メンタルヘルスは,第24回と第27回の2回に出題されています。
この領域の中心的な法制度は「労働安全衛生法」です。
法の名前は,なじみがないかもしれませんが,職場で実施している健康診断の根拠法が労働安全衛生法です。
法の目的
第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
これでわかるように,労働基準法とセットの法律です。
そのため,同法の現業機関は,労働基準監督署です。
今回は,第27回の出題です。
第27回・問題125 労働安全衛生管理の体制やメンタルヘルスケアの推進に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 一定規模以上の事業者が定期健康診断を実施した場合は,遅滞なく,その結果を所轄の保健所に報告しなければならない。
2 事業者は,時間外・休日労働が一定時間以上で,疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合は,医師による面接指導を行わなくてはならない。
3 心理的負荷による精神障害は,業務上災害を補償する労働者災害補償保険の支給対象とはならない。
4 労働安全衛生法に定める衛生委員会の委員構成は,事業者が任意に決めてよい。
5 メンタルヘルス不調により休業していた労働者の職場復帰については,個人情報保護のため,主治医以外の者がかかわってはならない。
難しい問題だと思うと難しいと思います。
この問題の鬼門は,選択肢1
1 一定規模以上の事業者が定期健康診断を実施した場合は,遅滞なく,その結果を所轄の保健所に報告しなければならない。
報告,届出,認可,認定は,その事務を行う機関があります。
健康診断は,保健所っぽいですが,労働安全衛生法は,労働法規なので保健所の対象ではないのです。
正解は,
2 事業者は,時間外・休日労働が一定時間以上で,疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合は,医師による面接指導を行わなくてはならない。
これを正解にすることはなかなかできないかもしれません。
しかし,この問題はメンタルヘルスに関するものです。
それを考えると正解はこれしかないです。
そのほかの選択肢は全部×です。
3 心理的負荷による精神障害は,業務上災害を補償する労働者災害補償保険の支給対象とはならない。
4 労働安全衛生法に定める衛生委員会の委員構成は,事業者が任意に決めてよい。
5 メンタルヘルス不調により休業していた労働者の職場復帰については,個人情報保護のため,主治医以外の者がかかわってはならない。
これらは,確実に消去しなければなりません。
選択肢3は,ストレス性の精神障害は,労災の対象です。近年話題になっています。
選択肢4は,任意に決めてよいような問題は出題する意味がありません。
選択肢5は,かかわってはならないという法規定があるわけないです。
<今日の一言>
得点が伸びない人に共通する傾向は,新しい問題に出会ったときに,うろたえてしまって,その結果,間違えます。
この問題を正解するためのポイントは,問題の出題意図を考えることでした。
知らないものが出題されても,とにかく落ち着いて問題を読めば,多くの問題には突破口があることを示す問題です。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
今回は,ロールズが提唱した「格差原理」を学びましょう。 格差原理とは,格差(社会的や経済的に不平等があること)は,最も恵まれない人に用いられる場合にのみ認められること。 格差があることを認めないのではなく,格差があっても,それがその社会の中で最も恵まれない人の利益になるような仕組...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
今回は,記録の文体を学びます。 主な記録の文体 項目体 クライエントの基本的属性に関する事項を整理して記述する。 叙述体 経過記録などに用いられ,ソーシャルワーク過程の事実経過を簡潔...
-
模擬試験を受験するとその場で解答をもらえることが多いので,すぐ自己採点する人も多いことと思います。 しかし,ここで気を付けなければならないのは,模擬試験は,実際の国家試験よりも点数が取りにくい傾向にあることです。 そこを押さえておかないと「あれだけ勉強したのに点数が取れな...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
今回は,グループワーク(集団援助技術)の主な理論家を学びます。 グループワークの主な理論家 コイル セツルメントやYWCAの実践を基盤とし,グループワークの母と呼ばれた。 また,「グループワーカーの機能に関する定義」( ...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...