各国の福祉制度は,それぞれ特徴があります。
さまざまな角度から出題されるので難しく感じると思いますが,その特徴を押さえておくと対応可能です。
そのうち,スウェーデンでは,1990年代に「エーデル改革」と呼ばれるものが有名です。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題27 各国の福祉改革に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 スウェーデンのエーデル改革は,高齢者の保健医療は広域自治体,介護サービスはコミューンが実施責任を負うとする改革であった。
2 イギリスのブレア内閣の社会的排除対策は,財政の効率化,市場化,家族責任など「大きな社会」理念に基づくものであった。
3 日本の介護保険制度は,給付に要する費用の全額を保険料の負担として,財源の安定を目指した。
4 ドイツの介護保険制度は,障害者の介護サービスを除外して創設された。
5 アメリカのTANF(貧困家族一時扶助)は,「就労から福祉へ」の政策転換であった。
正解は,選択肢1です。
1 スウェーデンのエーデル改革は,高齢者の保健医療は広域自治体,介護サービスはコミューンが実施責任を負うとする改革であった。
スウェーデンでは1982年の社会サービス法ができて,福祉制度が急速に整備されていきました。
しかし社会的入院(入院の必要性がなくても,地域生活を送るには問題があり入院すること)が起こり,それを改善するために行ったのがエーデル改革です。
2 イギリスのブレア内閣の社会的排除対策は,財政の効率化,市場化,家族責任など「大きな社会」理念に基づくものであった。
イギリスが出題される場合は,サッチャー首相とブレア首相の政策の対比です。
保守党のサッチャーは,それまでの政策を転換させて,小さな政府を目指した改革を行いました。
労働党のブレアは,サッチャー以前の「大きな政府」でもサッチャーの「小さな政府」でもない「第三の道」を選びました。
福祉にお金をかけられる体力はもうイギリスにはなかったからです。
3 日本の介護保険制度は,給付に要する費用の全額を保険料の負担として,財源の安定を目指した。
介護保険は,ドイツ,日本,韓国を対比して覚えることが大切です。
ドイツは,全額保険料が財源です。
日本と韓国は,保険料だけではなく,公費(税)も財源として運用されています。
4 ドイツの介護保険制度は,障害者の介護サービスを除外して創設された。
ドイツの介護保険は,日本と異なり,高齢者も障害者もなく,介護サービスが必要な場合,利用できることが特徴です。
5 アメリカのTANF(貧困家族一時扶助)は,「就労から福祉へ」の政策転換であった。
アメリカのTANFは,「福祉から就労へ」です。
この流れは,イギリスも日本も同様です。