので,人よりちょっと多く勉強すると差がつきやすいのです。

 

領域が広いということは,3年間の国家試験の中には,出題されて来ないものがあることを意味しています。

 

そのため3年間の過去問を完璧に覚えてもそれだけではほとんど得点することはできないでしょう。

 

さて,今回取り上げるのは,社会心理学です。

 

現代の心理学は,さまざまな研究によって,入ってきた情報をどのように脳が処理するのかが解明されてきています。

 

そのうちの社会心理学は,集団の中での人の認知や行動を研究した領域です。

 

もちろん個人差があるので,50%の人に当てはまるものが理論化されます。

 

知っていても知らなくても社会生活は送れますが,知っておくことで,様々な対策ができます。

 

この差は大きいと思いませんか?

 

それでは今日の問題です。

 

第30回・問題11 集団における行動に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会的ジレンマとは,集団的な討議を行うことによって,より安全志向な結論が得られやすくなることをいう。

2 ピグマリオン効果とは,集団において多数派の意見や期待に合わせて,個人の意見や行動が変化することをいう。

3 傍観者効果とは,緊急的な援助を必要とする場面であっても,周囲に多くの人がいることによって,援助行動が抑制されることをいう。

4 同調とは,他者の存在によって作業の効率が向上することをいう。

5 コーシャス・シフトとは,集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで,集団全体にとって不利益な結果となることをいう。

 

実に第30回国試らしい問題です。

 

コーシャス・シフトという聞き慣れないものが出題されていますが,頻出のもので構成された問題でありしかも入れ替えになっているので,きっちり勉強した人にとってはかなり易しめの問題となっています。

 

それでは,解説です。

 

1 社会的ジレンマとは,集団的な討議を行うことによって,より安全志向な結論が得られやすくなることをいう。

 

〈社会的ジレンマ〉

集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで,集団全体にとって不利益な結果となること。

 

2 ピグマリオン効果とは,集団において多数派の意見や期待に合わせて,個人の意見や行動が変化することをいう。

 

〈ピグマリオン効果〉

自分が相手に対してある期待を持つと,自分自身が意識しないうちに当該期待に沿った行動を,自らがとってしまうという行動傾向のこと。一般的には,教師が生徒に対して成績向上の期待をもつことによって,実際にその生徒の成績が向上していく現象として知られる。

 

3 傍観者効果とは,緊急的な援助を必要とする場面であっても,周囲に多くの人がいることによって,援助行動が抑制されることをいう。

 

これが正解です。

 

〈傍観者効果〉

緊急的な援助を必要とする場面であっても,周囲に多くの人がいることによって,援助行動が抑制されること。

 

4 同調とは,他者の存在によって作業の効率が向上することをいう。

 

〈同調〉

集団において多数派の意見や期待に合わせて,個人の意見や行動が変化すること。

 

〈社会的促進〉

他者の存在によって作業の効率が向上すること。

 

5 コーシャス・シフトとは,集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで,集団全体にとって不利益な結果となることをいう。

 

〈コーシャス・シフト〉

集団的な討議を行うことによって,より安全志向な結論が得られやすくなること。逆に危険な結論に導き出しやすことは,リスキー・シフトという。

 

これらを整理すると以下のようになります。


社会的ジレンマ

集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで,集団全体にとって不利益な結果となること。

ピグマリオン効果

自分が相手に対してある期待を持つと,自分自身が意識しないうちに当該期待に沿った行動を,自らがとってしまうという行動傾向のこと。一般的には,教師が生徒に対して成績向上の期待をもつことによって,実際にその生徒の成績が向上していく現象として知られる。

