今回も役割概念を取り上げます。
「役割●●」は種類が多く,覚えるのは面倒ですが,例を挙げられるくらいの理解が必要です。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題19 子どもが,ままごとのような「ごっこ」遊びで親の役割などをまねることを通して自己を形成し,社会の一員となっていく過程を示す概念として,正しいものを1つ選びなさい。
1 役割期待
2 役割葛藤
3 役割演技
4 役割分化
5 役割取得
近年は,このタイプの問題もみられるため,例を挙げられるくらいの理解がないと,正解することができません。
ここが合格,不合格を分ける差だと考えています。
さて,正解は,選択肢5です。
5 役割取得
役割取得は,役割を理解し,自分の中に取り入れることをいいます。
ごっこ遊びは,参加する子がそれぞれの役割を演じます。
役割を理解していないとごっこ遊びは成立しません。
子は遊びながら,役割を理解していきます。そして,社会化していきます。
それでは,ほかの選択肢も確認します。
1 役割期待
役割期待は,他者の期待です。
お医者さんごっこでは,医者,看護師,患者が登場しますが,それぞれには何を期待されているのかを理解していきます。
2 役割葛藤
役割葛藤は,複数の役割期待の中で葛藤することです。
ごっこ遊びは,比較的単純なので,役割葛藤を生じることは少ないかもしれません。
しかし,現実社会では,多くの場面で生じます。
たとえば,働くおかあさんです。
職場では,管理職として働き,家では親を演じます。子どもが学校から帰ってくる時間になっても,会議が長引き,予定の時間に変えることができない,という状況も役割葛藤の一つだと言えます。
3 役割演技
役割演技は,役割を演じることです。
他者の役割期待を理解して,それにふさわしいようにその役割を演じます。
新人職員は初々しさが特徴です。仕事はできなくても,初々しさが魅力です。それは役割期待でもあるでしょう。
新人もその役割期待に応じて演じると先輩からの受けがよくなると言えるかもしれません。
演じるというと,何となく裏がありそうでいやらしいと思う人もいるかもしれません。しかし,社会の中で生きることは,多くの場合,他者からの期待,つまり役割期待に応えるようにその役割を演じていると言えます。
それができることは人が社会化していくためには必要なことです。
4 役割分化
役割分化は,役割が多様化・高度化していくことです。
例えば,子どもの場合を考えてみます。
子どもという役割がありますが,長子,第二子,末子では,求められるものが異なります。
それぞれの役割を演じながら,成長していきます。
役割分化は,いっぱいあります。教師という立場では,新人,ベテラン,学年主任,部活顧問など,様々な場面によって,役割期待は変化していきます。
このように,役割が細かくなっていくのが,役割分化だと言えるでしょう。
役割分化は数合わせで出題されているだけなので,おそらく今後も正解になることはないでしょう。