2021年4月9日金曜日

オペラント条件づけの「正と負」「強化と罰」の整理法

今回は,オペラント条件づけを取り上げたいと思います。

 

用語を整理したいと思います。

 

行動することによって,本人にとって,好ましいもの(快刺激)や好ましくないもの(不快刺激)が現れること。

行動することによって,本人にとって,好ましいもの(快刺激)や好ましくないもの(不快刺激)が除去されること。

強化

正あるいは負の結果,行動の出現が増加すること。

正あるいは負の結果,行動の出現が減少すること。

 

これを覚えたらあとは,その組み合わせです。

 

正の強化

正の罰

負の強化

負の罰

 

となります。

 

頭の中でそれぞれの具体例を思い浮かべることができればOKです。

 

それでは,今日の問題です。

 

30回・問題9 次の記述のうち,オペラント条件づけにおける正の強化の事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 いたずらをしている子どものゲーム機を取り上げたら,いたずらをやめた。

2 宿題をやってくるたびに褒めていたら,宿題を忘れずにやってくるようになった。

3 授業中,勝手に話をしていた生徒を叱ったら,私語がなくなった。

4 好きな曲が流れているテレビCMの商品に好感を持つようになった。

5 デイサービスで嫌な思いをした高齢者が,デイサービスを休むようになった。

 

正の強化は最も理解しやすいでしょう。

そのためにこの問題の難易度は低くなったと思います。

 

もし,正の罰,負の強化を選ぶ問題だったとしたら,難易度はものすごく高くなったことでしょう。

 

同じ内容でも出題のしかたによって,難易度が変わる例です。

 

この問題は,最も無難な「正の強化」を選ぶものにしています。こういったところに第30回国試らしさが表れているように思います。

 

それでは解説です。

 

1 いたずらをしている子どものゲーム機を取り上げたら,いたずらをやめた。

 

子どもにとって,ゲームは快刺激でしょう。それを取り上げているもので「負」です。

 

そのことによって「いたずら」という行動が減っているので「罰」です。

 

つまり「負の罰」です。

 

 

2 宿題をやってくるたびに褒めていたら,宿題を忘れずにやってくるようになった。

 

これが正解です。

 

子どもにとって褒められることは「快刺激」です。それが現れているもので「正」です。

 

そのことによって「宿題を忘れずにやってくる」という行動が増えたので,「強化」です。

 

つまり「正の強化」です。

 

3 授業中,勝手に話をしていた生徒を叱ったら,私語がなくなった。

 

子どもにとって叱られることは「不快刺激」です。それが現れているので,「正」です。

 

そのことによって「私語」という行動が減ったので,「罰」です。

 

つまり「正の罰」です。

 

4 好きな曲が流れているテレビCMの商品に好感を持つようになった。

 

これは,オペラント条件づけではなく,レスポンデント条件づけです。

 

好きな曲という刺激が,商品に交換を持つという反応になっているからです。

 

このようにレスポンデント条件づけの特徴は,刺激が反応を変化させることが特徴です。

 

5 デイサービスで嫌な思いをした高齢者が,デイサービスを休むようになった。

 

これもレスポンデント条件づけです。

 

嫌な思いをしたという刺激が,デイサービスに行きたくない(結果として休む)という反応に変わっているからです。


複雑そうに見えますが,正と負,強化と罰が整理できれば,そんなに難しくないはずです。

次に出題されるときは,正の強化以外を正解にすることがあると思いますので,整理してしっかり覚えておきことが大切です。


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