社会福祉士の国試問題には2種類あります。
①知識がすぐ得点につながる問題
②よくよく考えることで得点できる問題
どちらも必要最低限の知識は求められます。
社会福祉士の国試は親切だなぁ,と時々思うような問題があります。
そういった問題に気付くことができることは,極めて重要です。
さて,今日の問題です。
第29回・問題121 次の記述のうち,個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方(暗黙知)を形式知化する方法に当たるものとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 OJTを通して,先輩職員の仕事の仕方を模倣する。
2 各担当係が紙媒体で管理していた業務記録を電子データベース化する。
3 熟練の職員が行う仕事の仕方を文章化し,マニュアルを作る。
4 法人の理念と行動規範を毎日唱和し,職員に周知させる。
5 新人教育でマニュアルの読み合わせを徹底し,マニュアルがなくても仕事ができるようにする。
この問題が親切だなぁと思う理由は
単に「暗黙知」と出題せずに「個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方(暗黙知)」と説明を加えていることです。
それによって,思考が可能となります。
具体的には,
「個人が暗黙的に行ってきた仕事の仕方ではないものは何か」
を考えることです。
そうすると
3 熟練の職員が行う仕事の仕方を文章化し,マニュアルを作る。
がクローズアップされてきます。
これが正解です。
この問題が親切だなぁ,と思うもう一つの理由は,
この選択肢の中に問題文と同じ「仕事の仕方」というフレーズを入れて,この選択肢に無意識に気が向くようにしてくれていることです。
暗黙知は,個人の経験から得られた知識・技能
形式知は,暗黙知をチームなどで共有するための工夫
このようなものだと思えれば,正解できます。
真面目な人は,勉強の段階で,知らないものが出てくると調べます。
それは正しい勉強方法です。
わからない → 調べる → わかった
という図式になります。
しかし,国試会場では調べることはできません。
わからない → 調べられない → わからない,困った,どうしよう
という図式に陥る恐れがあります。
何でも完璧にわからないと気が済まない
完璧にわからないと先に進めない
というタイプの人は注意が必要です。
<今日の一言>
わからないものが出てきたときは,すぐに調べることなく,どのようなものなのかを考えてみることが必要です。
国試会場では調べることができないからです。
この癖をつけると,その言葉はわからなくても類推することができるようになります。
勉強不足の人は,当然ですが合格できません。
何年間も勉強を続けているにもかかわらず,合格できないという人はたくさんいます。
合格できない理由を「勉強不足だ」と思うと,知識をつけることを優先しがちです。
①知識がすぐ得点につながる問題
には対応できるでしょう。
しかし,思考する訓練をしなければ
②よくよく考えることで得点できる問題
で得点することは難しいと思います。
複数回受験しても合格できない,という人は,ぜひ勉強方法を見つめなおしてみることをおすすめします。
知識をつけることに特化した勉強方法では,今日の問題のように,せっかく親切なヒントを出してくれている問題に気が付かず,わからない → 困った というパターンに陥る可能性大です。
別なパターンに変えるためには
わからない → 考えてみる → おおよその見当が当たっていればよしと思う
調べるのは,その次の段階にしましょう。
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