傍観者効果

緊急的な援助を必要とする場面であっても,周囲に多くの人がいることによって,援助行動が抑制されること。

同調

集団において多数派の意見や期待に合わせて,個人の意見や行動が変化すること。

社会的促進

他者の存在によって作業の効率が向上すること。

集団思考

集団的な討議を行うことによって,一人で出す結論よりも極端な結論を導きだしやすい。

より安全志向な結論が得られやすくなることは,「コーシャス・シフト」という。

より危険な結論が得られやすくなることは,「リスキー・シフト」という。


立派な資料が出来上がりました。


〈傍観者効果について〉


社会福祉士・保健福祉士の国家試験では出題されませんが,人を助けるという心理プロセスとして,以下のようなものがあるとされます。


1 何か深刻な事態が生じているという認識 

  ↓  ↓

2 事態が危機的状況であるという認識

  ↓  ↓

3 自分に助ける責任があるという認識

  ↓  ↓

4 どうやって助ければよいかを自分は知っているという認識

  ↓  ↓

5 援助しようという決断


傍観者効果が起きるのは,周囲に目撃者が多いと,「3 自分に助ける責任があるという認識」が起きにくいためです。そのために4,5に進みません。


傍観者効果というものがあることを知っていれば,ほかの誰かが助けてくれるだろうと思わないので,援助行動を取りやすくなります。

2021年4月10日土曜日

応用力って本当に必要なのだろうか?

国家試験に合格するためには,応用力が必要である,という人がいます。


「応用力」とは,基礎的な知識をその場に合わせて展開することをいいます。


丸暗記勉強している人は,そういった意味では,「応用力」が必要なのかもしれません。

しかし,それは勉強方法自体が間違っています。


覚えたものと同じ文章では出題されることはないのですから,その意味を押さえた勉強が欠かせません。


丸暗記勉強は,百害あって一利なし


そういった意味では,穴埋め式の参考書がありますが,完成された文章の意味が理解できていなければ,そういった参考書は危険です。


それでは,「どの参考書を使って勉強したらよいのか」という疑問はあると思いますが,何を使うかはそれほど重要ではありません。


重要なのは「どのように勉強するか」です。


最も多く使われているものが良いのか,ということではありません。

社会福祉士の国家試験の合格率は,約30%です。


最も多く使われている参考書は,「最も不合格者を出しているものである」と考えることもできます。


応用力が必要だと本気で思うなら,勉強方法を見直したほうがよいです。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題10 思考や知能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 拡散的思考とは,問題解決の際に,1つの解答を探索しようとする思考方法である。

