今回は,バーンアウト(燃え尽き症候群)を取り上げます。
バーンアウトは,1980年にフロイデンバーガーによって提唱され,その後マスラックがバーンアウトの状態を測定する尺度であるBMIを開発しました。
バーンアウトの症状は
1.情緒的消耗感(精神的な疲労などによって,それ以上努力できなくなってしまうこと)
↓ ↓
2.脱人格化(人を物のように扱ってしまうこと)
↓ ↓
3.個人的達成感の低下(自分に対する自信の喪失や仕事などに対するやりがいの喪失)
の順番に現われるとされます。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題13 バーンアウト(燃え尽き症候群)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 対人援助職に生じることは少ない。
2 援助対象者一人ひとりの感情に配慮した行動をとりやすくなる。
3 極度の身体的疲労は示すが,情緒的問題は少ない。
4 個人の能力やスキル不足が主な原因であり,職場環境の影響は小さい。
5 仕事に対する個人的達成感の低下が生じる。
前回取り上げた問題と異なり,この問題は勉強不足の人でもおそらく正解できます。
こういう問題が多ければ,合格基準点が上がります。
合格基準点が上がると,ぎりぎりのところで不合格になった人から不満の声が出ますが,得点しやすい問題で正解できなかったという事実から目をそらすと,次の年の受験に悪影響を及ぼすので注意が必要です。
さて,この問題の正解は,選択肢5です。
5 仕事に対する個人的達成感の低下が生じる。
何のひねりもありません。
知識ゼロの人でもこれを選べるでしょう。
それにもかかわらず,これを選べなかった人は,何かの理由があるはずです。
最も考えられるのは,ほかの選択肢との関係です。
2 援助対象者一人ひとりの感情に配慮した行動をとりやすくなる。
先に述べたように,バーンアウトになると,人を物のように扱ってしまう「脱人格化」が生じます。
そのため,援助対象者一人ひとりの感情に配慮することが少なくなります。
しかし,変に勘繰ると,人の感情に配慮した行動をとるようになるのかもしれない,考えてしまいます。
そうすると深い深い迷いの森に入り込んでしまいます。
国家試験は,多くの人が思うほど意地悪ではありません。
人の感情に配慮した行動をとるようになるのかもしれないなどと考えることなく,「仕事に対する個人的達成感の低下が生じる」を選ばなければなりません。
迷いの森に入り込まないためには,自信を持つことが必要です。
ほかの選択肢は解説しません。わかりやすいからです。