2019年9月4日水曜日

合格するための問題の解き方~人は嘘をつくとき饒舌になる

今回もサービスマネジメント論を取り上げたいと思います。

サービスマネジメント論は,第24回,第26回,第30回に出題されています。
これらをつなげてみると,内容はかなり難しいことがわかります。

さて,それでは早速今日の問題です。

第30回・問題123 サービスマネジメント論に基づく福祉サービスの運営管理の在り方に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 サービスへの利用者の満足度を高めるためには,サービス利用前から利用者がサービスへの高い期待を持つように働き掛けることが望ましい。

2 サービス・プロフィット・チェーンの考え方によれば,サービスへの利用者の満足度を高めるためには,従業員の仕事への満足度を高めることが重要である。

3 利用者のニーズに沿った創意工夫を従業員に促すためには,現場の裁量を認めるのではなく,マニュアルなどの外在的な管理手段を徹底していくことが有効である。

4 利用者にサービスの品質を評価してもらう際は,サービスの提供過程に対する評価よりも,サービスの結果に対する評価を重視することが重要である。

5 利用者の多様性に対応するためには,各々の従業員の価値観の多様性を認めることが望ましいので,組識としてのサービスの理念や価値を明文化すべきではない。



答えは,選択肢2

2 サービス・プロフィット・チェーンの考え方によれば,サービスへの利用者の満足度を高めるためには,従業員の仕事への満足度を高めることが重要である。


おそらくサービス・プロフィット・チェーンを知っていた人はほとんどいなかったものと思います。

これだけ単体で出題されていれば,おそらく〇×をつけることができないでしょう。

しかし,国試は五者択一(あるいは択二)で出題されるので,ほかの選択肢を消去することで正解できます。


サービス・プロフィット・チェーンは,従業員が満足すると提供するサービスの質も向上するという連鎖を意味しています。


それでは,ほかの選択肢も見てみましよう。


1 サービスへの利用者の満足度を高めるためには,サービス利用前から利用者がサービスへの高い期待を持つように働き掛けることが望ましい。

この問題で最も引っ掛けられてしまうのは,この選択肢です。

サービス利用前の期待を「事前期待」といいます。

CS(顧客満足)では,とても重要な概念です。

事前期待が低いと,低いレベルで満足します。
事前期待が高いと,高いレベルでも満足しません。

ある人気店が,店を新しくすると人気が落ちることがあります。
これは事前期待で説明することができます。

店を新しくしたことで,お客の事前期待が高まり,そのために満足度が低下してしまったのです。
お客の事前期待が高まると,それまでと同じサービスレベルよりも上げないと満足しないことを示しています。

ぷらっと入ったラーメン屋さんで,店主がうちのラーメンはこんなように出汁を取って,このように作っているといったことを自慢げに話すのでどれだけおいしいのかと期待したのですが,口に入れたら,あんまりおいしくなくてがっかりしたというようなことはありませんか?

もともと知らない店なので,店主が何も言わないでラーメンを出してくれたら,おいしいと思ったかもしれません。

このように,事前期待を高めると満足するハードルが高まります。


3 利用者のニーズに沿った創意工夫を従業員に促すためには,現場の裁量を認めるのではなく,マニュアルなどの外在的な管理手段を徹底していくことが有効である。


マニュアルは大切ですが,マニュアルどおりでは,創意工夫する余地がなくなります。


4 利用者にサービスの品質を評価してもらう際は,サービスの提供過程に対する評価よりも,サービスの結果に対する評価を重視することが重要である。

サービスの評価には,プロセス評価(サービスの提供過程に対する評価)やアウトカム評価(サービスの結果に対する評価)などがあります。

どちらも重要です。

例えば,ベッドから車いすに移乗の介助では,安心できて,安全であることが必要です。
移乗できれば,少々危険でもよいということにはなりません。


5 利用者の多様性に対応するためには,各々の従業員の価値観の多様性を認めることが望ましいので,組識としてのサービスの理念や価値を明文化すべきではない。

組識としてのサービスの理念や価値を明文化することは重要です。価値観はそれぞれ違っていてよいですが,プロの対人援助集団であるためには,サービスの質は均質化されなければなりません。

移乗を例にとると,手技が違うことは,利用者に対して恐怖感を与えてしまうことにもつながってしまいます。


さて,今日のテーマは,「人はうそをつくとき饒舌になる」です。

国試問題では,余計ないいまわしをすることで,引っ掛けようとします。

注意が必要です。























赤字の部分が余計な文章です。

問題の内容に気が取られるとこういったところに気が回らなくなりますが,気がつけば,消去することができます。

そういった面で,はっきり言って,問題の作り方が下手です。



<今日の一言>

人は嘘をつくとき饒舌になる

問題内容は,勉強したことでなくても,こういったちょっとしたところに気がつくことができれば,正解できる確率は上がります。

勉強が足りない人は,余裕がないので,間違います。

そして,合格点に到達できなくなります。

逆に,今日の問題のようなものを確実に正解できることで,合格基準点を超える1・2点になります。

過去問を解くとき,注意してみましょう。得点力は確実に上がります。

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