どれだけ勉強しても国家試験では,勉強したことがない問題が出題されます。
そういった問題は,たとえ得点できなくても合格基準点を超えることは可能です。
しかし,正解できたほうが良いに決まっています。
今回取り上げる問題もそういったタイプの問題です。
さて,今日のテーマは「プログラム評価」です。
プログラムって何?
プログラム評価って何?
と思う人は要注意です。
何かよくわからなくても,おおよそのイメージがつかめれば十分です。
正解できた勝ちだからです。
ネットで調べると
日本社会事業大学のホームページで
社会的介入プログラムとは、社会問題や社会状況を改善するために設計された、組織的で計画された、継続的な取組です。 プログラム評価とは、社会的介入プログラムの改善をはかったり、その存廃や発展の方向性に関する意志決定をするために行われる体系的で科学的なアプローチ方法のことです。 社会調査などの科学的手法を用いて、プログラムのさまざまなレベルの活動や機能、効果(ニーズ、プロセス、プログラム設計、アウトカム、効率)を科学的かつ体系的に把握、査定、検討して、社会システムの中に社会的介入プログラムを位置づけます。 |
と述べられています。
簡潔に言えば,プログラム評価とは,社会問題の解決に向けた取り組みを評価して,次の取り組みにつなげることです。
それでは今日の問題です。
第30回・問題29 福祉サービスのプログラム評価の方法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 サービスを提供する群と提供しない群に分けて比較する評価は行われない。
2 評価者は,評価指標の策定に当たり,利害関係者と協議してはならない。
4 プログラムの効率性は,産出された物やサービスの量のことである。
5 科学的な評価研究の結果を,実際のプログラム運営管理に活用してはならない。
難しい問題のように思いますが,正解するのはそれほど難しくありません。
言い切り表現に正解少なし
というテクニックが生きる問題だからです。
言い切りの選択肢は以下の3つです。
1 サービスを提供する群と提供しない群に分けて比較する評価は行われない。
2 評価者は,評価指標の策定に当たり,利害関係者と協議してはならない。
5 科学的な評価研究の結果を,実際のプログラム運営管理に活用してはならない。
このように並べてみると,どれも嘘っぽいと思いませんか。
選択肢1については,倫理上の問題が生じるので,実験が終わったら適切な介入を行うことが求められますが,このように群を分けて,比較検討することで,効果が検証できます。
選択肢2については,深く考えると混乱する元ですので,注意が必要です。
プログラムの中には,サービス提供の成果が含まれます。
福祉現場で言えば,利用者と一緒に立てた個別支援計画に相当します。
この文章が正しければ,個別支援計画を作るにあたって,利用者と話し合ってはいけないということになってしまいます。
選択肢5については,評価を活用しないで,何の意味があるのか,という感じですね。
残るは・・・
3 評価の次元は,投入,過程,産出,成果,効率性である。
4 プログラムの効率性は,産出された物やサービスの量のことである。
迷うのは,選択肢4のプログラムの効率性でしょう。
一見すると正しく思えるかもしれません。
しかし,量だけに着目すると,費用をかけて多くのものを生み出すのと,費用をかけないで多くのものを生み出すのでは,効率性という意味では後者のほうが効率的だと言えるでしょう。
例えば,車のエンジンが2つあって,
①リッター30キロの燃費で100馬力
②リッター5キロの燃費で100馬力
生み出す量は同じでも効率性という面では,②に軍配が上がりそうです。
つまり,プログラムの効率性とは,投入した量に対する成果の量だと言えるでしょう。
ということで残るのは,選択肢3です。
3 評価の次元は,投入,過程,産出,成果,効率性である。
こんなのを知っている人はいないでしょう。
しかし,冷静に考えると正解できます。
これが国家試験です。