2022年10月13日木曜日

準拠集団(リファレンス・グループ)

今回は,準拠集団を取り上げます。


準拠集団(リファレンス・グループ)とは,自分の価値・行動・判断などに影響を与える集団のことです。


準拠とは,「参考にする」といった意味合いです。


それでは今日の問題です。


第31回・問題19 社会集団に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 第一次集団とは,ある特定の目的のために人為的に作り出された組織である。

2 フォーマルグループとは,企業や官庁のような一定の目的のために成文化された規則と命令系統を持つ組織である。

3 ゲゼルシャフトとは,相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会である。

4 準拠集団とは,共同生活の領域を意味し,典型的な例は地域社会である。

5 コミュニティとは,特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団である。


今日のテーマの「準拠集団」は,選択肢4に登場しています。


それでは,解説です。


1 第一次集団とは,ある特定の目的のために人為的に作り出された組織である。


第一次集団は,親密で対面的な集団です。仲間などが第一次集団です。


ある特定の目的のために人為的に作り出された組織は,おそらく第二次集団のことを述べているものでしょう。


2 フォーマルグループとは,企業や官庁のような一定の目的のために成文化された規則と命令系統を持つ組織である。


これが正解です。前回取り上げた第28回国試の問題は,インフォーマルグループが正解となっていて,今回はフォーマルグループが正解になっています。


これらの問題は,おそらく同じ試験委員が作ったものだと思われます。


3 ゲゼルシャフトとは,相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会である。


ゲゼルシャフトは,選択意思に基づく集団です。マッキーバーが提唱したアソシエーションにほぼ重なります。


4 準拠集団とは,共同生活の領域を意味し,典型的な例は地域社会である。


準拠集団は,自分の価値・行動・判断などに影響を与える集団です。


共同生活の領域を意味し,典型的な例は地域社会だというのは,コミュニティを意味しています。


5 コミュニティとは,特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団である。


特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団は,アソシエーションです。


2022年10月11日火曜日

ホネットの承認論

令和元年度のカリキュラムの「社会福祉の原理と政策」では,想定される教育内容の例として「社会的承認」が含まれています。


しかし,テキストには載っていません。なぜか不思議です。


とは言っても国家試験では,既に一度出題されています。それが今日のテーマのホネットの承認論です。


社会的に認める,社会的に認められる,という双方の意味を持つ概念です。


ホネットは,

①愛情

②法制度

③連帯


が社会的承認につながるものだと考えました。


①愛情は,何となくわかると思います。


②法制度は,法によって守られるという要素があります。法が認めているのだから,自分も認めるということにつながるのでしょう。


③連帯は,人のつながりです。サムナーは,社会集団をわれわれという概念を持つ「内集団」と彼らという概念を持つ「外集団」に分類しました。


内集団のほうが連帯意識を持つのではないかと思います。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題23 福祉社会づくりに関わる次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ポランニー(Polanyi,K.)の互酬の議論では,社会統合の1つのパターンに相互扶助関係があるとされた。

2 ブルデュー(Bourdieu,P.)が論じた文化資本とは,地域社会が子育て支援に対して寄与する財のことをいう。

3 ホネット(Honneth,A.)が論じた社会的承認とは,地域社会における住民による福祉団体に対する信頼と認知に関わる概念である。

4 デュルケム(Durkheim,E.)が論じた有機的連帯とは,教会を中心とした共助のことをいう。

5 バージェス(Burgess,E.)が論じた同心円地帯理論は,農村の村落共同体の共生空間をモデルにしている。


ものすごく難しい問題です。


難しい問題があると批判が出ますが,合格基準点が下がるだけの話なので,何の心配もありません。



それでは解説です。


1 ポランニー(Polanyi,K.)の互酬の議論では,社会統合の1つのパターンに相互扶助関係があるとされた。


これが正解です。


互酬とは,お互い様という概念です。何かをしてもらったら何かをして返すといったことが互酬の一つです。


相互扶助の原点に互酬があるのが分かるのではないかと思います。


2 ブルデュー(Bourdieu,P.)が論じた文化資本とは,地域社会が子育て支援に対して寄与する財のことをいう。


文化資本は,立ち居振る舞いや教養などが世代を超えて継承される資本のことをいいます。


医師の子どもは医師が多い,というのも勉強するという家庭文化があるからだと言えます。


3 ホネット(Honneth,A.)が論じた社会的承認とは,地域社会における住民による福祉団体に対する信頼と認知に関わる概念である。


今日のテーマの「ホネットの承認論」が登場しました。


地域社会における住民による福祉団体に対する信頼と認知に関わる概念という小さな事象に関する概念ではありません。


社会的に認める,社会的に認められる,という双方の意味を持つ概念です。


4 デュルケム(Durkheim,E.)が論じた有機的連帯とは,教会を中心とした共助のことをいう。


有機的連帯とは,必要に応じて,様々な能力・技能をもった人たちが集まって行う分業のことをいいます。


有機的とは,変化していくという意味です。


有機的連帯の対義語は,機械的連帯です。機械的連帯は,同質の人たちによる協力といった意味合いです。


機械的連帯では,得意・不得意に関係なく,みんなで同じことをするので,作業効率は決して高くありません。


それに対して,有機的連帯は,さまざまな専門家集団が発生するので,作業効率が上がります。


社会の発展の点からみるとも機械的連帯から有機的連帯に発展していくと考えられます。


5 バージェス(Burgess,E.)が論じた同心円地帯理論は,農村の村落共同体の共生空間をモデルにしている。


同心円地帯理論は,久しぶりに出題されてびっくりしました。数合わせで出題したのかなぁと思ってしまいます。


都市は,都心部を中心とした同心円によって,発展していくと考えるのが同心円地帯理論です。


都心に近いところに住む人は労働者,その郊外に工場地帯,またその先には,富裕層の住宅地といったように広がっていくのが,同心円地帯理論です。都市社会学の概念の一つです。


