今回は,暴露療法(エクスポージャー法)を取り上げます。心理療法はたくさんの種類があり,覚えるのが面倒だと思いますが,毎回出題されているので,確実に覚えて1点をゲットしたいです。
暴露療法(エクスポージャー法)は,国家試験に従えば,行動療法に基づき,不安喚起場面に繰り返し曝(さら)すことで,クライエントの不安感を低減させるものです。
行動療法の一つに位置づけられるもので,学習理論のレスポンデント条件を応用したものです。
行動療法(認知行動療法)といえば,学習理論を応用したものであることは押さえておきたいです。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題14 心理療法に関する次の記述のうち,行動療法に基づく技法に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントが即興的にドラマを演じ,自発性や創造性を高める。
2 問題が起きなかった例外的な状況に関心を向けることで,クライエントの問題解決能力を向上させる。
3 自由連想法を使用し,クライエントの無意識の葛藤を明らかにする。
4 不安喚起場面に繰り返し曝(さら)すことで,クライエントの不安感を低減させる。
5 課題動作を通じ,クライエントの体験様式の変容を図る。
とても良い問題です。
どの選択肢もおかしな文章は,一つも存在しません。
行動療法ではないので誤りになるだけのことです。こういった問題は実に美しいと思いませんか。
行動療法には,オペラント条件づけに基づくものとレスポンデント条件づけに基づくものがあります。
オペラント条件づけに基づくものには,トークンエコノミー法というものがあります。望ましい行動があったら,シールなどをあげて,何枚か貯まると何かをあげるといった方法がトークンエコノミー法の例です。
トークンエコノミーという言葉は難しいですが,一度理解してしまえば,もう大丈夫でしょう。
レスポンデント条件には,暴露療法のほかに,系統的脱感作法があります。
暴露療法は,不安だと思うシチュエーションなどに曝すことでそのシチュエーションに慣れるように学習するものであるのに対し,系統的脱感作法は,段階を踏むところに違いがあります。
それでは,解説です。
1 クライエントが即興的にドラマを演じ,自発性や創造性を高める。
これは,心理劇の説明です。
2 問題が起きなかった例外的な状況に関心を向けることで,クライエントの問題解決能力を向上させる。
これは,ブリーフセラピー(短期療法)の説明です。
ブリーフセラピーを応用したものには,解説志向アプローチがあります。
3 自由連想法を使用し,クライエントの無意識の葛藤を明らかにする。
これは,精神分析療法の説明です。
4 不安喚起場面に繰り返し曝すことで,クライエントの不安感を低減させる。
これが正解です。曝すというのが過激な感じがすると思います。
そのため,セラピストが一緒にいて,安心を保障します。
何かに触れると不潔なので,無駄だと思っても手を洗い続けるといった強迫性障害がありますが,このような人には,わざと汚いものに触れてもらい,手を洗わないようにします。
最初はとても嫌だと思いますが,それを何度も続けていくことで,その不安に慣れていきます。
このように聞くといかにレスポンデント条件づけを応用したものだということがわかるのではないでしょうか。
5 課題動作を通じ,クライエントの体験様式の変容を図る。
これは,動作療法(臨床動作療法)の説明です。