今回は,準拠集団を取り上げます。
準拠集団(リファレンス・グループ)とは,自分の価値・行動・判断などに影響を与える集団のことです。
準拠とは,「参考にする」といった意味合いです。
それでは今日の問題です。
第31回・問題19 社会集団に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 第一次集団とは,ある特定の目的のために人為的に作り出された組織である。
2 フォーマルグループとは,企業や官庁のような一定の目的のために成文化された規則と命令系統を持つ組織である。
3 ゲゼルシャフトとは,相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会である。
4 準拠集団とは,共同生活の領域を意味し,典型的な例は地域社会である。
5 コミュニティとは,特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団である。
今日のテーマの「準拠集団」は,選択肢4に登場しています。
それでは,解説です。
1 第一次集団とは,ある特定の目的のために人為的に作り出された組織である。
第一次集団は,親密で対面的な集団です。仲間などが第一次集団です。
ある特定の目的のために人為的に作り出された組織は,おそらく第二次集団のことを述べているものでしょう。
2 フォーマルグループとは,企業や官庁のような一定の目的のために成文化された規則と命令系統を持つ組織である。
これが正解です。前回取り上げた第28回国試の問題は,インフォーマルグループが正解となっていて,今回はフォーマルグループが正解になっています。
これらの問題は,おそらく同じ試験委員が作ったものだと思われます。
3 ゲゼルシャフトとは,相互の感情や了解に基づく緊密な結び付きによる共同社会である。
ゲゼルシャフトは,選択意思に基づく集団です。マッキーバーが提唱したアソシエーションにほぼ重なります。
4 準拠集団とは,共同生活の領域を意味し,典型的な例は地域社会である。
準拠集団は,自分の価値・行動・判断などに影響を与える集団です。
共同生活の領域を意味し,典型的な例は地域社会だというのは,コミュニティを意味しています。
5 コミュニティとは,特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団である。
特定の共通関心を追求するために明確に設立された社会集団は,アソシエーションです。