今日は,リスクマネジメントに関する問題です。
リスクマネジメントは,事故発生防止と事故が発生した場合の損失を最小限に食いとどめるための管理手法のことです。
それでは早速今日の問題です。
第28回・問題124 「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」(厚生労働省)におけるリスクマネジメントに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 リスクマネジメントの基本は,危機管理体制の確立よりも個別事故への対応である。
2 利用者から苦情が寄せられたときは,迅速に対応しなければならない。
3 事故が発生した場合,職員は周囲に動揺を与えぬよう,事故内容をできる限り秘匿すべきである。
4 事故を防止するためであれば,利用者へのサービスの質が向上しなくてもやむを得ない。
5 重大な事故に至らないものであれば,その内容を記録化し分析する必要はない。
「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」は,「勉強していなかった。どうしよう」と思うと混乱し,冷静さを欠きます。
問題の出典を明らかにしているだけで,答えることにはかかわりません。
この文書を知っていても知らなくても正解できます。
正解は,
2 利用者から苦情が寄せられたときは,迅速に対応しなければならない。
これだけだと,「迅速」という言葉に引っ掛かりを感じる人もするかもしれませんが,言われれば当たり前のことです。
ほかの選択肢も明らかに正解にはならないと思える内容なので,消去できるでしょう。
1 リスクマネジメントの基本は,危機管理体制の確立よりも個別事故への対応である。
リスクマネジメントは,「危機管理体制の確立」と「個別事故への対応」がセットとなった管理手法です。どちらも同じく重要です。
3 事故が発生した場合,職員は周囲に動揺を与えぬよう,事故内容をできる限り秘匿すべきである。
秘匿してよいことはありません。
事故内容は,適切に発表して,今後の対応を明らかにすることが大切です。
これを「アカウンタビリティ(説明責任)」と言います。
4 事故を防止するためであれば,利用者へのサービスの質が向上しなくてもやむを得ない。
国が示す「指針」に「やむを得ない」ということは書かないと思います。
指針では,質の高いサービスを提供することで,事故の発生を防止することができる,というスタンスが示されています。
5 重大な事故に至らないものであれば,その内容を記録化し分析する必要はない。
必要がないものを指針に示す必要はありません。
<今日の一言>
今日の問題の難易度は,かなり低めです。
正解以外の選択肢を消去することは容易だからです。しかしそれは今だからです。
国試会場では,こういった問題でも間違えることがあります。
特にこの問題のように,知らないものが出題されると焦ってしまいます。
どんな問題が出題されても動じることのない,強い心を持ちたいものです。