社会福祉士の国試問題は,大別すると2つのタイプがあります。
①勉強した知識で解く問題
②知恵を使って解く問題
①は,必要不可欠なものは知識です。
知識がなければ到底戦うことはできません。
ただし,①も2つのタイプに分かれます。
①-1 知識がストレートに答えになる問題
①-2 消去法を使って答えをあぶりだす問題
難易度が近いのは,①-2のタイプの問題です。
中には,知識を使って消去することで,正解が残り,その方法でなければ正解できないという超難しい問題も存在します。
今日は,「②知恵を使って解く問題」について考えてみたいと思います。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題122 コトラー(Kotler,P.)らが提唱する「ソーシャル・マーケティング」という考え方について,正しいものを1つ選びなさい。
1 ターゲット及び社会に便益をもたらすターゲットの行動に対して影響を与えるため,価値を創造し,伝達,流通させるというマーケティングの原理・手法を適用するプロセスである。
2 消費者による選択や顧客志向という考え方を,あまり重要視しない。
3 援助が必要なターゲットについて,細分化せず,同一の性格を有した,同一の集団ととらえることが特徴である。
4 社会問題の解決について,企業に対して社会貢献や社会的責任を求める一方,製品やサービスを開発・供給することは期待していない。
5 マーケティングミックス戦略の順序として,Promotion(プロモーション)が最初に決定され,次いでProduct(製品),Price(価格),Place(流通)の順番で決定される。
合格基準点が72点という過去最低となった「魔の25回国試」の問題です。
ソーシャル・マーケティングは,おそらく現在は参考書などに出ていると思いますが,この国試を受験した人の多くは,この言葉を知らなかったはずです。
心の弱い人がこういった問題を見たとき,心が打ち崩されて思考をやめてしまいます。
たくさん勉強してきたはずなのに「わからない,どうしよう?」と思います。
「教科書も参考書も過去問も模擬試験も完璧に覚えた。こんなはずではなかった」と思うかもしれません。
初めての問題なのですから知らなくて当然です。
つまり受験生全員同じ条件となります。
第25回国試の問題の多くは,国試として適切ではないものであったように思います。
なぜなら,問題が難しかったために,
勉強した人でも解けない。
勉強しない人でも解ける。
という現象が起きたためです。
国家試験の問題は,勉強した人が解けて,勉強が足りない人が解けないのが理想です。
第30回国試よりも第31回国試の方が問題の文字数が増えたことで第32回も文字数が長くなりそうなことと第32回国試の試験委員の3分の2程度が入れ替わったことで,問題に破綻が生じやすくなると予想しています。
これはとても重要なことです。知識にプラスして知恵を使うことで鬼に金棒となるでしょう。
さて今日の問題の解説です。
絶対に正解にならない選択肢は
2 消費者による選択や顧客志向という考え方を,あまり重要視しない。
4 社会問題の解決について,企業に対して社会貢献や社会的責任を求める一方,製品やサービスを開発・供給することは期待していない。
これらの文章に違和感がない人はよくよく注意してみてください。
これらの文章は,正解文章を作ってから,否定形に変える作問法が使われています。
それぞれのもともとの文章は,
2 消費者による選択や顧客志向という考え方を重要視する。
4 社会問題の解決について,企業に対して社会貢献や社会的責任を求めるとともに,製品やサービスを開発・供給することを期待している。
だったと考えられます。
正しい文章を否定形にする作問法は,国試問題を作ることに慣れていない人にとっては,らくらく作問法です。
簡単ですが,問題文に違和感を生じることが難点です。
違和感のある選択肢は,ほとんど正解にならないと言えます。ここに気が付けば,うっかりミスは防ぐことができるでしょう。
3 援助が必要なターゲットについて,細分化せず,同一の性格を有した,同一の集団ととらえることが特徴である。
これは,「人は嘘をつくとき饒舌になる」というタイプの文章です。
この文章が適切であれば,
3 援助が必要なターゲットについて,同一の性格を有した,同一の集団ととらえることが特徴である。
これでよいはずです。
しかしこれでは完全に間違いだと言えなく,不適切問題になってしまう恐れがあります。
そのため「細分化せず」という余計なものを付け加えることで,慎重に確実に間違い選択肢を生成しています。
このタイプの作問法は,数年前までは見られましたが,文字数が短くなる中であまり見られなくなったものです。しかし,問題の文字数が長くなったことで,また頻繁に使われるでしょう。
5 マーケティングミックス戦略の順序として,Promotion(プロモーション)が最初に決定され,次いでProduct(製品),Price(価格),Place(流通)の順番で決定される。
順番のあるものは,順番を入れ替えることで間違い選択肢を生成する作問法です。
しかし,社会福祉士の国試は,順番のあるものはあまりないので,めったに見かけませんが,らくらく作問法です。順番のあるものは,要注意です。
順番のあるものの例としては,
脳幹の並んでいる順番は「中脳→橋→延髄」です。この順番を入れ替えることで間違い選択肢になります。らくらくだと思いませんか?
そうなると残りは
1 ターゲット及び社会に便益をもたらすターゲットの行動に対して影響を与えるため,価値を創造し,伝達,流通させるというマーケティングの原理・手法を適用するプロセスである。
これが正解です。
ソーシャル・マーケティングの意味が分からなくても,解答テクニックで正解にたどり着いてしまう問題です。
<今日の問題>
今日の問題は,
①-2 消去法を使って答えをあぶりだす問題
に近いように思うかもしれません。
しかし,これとはまったく違うタイプです。
なぜなら,今日の問題は,知識で消去するものではなく,解答テクニックで消去するものだからです。
こんな問題は,国賀資格を取得するための問題としては,最悪です。
勉強した人と勉強しない人の差がつかないからです。
真面目な人は,本当に注意しなければなりません。
勘の良い人が解けて,知識偏重の人は解けないことにつながります。
それでは真面目に勉強した人は報われません。そのため,今の国試は,今日のような問題の出題は極力避けるように考えられているように思います。しかし,似たタイプの問題は出題されています。
勘を働かせることは,得点力を上げることにつながるので,しっかり身につけて国試に臨みたいです。
問題が難しいほど解答テクニックは活用できます。過去問を解くときは,そこを意識することが大切です。そのために過去問を解くと言ってもよいでしょう。
試験委員は,その分野のエキスパートが選ばれます。
しかし,国試問題をつくることは,素人です。
そのため,作問が下手な人は,文章に破綻を来す可能性があります。そこが正解するための手がかりとなります。
文字数が長くなれば,その分破綻しやすくなります。
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