社会的ジレンマは,第22回国試以降第34回までは,以下の頻度で出題されています。
第24回
第28回
第30回
第31回
第32回
第33回
第28回以降で出題されなかったのは,第29回と第34回のわずか2回のみです。
これだけの確率で出題されているものは,「社会理論と社会システム」(新しいカリキュラムでは「社会学理論と社会システム」)ではそれほどありません。
それでは,直近の問題を見てみたいと思います。
第33回・問題20 次のうち,社会的ジレンマの定義として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 目標を効率的かつ公正に達成するための手段として制定されたルールが,それ自体目的と化してしまうことで,非効率な結果が生み出されている状況
2 文化を介して不平等や序列を含んだものとしての社会秩序が維持・再生産されている状況
3 信頼関係,互酬性の規範,人的ネットワークなどが整えられることによって人々に広く便益をもたらしている状況
4 協力的な行動には報酬を与え,非協力的な行動には罰を与えることで,協力的行動が合理的であるようにする状況
5 各個人が自らの利益を考えて合理的に行動した結果,集団あるいは社会全体として不利益な結果を招いてしまう状況
社会的ジレンマとは何かを問うとてもスタンダードな問題だと言えます。
正解は,選択肢5です。
5 各個人が自らの利益を考えて合理的に行動した結果,集団あるいは社会全体として不利益な結果を招いてしまう状況
社会的ジレンマの例として,国家試験では,「共有地の悲劇」「フリーライダー」「囚人のジレンマ」が出題されています。
これらも合わせて押さえておきたいです。どの参考書にも必ず掲載されているはずです。
次回以降に取り上げていきたいと思います。
それでは,正解以外の解説です。
1 目標を効率的かつ公正に達成するための手段として制定されたルールが,それ自体目的と化してしまうことで,非効率な結果が生み出されている状況
これは,官僚制の逆機能を述べているものです。
2 文化を介して不平等や序列を含んだものとしての社会秩序が維持・再生産されている状況
これは,文化資本を述べているものです。
3 信頼関係,互酬性の規範,人的ネットワークなどが整えられることによって人々に広く便益をもたらしている状況
これは,ソーシャルキャピタル(社会関係資本)のことを述べているものです。
4 協力的な行動には報酬を与え,非協力的な行動には罰を与えることで,協力的行動が合理的であるようにする状況
これは,社会的誘因のことを述べているものです。