2019年9月7日土曜日

国試で合格できる問題の読み方

社会福祉士の国試の合格率は,おおよそ25~30%です。

第30回国試の結果から,合格率は高くても30%程度にするという強い意志が感じ取れます。
つまり成績の上位30%しか合格できない試験であるということです。

国試問題を一問一問丁寧に見てみると,決して難易度が高い問題で構成されているわけではありません。
しっかり勉強すれば,正解できるようなレベルの問題で構成されていると言えます。

今日の問題もそういったものです。


第31回・問題122 「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針~利用者の笑顔と満足を求めて~」(厚生労働省)の内容に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 利用者の自立的な生活を重視するほどリスクは高まるため,利用者の自由を制約するのはやむを得ない。

2 標準化されたサービスよりも,各職員の経験と勘に頼ったサービスの方が,業務改善や事故の原因の特定が行いやすい。

3 より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる,という考え方で危機管理に取り組むべきである。

4 利用者の状況や施設環境等の個別性が高いため,各施設において十分な検討と創意工夫が必要である。

5 リスクマネジメントは職員全体で取り組むべきことなので,経営者の強いリーダーシップは不要である。


前回と同じ「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針~」からの出題です。

これを知らないと解けないのかと言えば,決してそんなことはありません。
こういったものは,中途半端に知っていると,逆に度忘れした場合に焦ることにつながります。

どこから出題しているのか,ということを明らかにしているだけで,冷静に読めば,別な言い方をすれば,常識の範囲内で正解できます。

正解は,

3 より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる,という考え方で危機管理に取り組むべきである。

4 利用者の状況や施設環境等の個別性が高いため,各施設において十分な検討と創意工夫が必要である。


言われてみれば,当然の内容だと思います。

この問題で確実に正解するためには,ほかの選択肢を確実に消去する必要があります。


そのポイントです。

1 利用者の自立的な生活を重視するほどリスクは高まるため,利用者の自由を制約するのはやむを得ない。

国の指針なので,やむを得ないというスタンスはあり得ない。
「やむを得ない」は,あきらめムードの退廃化した組織の考え方です。


2 標準化されたサービスよりも,各職員の経験と勘に頼ったサービスの方が,業務改善や事故の原因の特定が行いやすい。

経験と勘に頼ったサービスが良いのなら,国は指針を出すことはしないでしょう。


5 リスクマネジメントは職員全体で取り組むべきことなので,経営者の強いリーダーシップは不要である。

リスクマネジメントに限らず,サービスの質向上に向けた取り組みには,経営者の理解とその方針を示すことが何よりも大切です。

この選択肢で大切なことは,不要なものを指針に示す必然性はないということです。


<今日の一言>

今日の問題のように,知識がなくても,常識の範囲内で解ける問題は要注意です。
なぜなら,多くの受験生が正解できるからです。

上位30%に入るためには,決して間違ってはならないものだと言えるでしょう。

解ける問題は確実に正解する

誰もが解ける問題とは,答えがわからなくて,なんとなく選んだものが結果的に正解になるというタイプであることが多いものです。

このような問題は,解いたときに「正解できた。わかった」という手ごたえはありません。
自己採点してみて,初めて正解できたことを知ります。

正解できるためには,消去できる力が必要なのです。

私たちはたくさんの問題を紹介しています。
その理由は,問題を読む力が必要だからです。

最後に結論です。

問題を解くときは,出題意図を考える

そんな余裕はない,という人もいるかもしれません。

そのために,訓練が必要なのです。訓練せずに急にそれをしようと思っても無理です。

2019年9月6日金曜日

リスクマネジメントとは?

