1929年
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現在の養護老人ホームは,救護法に規定される養老院としてスタートした。
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1963年
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老人福祉法の成立により,特別養護老人ホームなどの入所施設,老人家庭奉仕員などの在宅福祉サービスが規定された。
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1973年
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老人福祉法の改正によって老人医療費が無料化されて,1982年老人保健法によって老人医療費の一部負担ができた。
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1990年
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福祉関係八法改正によって,デイサービスなどの在宅福祉サービスが法定化された。
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2000年
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介護保険によって,措置制度から契約制度に変わった。
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日本の社会保障制度は
①社会保険制度
②社会福祉制度
③生活保護制度
があります。
高齢者に対する施策を見たときは,
③生活保護制度(救護法及び生活保護法)
↓ ↓
②社会福祉制度(老人福祉法)
↓ ↓
③社会保険制度(介護保険制度)
と発展していることがわかります。
それでは今日の問題です。
第22回・問題119 第二次世界大戦後の我が国の高齢者保健医療福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 経済的に困窮した高齢者を対象とする入所施設として,「旧生活保護法」で保護施設,「新生活保護法」では養護老人ホームが設けられた。
2 特別養護老人ホームは,高齢者への経済的援助と介護を行う施設として,老人福祉法(昭和38年)に規定された。
3 デイサービス,ショートステイサービス等は,福祉関係八法改正(平成2年)によって,それまでの措置事業から契約対象の事業に位置づけられた。
4 老人医療費の無料化は,国の制度としては老人福祉法の改正(昭和48年)により行われたが,老人保健法の制定(昭和57年)により一部自己負担が導入された。
5 「ゴールドプラン21」は,介護保険制度が始まった2000(平成12)年度から10か年計画でスタートし,サービス基盤の整備目標や今後の方向性を明らかにした。
第22回国試は,現行カリキュラムでの試験の第1回です。この回の問題は重要です。
正解は,選択肢4です。
4 老人医療費の無料化は,国の制度としては老人福祉法の改正(昭和48年)により行われたが,老人保健法の制定(昭和57年)により一部自己負担が導入された。
老人医療費が無料だった時代に,在宅死と医療機関での死の数が逆転して,現在に至ります。
それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。
1 経済的に困窮した高齢者を対象とする入所施設として,「旧生活保護法」で保護施設,「新生活保護法」では養護老人ホームが設けられた。
養護老人ホームは,本当に用心しなければなりません。
次のように変遷しています。
(重要) <養護老人ホームの変遷>
①救護法 養老院
↓ ↓
②旧・生活保護法 養老施設
↓ ↓
③老人福祉法 養護老人ホーム
養護老人ホームには用心が必要です。
2 特別養護老人ホームは,高齢者への経済的援助と介護を行う施設として,老人福祉法(昭和38年)に規定された。
入所要件に経済的理由が規定されているのは,養護老人ホームです。
3 デイサービス,ショートステイサービス等は,福祉関係八法改正(平成2年)によって,それまでの措置事業から契約対象の事業に位置づけられた。
契約制度に変わったのは,2000年の介護保険です。
5 「ゴールドプラン21」は,介護保険制度が始まった2000(平成12)年度から10か年計画でスタートし,サービス基盤の整備目標や今後の方向性を明らかにした。
ゴールドプラン21は,5年計画で,正式名称は,「今後5か年間の高齢者保健福祉施策の方向~ゴールドプラン21~」といいます。
<今日の一言~高齢者福祉の発展過程のまとめに変えて>
歴史は覚えるのが面倒だという人は多いと思います。
昔のことを覚えたから何になるのか,という思いがあるからなのかもしれません。
しかし,歴史は過去の出来事ではなく,これからのことを考えるためのヒントを多く含みます,
〇〇年に△△があった。
といった勉強方法では無味乾燥です。
施策は社会のニーズに対して作られます。
その時代を感じること,それは必ずしも正しい認識が必要だということではありません。
その時代がどんな時代だったのかを考えてみることが必要です。
そうすると,無味乾燥に思えた歴史も,熱く生きた人たちの息遣いが感じられることでしょう。