2021年4月12日月曜日

ピアジェの発達段階

近年の国試で,発達心理学の中でも発達段階で出題されているのは,エリクソンとピアジェのものです。

 

今回は,そのうちのピアジェを取り上げます。

 

発達段階は以下の4段階です。

 

感覚運動期 

 ↓

前操作期

 ↓

具体的操作期

 ↓

形式的操作期

 

人の発達は,下の段階には戻りません。

 

防衛機制では「退行」(いわゆる赤ちゃん返り)がありますが,本当に心身の発達が下の段階に戻っているわけではなく,防衛機制によって,心理的に退行しているだけです。

 

それでは今日の問題です。

 

30回・問題12 ピアジェ(PiagetJ.)の認知発達理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 体積や量の保存の概念は,感覚運動期に獲得される。

2 自己中心的な思考は,形式的操作期の特徴である。

3 抽象的な論理的思考は,前操作期に発達する。

4 可逆的な操作は,具体的操作期に可能となる。

5 対象の永続性は,形式的操作期に獲得される。

 

知識ゼロの人は,消去できる選択肢がないので,5分の1の確率でしか正解することができません。

 

しかし,これが国試の理想形です。勉強していない人でも解ける問題ではだめなのです。

 

それでは解説です。

 

1 体積や量の保存の概念は,感覚運動期に獲得される。

 

保存の概念は,見かけが変わっても元と同じであると認識できることをいいます。

 

保存の概念を獲得できるのは,具体的操作期です。

 

2 自己中心的な思考は,形式的操作期の特徴である。

 

自己中心的な思考は,前操作期にみられる特徴です。

この時期には,まだ他者の立場で考えることができないからです。

 

3 抽象的な論理的思考は,前操作期に発達する。

 

抽象的な論理的思考は,具体的操作期からできるようになり,形式的操作期に発達していきます。

 

4 可逆的な操作は,具体的操作期に可能となる。

 

可逆的な操作とは,元に戻しても同じものだととらえることができることをいいます。

可逆的な操作ができるようになると,保存の概念が獲得されていきます。

 

5 対象の永続性は,形式的操作期に獲得される。

 

対象の永続性は,目の前に見えなくなっても,存在していることがわかることをいいます。

対象の永続性が獲得されるのは,感覚運動期です。

 

さて,それでは今回もまとめてみましょう。

 

感覚運動期

対象の永続性が獲得される。

前操作期

自己中心的な思考が特徴である。

保存の概念は獲得されていない。

具体的操作期

可逆的な操作ができるようになり,保存の概念が獲得される。

形式的操作期

抽象的な論理的思考ができるようになる。

 

またまた立派な資料が出来上がりました。

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