今回は,オペラント条件づけを取り上げたいと思います。
用語を整理したいと思います。
正 |
行動することによって,本人にとって,好ましいもの(快刺激)や好ましくないもの(不快刺激)が現れること。 |
負 |
行動することによって,本人にとって,好ましいもの(快刺激)や好ましくないもの(不快刺激)が除去されること。 |
強化 |
正あるいは負の結果,行動の出現が増加すること。 |
罰 |
正あるいは負の結果,行動の出現が減少すること。 |
これを覚えたらあとは,その組み合わせです。
正の強化
正の罰
負の強化
負の罰
となります。
頭の中でそれぞれの具体例を思い浮かべることができればOKです。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題9 次の記述のうち,オペラント条件づけにおける正の強化の事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 いたずらをしている子どものゲーム機を取り上げたら,いたずらをやめた。
2 宿題をやってくるたびに褒めていたら,宿題を忘れずにやってくるようになった。
3 授業中,勝手に話をしていた生徒を叱ったら,私語がなくなった。
4 好きな曲が流れているテレビCMの商品に好感を持つようになった。
5 デイサービスで嫌な思いをした高齢者が,デイサービスを休むようになった。
正の強化は最も理解しやすいでしょう。
そのためにこの問題の難易度は低くなったと思います。
もし,正の罰,負の強化を選ぶ問題だったとしたら,難易度はものすごく高くなったことでしょう。
同じ内容でも出題のしかたによって,難易度が変わる例です。
この問題は,最も無難な「正の強化」を選ぶものにしています。こういったところに第30回国試らしさが表れているように思います。
それでは解説です。
1 いたずらをしている子どものゲーム機を取り上げたら,いたずらをやめた。
子どもにとって,ゲームは快刺激でしょう。それを取り上げているもので「負」です。
そのことによって「いたずら」という行動が減っているので「罰」です。
つまり「負の罰」です。
2 宿題をやってくるたびに褒めていたら,宿題を忘れずにやってくるようになった。
これが正解です。
子どもにとって褒められることは「快刺激」です。それが現れているもので「正」です。
そのことによって「宿題を忘れずにやってくる」という行動が増えたので,「強化」です。
つまり「正の強化」です。
3 授業中,勝手に話をしていた生徒を叱ったら,私語がなくなった。
子どもにとって叱られることは「不快刺激」です。それが現れているので,「正」です。
そのことによって「私語」という行動が減ったので,「罰」です。
つまり「正の罰」です。
4 好きな曲が流れているテレビCMの商品に好感を持つようになった。
これは,オペラント条件づけではなく,レスポンデント条件づけです。
好きな曲という刺激が,商品に交換を持つという反応になっているからです。
このようにレスポンデント条件づけの特徴は,刺激が反応を変化させることが特徴です。
5 デイサービスで嫌な思いをした高齢者が,デイサービスを休むようになった。
これもレスポンデント条件づけです。
嫌な思いをしたという刺激が,デイサービスに行きたくない(結果として休む)という反応に変わっているからです。
複雑そうに見えますが,正と負,強化と罰が整理できれば,そんなに難しくないはずです。
次に出題されるときは,正の強化以外を正解にすることがあると思いますので,整理してしっかり覚えておきことが大切です。