社会学では,長らく「ライフサイクル」(人生周期)についての研究がなされてきましたが,今日では,人の人生は多様化し,従来のライフサイクルではとらえきれなくなってきています。
そのため,多様な人生をとらえるために「ライフコース」(人生行路)という概念が登場してきています。
ライフサイクル研究では,就職,結婚,出産,育児,退職,といったライフステージに焦点を当てるのに対し,ライフコースでは,こういった標準的なとらえ方はしません。
それでは今日の問題です。
第33回・問題18 次のうち,標準的な段階設定をすることなく,社会的存在として,個人がたどる生涯の過程を示す概念として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 家族周期
2 ライフステージ
3 コーホート
4 ライフコース
5 生活構造
近年の国家試験では,このようなワンフレーズ問題が登場しています。
知識がある人にとっては,秒で正解がわかりますが,知識がない人はまったく推測することができません。
勉強を積み重ねた人にとっては,時間をかけないで解くことができるありがたい問題スタイルだと言えるでしょう。
正解は,選択肢4「ライフコース」です。
人生をとらえる用語は「ライフ」がたくさん出てくるので,混乱しがちです。
この中で,ちょっと解説しておきたいのは,「コーホート」です。
コーホートは,出生に同じ属性をもつ集団をいいます。
たとえば,東日本大震災が発生した時に小学校高学年だった年代,といったものです。
ほかの年代とは違った価値観がありそうな感じがしませんか。