わけのわからないタイトルで失礼します。
社会福祉士の国家試験は,全体の6割程度が正解できれば合格できます。
最後の力を出し切るには,「強い心」が必要だと思うのです。
「強い心」というのは,決して非科学的なものではなく,極めて科学的なものです。
かつて「想定内」という言葉がはやったことがあります。
強い心は,多くのことを想定しておくことで形作られていきます。
合格ラインが7割程度なら試験突破のハードルが高くなりますが,6割程度なら手が届く範囲です。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題15 日本の裁判員制度に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 裁判員制度は,一般市民の側からの要求に基づいて導入された。
2 裁判員制度の導入により,刑期が軽い方向へシフトしている。
3 裁判員を経験した人へのアンケート調査の結果では,あまりよい経験でなかったと感じている人が多い。
4 裁判員制度は,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを趣旨としている。
5 裁判員制度は,近代の自律的法としての普遍性を高めることを目的としている。
社会福祉士の国家試験で,裁判員制度が出題されたのは,後にも先にもこの時1回のみです。
今後も出題されることはないように思います。
そのため内容を覚えることには,ほとんど意味をもちません。
国試ではそういった問題が一定数出題されています。
必要なのは,そういった問題が出題されても対応できる「強い心」を養うことです。
そうすれば,正解できる確率が高まります。
この問題の正解は,選択肢4です。
4 裁判員制度は,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを趣旨としている。
一問一答式で勉強すると,何の疑問を生じることもなく,正解であると思えるでしょう。
しかし,「強い心」を持たず,うろたえると正解以外の選択肢に影響されて正解することができません。
それが国試の怖さです。
それでは正解以外の選択肢を見てみましょう。
1 裁判員制度は,一般市民の側からの要求に基づいて導入された。
どのような経緯があって導入されたのかを知っている人はいなかったでしょう。
そのため,焦ることなく,▲をつけておきます。
結果として×になる選択肢です。
正しい導入の経緯は,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上への期待です。
2 裁判員制度の導入により,刑期が軽い方向へシフトしている。
詳細を見ると,刑期が軽い方向にシフトしているものもありますが,前提としては重い方にシフトしています。
なぜなら,選択肢5にも関係しますが,裁判官裁判は,これまでの判例とのバランスの中で量刑を決めますが,裁判員裁判は,そういったことはあまり重視されないからです。
3 裁判員を経験した人へのアンケート調査の結果では,あまりよい経験でなかったと感じている人が多い。
それもよく分かりません。
▲をつけておきます。
結果的に×になる選択肢です。
良い経験だったと感じている人が多かったようです。
もし本当にあまりよい経験でなかった,というアンケート結果だったとしたら,正解となる,
4 裁判員制度は,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを趣旨としている。
という趣旨は意味がなかったことになってしまいます。
5 裁判員制度は,近代の自律的法としての普遍性を高めることを目的としている。
自律的法とは,誰もが納得できる近代的な法のことです。
普遍性を担保するなら,専門性の高い裁判官裁判のほうが向いています。
裁判員裁判だと,同じような犯罪でも違った量刑になることがあるからです。
社会的な関心,犯罪者に対する批判,など様々な要因が絡まって判断されるからです。
<今日の一言>
▲をつけたのは,以下の選択肢です。
1 裁判員制度は,一般市民の側からの要求に基づいて導入された。
3 裁判員を経験した人へのアンケート調査の結果では,あまりよい経験でなかったと感じている人が多い。
そして正解です。
4 裁判員制度は,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを趣旨としている。
選択肢1と3,選択肢4を比べると,選択肢4のほうがメッセージ性が高いと思いませんか?
「強い心」があると,こういったことに気を配ることができるようになるでしょう。