2019年9月18日水曜日

得点力を上げる勉強方法

社会福祉士の国試問題には2種類あります。

①知識がすぐ得点につながる問題

②よくよく考えることで得点できる問題

どちらも必要最低限の知識は求められます。

社会福祉士の国試は親切だなぁ,と時々思うような問題があります。

そういった問題に気付くことができることは,極めて重要です。

さて,今日の問題です。

第29回・問題121 次の記述のうち,個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方(暗黙知)を形式知化する方法に当たるものとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 OJTを通して,先輩職員の仕事の仕方を模倣する。

2 各担当係が紙媒体で管理していた業務記録を電子データベース化する。

3 熟練の職員が行う仕事の仕方を文章化し,マニュアルを作る。

4 法人の理念と行動規範を毎日唱和し,職員に周知させる。

5 新人教育でマニュアルの読み合わせを徹底し,マニュアルがなくても仕事ができるようにする。


この問題が親切だなぁと思う理由は

単に「暗黙知」と出題せずに「個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方(暗黙知)」と説明を加えていることです。

それによって,思考が可能となります。

具体的には,

「個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方ではないものは何か」

を考えることです。

そうすると

3 熟練の職員が行う仕事の仕方を文章化し,マニュアルを作る。

がクローズアップされてきます。

これが正解です。

この問題が親切だなぁ,と思うもう一つの理由は,

この選択肢の中に問題文と同じ「仕事の仕方」というフレーズを入れて,この選択肢に無意識に気が向くようにしてくれていることです。

暗黙知は,個人の経験から得られた知識・技能
形式知は,暗黙知をチームなどで共有するための工夫

このようなものだと思えれば,正解できます。


真面目な人は,勉強の段階で,知らないものが出てくると調べます。

それは正しい勉強方法です。

わからない → 調べる → わかった

という図式になります。

しかし,国試会場では調べることはできません。

わからない → 調べられない → わからない,困った,どうしよう

という図式に陥る恐れがあります。

何でも完璧にわからないと気が済まない
完璧にわからないと先に進めない

というタイプの人は注意が必要です。


<今日の一言>

わからないものが出てきたときは,すぐに調べることなく,どのようなものなのかを考えてみることが必要です。

国試会場では調べることができないからです。

この癖をつけると,その言葉はわからなくても類推することができるようになります。
勉強不足の人は,当然ですが合格できません。

何年間も勉強を続けているにもかかわらず,合格できないという人はたくさんいます。

合格できない理由を「勉強不足だ」と思うと,知識をつけることを優先しがちです。

①知識がすぐ得点につながる問題

には対応できるでしょう。

しかし,思考する訓練をしなければ

②よくよく考えることで得点できる問題

で得点することは難しいと思います。

複数回受験しても合格できない,という人は,ぜひ勉強方法を見つめなおしてみることをおすすめします。

知識をつけることに特化した勉強方法では,今日の問題のように,せっかく親切なヒントを出してくれている問題に気が付かず,わからない → 困った というパターンに陥る可能性大です。

別なパターンに変えるためには

わからない → 考えてみる → おおよその見当が当たっていればよしと思う

調べるのは,その次の段階にしましょう。


最新の記事

ノーマライゼーションの国家試験問題

 今回は,ノーマライゼーションに取り組みます。 前説なしで,今日の問題です。 第26回・問題93 ノーマライゼーションの理念に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 1 すべての人間とすべての国とが達成すべき共通の基準を宣言した世界人権宣言の理念として採用された。 2...

過去一週間でよく読まれている記事