今回もサービス提供体制です。
今日は,リスクマネジメントに関する問題です。

リスクマネジメントは,事故発生防止と事故が発生した場合の損失を最小限に食いとどめるための管理手法のことです。

それでは早速今日の問題です。

第28回・問題124 「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」(厚生労働省)におけるリスクマネジメントに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 リスクマネジメントの基本は,危機管理体制の確立よりも個別事故への対応である。

2 利用者から苦情が寄せられたときは,迅速に対応しなければならない。

3 事故が発生した場合,職員は周囲に動揺を与えぬよう,事故内容をできる限り秘匿すべきである。

4 事故を防止するためであれば,利用者へのサービスの質が向上しなくてもやむを得ない。

5 重大な事故に至らないものであれば,その内容を記録化し分析する必要はない。


「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」は,「勉強していなかった。どうしよう」と思うと混乱し,冷静さを欠きます。

問題の出典を明らかにしているだけで,答えることにはかかわりません。

この文書を知っていても知らなくても正解できます。

正解は,

2 利用者から苦情が寄せられたときは,迅速に対応しなければならない。

これだけだと,「迅速」という言葉に引っ掛かりを感じる人もするかもしれませんが,言われれば当たり前のことです。


ほかの選択肢も明らかに正解にはならないと思える内容なので,消去できるでしょう。


1 リスクマネジメントの基本は,危機管理体制の確立よりも個別事故への対応である。


リスクマネジメントは,「危機管理体制の確立」と「個別事故への対応」がセットとなった管理手法です。どちらも同じく重要です。


3 事故が発生した場合,職員は周囲に動揺を与えぬよう,事故内容をできる限り秘匿すべきである。

秘匿してよいことはありません。

事故内容は,適切に発表して,今後の対応を明らかにすることが大切です。
これを「アカウンタビリティ(説明責任)」と言います。


4 事故を防止するためであれば,利用者へのサービスの質が向上しなくてもやむを得ない。

国が示す「指針」に「やむを得ない」ということは書かないと思います。

指針では,質の高いサービスを提供することで,事故の発生を防止することができる,というスタンスが示されています。

5 重大な事故に至らないものであれば,その内容を記録化し分析する必要はない。

必要がないものを指針に示す必要はありません。


<今日の一言>

今日の問題の難易度は,かなり低めです。

正解以外の選択肢を消去することは容易だからです。しかしそれは今だからです。

国試会場では,こういった問題でも間違えることがあります。

特にこの問題のように,知らないものが出題されると焦ってしまいます。

どんな問題が出題されても動じることのない,強い心を持ちたいものです。

2019年9月4日水曜日

合格するための問題の解き方~人は嘘をつくとき饒舌になる

今回もサービスマネジメント論を取り上げたいと思います。

サービスマネジメント論は,第24回,第26回,第30回に出題されています。
これらをつなげてみると,内容はかなり難しいことがわかります。

さて,それでは早速今日の問題です。

第30回・問題123 サービスマネジメント論に基づく福祉サービスの運営管理の在り方に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 サービスへの利用者の満足度を高めるためには,サービス利用前から利用者がサービスへの高い期待を持つように働き掛けることが望ましい。

