2019年9月15日日曜日

メンタルヘルスに関する出題

メンタルヘルスは,第24回と第27回の2回に出題されています。

この領域の中心的な法制度は「労働安全衛生法」です。

法の名前は,なじみがないかもしれませんが,職場で実施している健康診断の根拠法が労働安全衛生法です。

法の目的

第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

これでわかるように,労働基準法とセットの法律です。
そのため,同法の現業機関は,労働基準監督署です。

今回は,第27回の出題です。

第27回・問題125 労働安全衛生管理の体制やメンタルヘルスケアの推進に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 一定規模以上の事業者が定期健康診断を実施した場合は,遅滞なく,その結果を所轄の保健所に報告しなければならない。

2 事業者は,時間外・休日労働が一定時間以上で,疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合は,医師による面接指導を行わなくてはならない。

3 心理的負荷による精神障害は,業務上災害を補償する労働者災害補償保険の支給対象とはならない。
4 労働安全衛生法に定める衛生委員会の委員構成は,事業者が任意に決めてよい。

5 メンタルヘルス不調により休業していた労働者の職場復帰については,個人情報保護のため,主治医以外の者がかかわってはならない。

難しい問題だと思うと難しいと思います。

この問題の鬼門は,選択肢1

1 一定規模以上の事業者が定期健康診断を実施した場合は,遅滞なく,その結果を所轄の保健所に報告しなければならない。

報告,届出,認可,認定は,その事務を行う機関があります。

健康診断は,保健所っぽいですが,労働安全衛生法は,労働法規なので保健所の対象ではないのです。


正解は,

2 事業者は,時間外・休日労働が一定時間以上で,疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合は,医師による面接指導を行わなくてはならない。

これを正解にすることはなかなかできないかもしれません。

しかし,この問題はメンタルヘルスに関するものです。
それを考えると正解はこれしかないです。

そのほかの選択肢は全部×です。

3 心理的負荷による精神障害は,業務上災害を補償する労働者災害補償保険の支給対象とはならない。
4 労働安全衛生法に定める衛生委員会の委員構成は,事業者が任意に決めてよい。
5 メンタルヘルス不調により休業していた労働者の職場復帰については,個人情報保護のため,主治医以外の者がかかわってはならない。

これらは,確実に消去しなければなりません。

選択肢3は,ストレス性の精神障害は,労災の対象です。近年話題になっています。
選択肢4は,任意に決めてよいような問題は出題する意味がありません。
選択肢5は,かかわってはならないという法規定があるわけないです。

<今日の一言>

得点が伸びない人に共通する傾向は,新しい問題に出会ったときに,うろたえてしまって,その結果,間違えます。

この問題を正解するためのポイントは,問題の出題意図を考えることでした。

知らないものが出題されても,とにかく落ち着いて問題を読めば,多くの問題には突破口があることを示す問題です。

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