2022年10月10日月曜日

ソーシャルキャピタル(社会関係資本)について

ソーシャルキャピタルとは,信頼,規範,ネットワークなど,人々や組織の調整された諸活動を活発にする資源のことをいいます。


直訳すると社会資本とになりますが,それだと社会インフラと混同してしまうために,社会関係資本と訳されるのが一般的です。


それでは,今日の問題です。


第27回・問題20 ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 補助金などの形で政府や市町村が提供する資源

2 地域固有の景観や歴史的建造物などの資源

3 教育や職業訓練によって醸成される個人の能力という資源

4 信頼,規範,ネットワークなど,人々や組織の調整された諸活動を活発にする資源

5 道路などのように国民が共同で利用する公共的な資源


正解は,前説のとおり,選択肢4です。


4 信頼,規範,ネットワークなど,人々や組織の調整された諸活動を活発にする資源


ソーシャルキャピタルのことを少しでも知っていれば,それほど難しい問題ではありません。


社会福祉士の国家試験とはこういったものです。


それでは,このほかの選択肢も確認します。


1 補助金などの形で政府や市町村が提供する資源


これは行政資源を述べたものです。


2 地域固有の景観や歴史的建造物などの資源


これは,観光資源を述べたものです。


3 教育や職業訓練によって醸成される個人の能力という資源


これは,文化資産を述べたものです。


5 道路などのように国民が共同で利用する公共的な資源


これは社会資本を述べたものです。

2022年10月9日日曜日

人口ボーナスとは

人口ボーナスという用語を聞いたことがあるでしょうか。


国家試験ではたった1回しか出題されたことがありませんが,いきなり正解となったものです。


人口ボーナスとは,総人口に占める生産年齢人口(15~64歳人口)が増加していき,労働力が豊富で,経済活動が活発となる状態を指します。


この逆の状態は人口オーナスといいます。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題18 人口に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 人口転換とは,「多産多死」から「少産多死」を経て「少産少死」への人口動態の転換を指す。

2 世界人口は,国連の予測では,2020年以降減少すると推計されている。

3 第二次世界大戦後の世界人口の増加は,主に先進諸国の人口増加によるものである。

4 日本の人口は,高度経済成長期以降,減少が続いている。

5 人口ボーナスとは,人口の年齢構成が経済にとってプラスに作用することをいう。


正解は,選択肢5です。

5 人口ボーナスとは,人口の年齢構成が経済にとってプラスに作用することをいう。


先に書いたように,国家試験では現時点ではこの時の1回しか出題されたことはありませんが。旧カリのテキストでも新カリのテキストでも記載があるので,覚えておきたいです。


ほかの選択肢も解説します。


1 人口転換とは,「多産多死」から「少産多死」を経て「少産少死」への人口動態の転換を指す。


人口転換とは

多産多死(出生率が高いが,死亡率も高い状態)

 ↓↓

多産少死(出生率が高く,死亡率が低い状態)

 ↓↓

少産少死(出生率が低く,死亡率も低い状態)


という人口動態の転換プロセスのことです。


2 世界人口は,国連の予測では,2020年以降減少すると推計されている。


世界人口は,2020年代も増加しています。この増加はまだまだ続きます。


3 第二次世界大戦後の世界人口の増加は,主に先進諸国の人口増加によるものである。


世界人口の増加の要因は,主に発展途上国の人口増加によるものです。


4 日本の人口は,高度経済成長期以降,減少が続いている。


日本の合計特殊出生率は,第二次ベビーブーム後の高度経済成長以降,減少傾向にあります。


しかし,人口が減少に転じたのは,2008年(平成20年)のことです。


出生率が低下してから実際に人口が減少するまではこのようにタイムラグか生じます。

その逆に,出生率が上昇し始めても人口が増加するまでにもタイムラグが生じます。


2022年10月8日土曜日

業績主義と属性主義

今回は,業績主義と属性主義を取り上げます。


ここで,知っておきたい概念として「社会移動」があります。


社会移動とは,社会の中での地位が変わることを意味したものです。


自分の一生の中で地位が変わることを「世代内移動」,親と子の間で地位が変わることを「世代間移動」といいます。


業績主義は,個人の努力や実績によって,地位が変わることをいいます。


属性主義は,家柄などによって地位が固定していることをいいます。属性主義で,重要なのは家柄などです。


それでは,今日の問題です。


第31回・問題17 近代社会の特質の1つとして,出自や性別など属性ではなく個人の教育達成や職業選択によって,流動的に社会移動するようになることが指摘できる。このことを示す用語として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 民主主義

2 業績主義

3 産業化

4 合理化

5 機能分化


正解は,選択肢2の「業績主義」です。設問の中に「属性」という用語があり,属性ではなく,と明確にいっていることから「業績主義」だとすぐわかる問題です。


この問題からわかることは,「業績主義」VS「属性主義」のようにセットになっているものは,一緒に覚えることが大切であることです。


これにはもう一つあって「セット入れ替え手法」という問題の作り方に対応するためでもあります。


セット入れ替え作問法はこちら

https://fukufuku21.blogspot.com/2022/02/blog-post_28.html


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