2 サービス・プロフィット・チェーンの考え方によれば,サービスへの利用者の満足度を高めるためには,従業員の仕事への満足度を高めることが重要である。

3 利用者のニーズに沿った創意工夫を従業員に促すためには,現場の裁量を認めるのではなく,マニュアルなどの外在的な管理手段を徹底していくことが有効である。

4 利用者にサービスの品質を評価してもらう際は,サービスの提供過程に対する評価よりも,サービスの結果に対する評価を重視することが重要である。

5 利用者の多様性に対応するためには,各々の従業員の価値観の多様性を認めることが望ましいので,組識としてのサービスの理念や価値を明文化すべきではない。



答えは,選択肢2

2 サービス・プロフィット・チェーンの考え方によれば,サービスへの利用者の満足度を高めるためには,従業員の仕事への満足度を高めることが重要である。


おそらくサービス・プロフィット・チェーンを知っていた人はほとんどいなかったものと思います。

これだけ単体で出題されていれば,おそらく〇×をつけることができないでしょう。

しかし,国試は五者択一(あるいは択二)で出題されるので,ほかの選択肢を消去することで正解できます。


サービス・プロフィット・チェーンは,従業員が満足すると提供するサービスの質も向上するという連鎖を意味しています。


それでは,ほかの選択肢も見てみましよう。


1 サービスへの利用者の満足度を高めるためには,サービス利用前から利用者がサービスへの高い期待を持つように働き掛けることが望ましい。

この問題で最も引っ掛けられてしまうのは,この選択肢です。

サービス利用前の期待を「事前期待」といいます。

CS(顧客満足)では,とても重要な概念です。

事前期待が低いと,低いレベルで満足します。
事前期待が高いと,高いレベルでも満足しません。

ある人気店が,店を新しくすると人気が落ちることがあります。
これは事前期待で説明することができます。

店を新しくしたことで,お客の事前期待が高まり,そのために満足度が低下してしまったのです。
お客の事前期待が高まると,それまでと同じサービスレベルよりも上げないと満足しないことを示しています。

ぷらっと入ったラーメン屋さんで,店主がうちのラーメンはこんなように出汁を取って,このように作っているといったことを自慢げに話すのでどれだけおいしいのかと期待したのですが,口に入れたら,あんまりおいしくなくてがっかりしたというようなことはありませんか?

もともと知らない店なので,店主が何も言わないでラーメンを出してくれたら,おいしいと思ったかもしれません。

このように,事前期待を高めると満足するハードルが高まります。


3 利用者のニーズに沿った創意工夫を従業員に促すためには,現場の裁量を認めるのではなく,マニュアルなどの外在的な管理手段を徹底していくことが有効である。


マニュアルは大切ですが,マニュアルどおりでは,創意工夫する余地がなくなります。


4 利用者にサービスの品質を評価してもらう際は,サービスの提供過程に対する評価よりも,サービスの結果に対する評価を重視することが重要である。

サービスの評価には,プロセス評価(サービスの提供過程に対する評価)やアウトカム評価(サービスの結果に対する評価)などがあります。

どちらも重要です。

例えば,ベッドから車いすに移乗の介助では,安心できて,安全であることが必要です。
移乗できれば,少々危険でもよいということにはなりません。


5 利用者の多様性に対応するためには,各々の従業員の価値観の多様性を認めることが望ましいので,組識としてのサービスの理念や価値を明文化すべきではない。

組識としてのサービスの理念や価値を明文化することは重要です。価値観はそれぞれ違っていてよいですが,プロの対人援助集団であるためには,サービスの質は均質化されなければなりません。

移乗を例にとると,手技が違うことは,利用者に対して恐怖感を与えてしまうことにもつながってしまいます。


さて,今日のテーマは,「人はうそをつくとき饒舌になる」です。

国試問題では,余計ないいまわしをすることで,引っ掛けようとします。

注意が必要です。























赤字の部分が余計な文章です。

問題の内容に気が取られるとこういったところに気が回らなくなりますが,気がつけば,消去することができます。

そういった面で,はっきり言って,問題の作り方が下手です。



<今日の一言>

人は嘘をつくとき饒舌になる

問題内容は,勉強したことでなくても,こういったちょっとしたところに気がつくことができれば,正解できる確率は上がります。

勉強が足りない人は,余裕がないので,間違います。

そして,合格点に到達できなくなります。

逆に,今日の問題のようなものを確実に正解できることで,合格基準点を超える1・2点になります。

過去問を解くとき,注意してみましょう。得点力は確実に上がります。

2019年9月3日火曜日

合格できる問題の解き方~全部入れ替え作問法と間違い文章への変換手法

今回もサービスマネジメント論を取り上げます。

勉強したものが出題される,と思っている受験生は,たぶん慌てふためき,玉砕するでしょう。しかし,落ち着いて読めば正解することができます。

今日は,前説なしで問題にいきたいと思います。

第26回・問題124 サービスマネジメント論を基礎とした福祉サービスにおける管理運営に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 サービス提供のプロセスには,利用者も参加するため,利用者の参加の態度や行動によって,サービスの質が影響を受ける。

