学術用語の廃用症候群は,一般の人に理解しやすいように「生活不活発病」と言い換えられるようになってきていますが,どちらも同じです。
廃用症候群とは,体を動かさない状態が長く続くことで,さまざまな心身機能が低下するものです。
どんなものが機能低下するかは,体を動かさないとどのような機能に影響がありそうかを考えると良いです。
一つひとつを覚える必要はないと言えます。
それでは今日の問題です。
第30回・問題7 廃用症候群に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 関節拘縮は起こりにくい。
2 筋の萎縮は起こりにくい。
3 高齢者では起こりにくい。
4 起立性低血圧が起こりやすい。
5 急性期リハビリテーションで離床を早期から行うことで起こりやすい。
余計なことを考えなければ,選択肢1・2・3は,すぐさま消去できることでしょう。
ちょっとおかしな文章なのは,選択肢5でしょう。
5 急性期リハビリテーションで離床を早期から行うことで起こりやすい。
もともとの文章は
5 急性期リハビリテーションで離床を早期から行うことで起こりにくい。
だったと思われます。それを単純に否定形に変えることで×の選択肢にしたものと考えられます。
正解は,選択肢4です。
4 起立性低血圧が起こりやすい。
起立性低血圧とは,立ちくらみのことです。
たとえば風邪などで安静にしていた後に,起き上がろうとしたときに,立ちくらみすることがあります。
それほど長い期間でなくてもちょっと体を動かさないだけで,心身機能は低下することを物語っています。
<今日の一言>
今日の問題を正解するのは簡単です。
だからといって,国試会場でも簡単に解けるかどうかは別の話です。
「自分は本番に弱い」と思う人はよくよく注意しないと,こういった問題でも読み間違いなどのミスをします。
簡単な問題が多ければ多いほど,ミスは命取りとなりかねません。
今取り上げている第30回国試は,合格基準点が99点になった年です。
いくつかの要因が重なってこの点数になってしまったのですが,合格するのがほかの年と比べて難しかったのかと言えば,決してそんなことはありません。
近年の国家試験は,合格率が30%程度で推移しており,みんなが解ける問題が多ければ点数が上がり,みんなが解けない問題が多ければ点数が下がります。
知識をつけることは,国試に合格するために必要ですが,それだけで合格できるものではないことは,何度も受験しても合格できない人が多くいることでわかるかと思います。
そういった人は,なぜミスするのかを自己分析しないと同じミスをすることでしょう。
それをせずに,単に知識不足だと思うと,また同じミスをします。
この学習部屋は,もともとそういった人のために開設したものです。問題の目の付けどころがわかれば,ミスは減るでしょう。