2 洞察とは,問題解決のための方法を1つひとつ試して,成功する手法を探していく思考方法である。

3 知能指数(IQ)は,知能検査から得られる生活年齢と暦年齢の比によって計算される。

4 結晶性知能とは,過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことである。

5 成人用知能検査であるWAISは,フランスのビネー(Binet,A)によって開発された。


この時の国試を受けた人は,この問題を見て「何,これ難しい」と思ったことでしょう。


これが国試です。


応用とかではなく,基礎的知識で十二分に通用しますが,丸暗記の人は太刀打ちすることができないでしょう。


なぜなら,正解は選択肢4

4 結晶性知能とは,過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことである。


だからです。


この文章を見て,しっくりこない人は,覚え方を考えたほうが良いです。


結晶性知能が出題された時,瞬時に思い起こさなければならないのは,「流動性知能」です。


選択肢4の「結晶性知能」のところに「流動性知能」をあてはめてみます。


流動性知能とは,過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことである。


これは違うだろうと判断できそうです。


この感覚が何よりも大切です。


こう思えることで,選択肢4はとりあえず間違いではなさそうだと判断できそうなので,▲をつけます。


それでは,それ以外の選択肢も見てみましょう。


1 拡散的思考とは,問題解決の際に,1つの解答を探索しようとする思考方法である。


余談ですが,国家試験で,「思考」について出題されたのは,この時が初めてです。出題基準にあっても出題されていないものが実はまだあります。


これから今のカリキュラムのラストに向けて,穴埋めしていくように出題されることでしょう。


拡散的思考は,収束的思考とセットになるものです。


拡散的思考は,思考を広げていくもの。

収束的思考が,この選択肢のように,さまざまな事象を通して,一つの結論を見出す思考法です。


今は参考書に書いてあることですが,参考書に書いていないものが出題された時は,決して焦らないことです。なぜなら多くの場合,そこには正解は配置されないからです。


これが国試当日実践できれば,無駄なミスは防ぐことができるでしょう。


2 洞察とは,問題解決のための方法を1つひとつ試して,成功する手法を探していく思考方法である。


これを消去するためには,学習理論を理解していなければなりません。

洞察は知らなくても「洞察学習」は勉強したはずです。チンパンジーの実験でおなじみですね。

チンパンジーは,試行錯誤せずとも,高いところにあるバナナをたたき落とすことができました。


洞察も同じように「試行錯誤しない」と推測することができます。洞察は,別な言い方をすると「ひらめき」です。

試行錯誤しながら,解決策を見出すのはネコの実験で有名な試行錯誤です。


3 知能指数(IQ)は,知能検査から得られる生活年齢と暦年齢の比によって計算される。


知能指数の計算方法は,ほんとうに久々の出題です。


第10回では以下のような出題がありました。


問題110 知能指数に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

 精神年齢(知能年齢)8歳6か月,生活年齢(暦年齢)7歳8か月の子どもの知能指数はいくらか。

1 90 

2 91 

3 110 

4 111  

5 上記の資料からは,算出できない。


知能指数をどのように計算するかは,知らなくても精神年齢が高ければ知能指数が高そうなことは推測できそうです。


しかし,この問題はとてもいじわるです。

精神年齢102か月

生活年齢(暦年齢)92か月


102÷92は,110.9となります。


四捨五入して111,つまり選択肢4が正解です。時間のない中で計算される問題で,さらに計算ミスは許されないという問題です。


今のカリキュラムではこんないじわるな問題は出題されません。


さて,今日の問題に戻ります。


生活年齢と暦年齢の比


となっていますが,第10回国試問題でわかるように,生活年齢と暦年齢は同じものです。


正しくは,精神年齢と生活年齢(暦年齢)の比です。


5 成人用知能検査であるWAISは,フランスのビネー(Binet,A)によって開発された。


ビネーは,正解で初めて知能検査を開発して人物として知られます。


それがビネー式知能検査です。日本版の田中ビネー知能検査が知られます。これによって算出されるのが知能指数(精神年齢÷生活年齢)です。


成人用知能検査であるWAIS(ウェイス)は,ウェクスラーが開発したものです。

対象年齢は,16歳から90歳11か月です。AはAdultを意味しています。


児童用知能検査は,WISC(ウィスク)です。

対象年齢は,5歳から16歳11か月です。Cは,Childrenを意味しています。


低年齢児用知能検査は,WPPSI(ウィプシ)です。

対象年齢は,2歳6か月から7歳3か月です。Pは,Preschool&Primaryを意味しています。


WPPSIは,乳児には使えません。社会福祉士の国家試験には出題されたことがありませんが,乳児にも使える知能検査として,


遠城寺式乳幼児分析的発達検査

新版K式発達検査


があります。これらはいずれも日本で開発されたものです。


もう想像はついているかと思いますが,WAIS,WISC,WPPSIのいずれにもWがついていますが,このWは,Wechslerを意味しています。


知能検査はビネー式に比べるとウェクスラー式のほうが,内容が高度です。


ビネー式は,単に知能指数を算出するのに対して,ウェクスラー式は,「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリ」「処理速度」の4つの指標と,そこから全検査知能指数(FSIQ)を算出することができます。


全体知能指数の平均は90~109ですが,各指標の数値にばらつきがある場合は要注意です。


第33回では以下の出題がありました。


第33回・問題13 心理検査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 特別支援学級への入級を検討したい子どもの知能検査を学校から依頼されたので,ロールシャッハテストを実施した。

2 改訂長谷川式簡易知能評価スケールの結果がカットオフポイントを下回ったので,発達障害の可能性を考えた。

3 10歳の子どもに知能検査を実施することになり,本人が了解したので,WAIS-Ⅳを実施した。

4 投影法による性格検査を実施することになったので,矢田部ギルフォード(YG)性格検査を実施した。

5 WISC-Ⅳの結果,四つの指標得点間のばらつきが大きかったので,全検査IQ(FSIQ)の数値だけで全知的能力を代表するとは解釈しなかった。


正解はわかりますね。選択肢5が正解です。


なお,カットオフポイントとは,判断するための基準の点数です。

たとえば,改訂長谷川式簡易知能評価スケールのカットオフポイントは,20点です。この点数を下回ると,認知症が疑われます。

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