2 サービスは,それを提供して得られる成果が重要であり,サービス提供のプロセスをあまり重視する必要はない。

3 サービスは,特定の場所において,特定の職員によって提供されることから,利用者が事前にサービスの質を予測することが容易である。

4 サービス提供においては,失敗や問題を未然に防ぐ体制が重要であって,失敗や問題が起きる可能性を前提とした取組は必要ない。

5 サービス利用者のニーズに応えるためには,マニュアル化や統率のとれた組織が重要であり,利用者に直接対応する職員に自律的な判断や行動を求めるべきではない。


この問題は,以前に一度取り上げたことがあるものです。

https://fukufuku21.blogspot.com/2017/07/blog-post_25.html


この時に,例も挙げながら,詳しく解説したので,今回は問題の読み方に着目したいと思います。

国家試験の作問の王道は,正しい文章を作ってから,それを崩していく方法です。


①全部入れ替え作問法









②間違い文章への変換手法




どのタイプで作問されているのかに気がつくことで,正解できる精度が上がります。

今日の問題は,「②間違い文章への変換手法」が用いられています。

ここで,着目したいのは,文末を変化させていることです。

つまり問題を読むときのポイントは文末であることがわかります。



<今日の一言>

国試はつまらないミスは極力避けたいです。

ケアすべきポイントを意識しておくことで,つまらないミスは驚くほど減らすことができます。

合格するためには,知識があることは必要ですが,こういったところに気を付けることで合格できる確率がさらに高まります。

全部入れ替え作問法と間違い文章への変換手法では,間違い文章への変換手法の方が難易度は高いです。

全部入れ替え作問法の派生版のセット入れ替え手法が最も難易度が高くなります。

全部入れ替え作問法よりも作るのが手間がかかり,その分,引っ掛けられる率が高まります。

セット入れ替え手法の記事

https://fukufuku21.blogspot.com/2019/01/blog-post_5.html

2019年9月1日日曜日

ダイバーシティ・マネジメントとは?

今回は,人事管理を取り上げます。

近年のはやりものとして「ダイバーシティ・マネジメント」があります。
ダイバーシティは「多様性」を意味し,多様性を生かして高い生産性を上げる管理手法です。

それでは,今日の問題です。

第31回・問題125 人事管理に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 目標管理制度で部下が目標を設定する際は,チームや組織の目標とは無関係に,部下の個人的な目標を設定するのが原則である。

2 ダイバーシティ・マネジメントにおいては,人材の多様性は組織に様々な価値や利益をもたらすと考えられている。

3 成果主義による人事評価とは,職員の潜在能力に着目して,処遇や昇進などの評価に差をつけることをいう。

4 人事評価におけるハロー効果とは,評価が標準・普通に集中することをいう。

5 職務給とは,組織内の職位と年齢に応じて,職員の給与に格差を設ける給与をいう。

答えは2。

ダイバーシティ・マネジメントにおいては,人材の多様性は組織に様々な価値や利益をもたらすと考えられている。

このほかのものも見ていきましよう。

1 目標管理制度で部下が目標を設定する際は,チームや組織の目標とは無関係に,部下の個人的な目標を設定するのが原則である。

個人の目標は,チームや組織の目標に沿って設定します。




















3 成果主義による人事評価とは,職員の潜在能力に着目して,処遇や昇進などの評価に差をつけることをいう。

成果主義は,職員の成果について評価するものです。


4 人事評価におけるハロー効果とは,評価が標準・普通に集中することをいう。


ハロー効果は,ある部分の評価が,別の部分にも影響することです。

評価が標準・普通に影響するのは,中心化です。

5 職務給とは,組織内の職位と年齢に応じて,職員の給与に格差を設ける給与をいう。

組織内の職位と年齢に応じて,職員の給与に格差を設ける給与は,職能給です。

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