2021年5月26日水曜日

出題意図を考えること

社会福祉士の国家試験に合格することは簡単なことではありません。

 

合格率30%という事実を正しく認識する必要があります。

 

受験者の70%が不合格になる試験です。

 

受験資格を考えた時,誰もが受験できるわけではなく,かなりハードルが高い資格です。

 

合格率を下げているのは,一般養成施設だと思っている人も多いようですが,それは間違いです。

 

第29~33回国試の合格率の比較 

回

福祉系大学

一般養成施設

33

28.7%

33.6%

32

29.1%

33.0%

31

29.4%

34.0%

30

29.2%

35.0%

29

23.9%

32.3%

平均

28.1%

33.6%

 

合格率を下げているのは福祉系大学であることは明らかです。

 

この事実を知らない人が多いようですが,データがすべてを語ります。

 

福祉系大学と一般養成施設の合格率

https://fukufuku21.blogspot.com/2021/03/blog-post_25.html

 

社会福祉士の国家試験は,マーク式です。

 

答えは,必ず問題の中にあります。

 

知恵を働かせれば,正解できる問題もあります。

 

一般養成施設のうち,多くを占める通信課程で学ぶ人は社会人でしょう。

 

社会人には社会人の強みがあります。

最も大きな強みは,人生の中で培われた「知恵」があることでしょう。

 

年齢とともに高まることが知られている結晶性知能がそのことを物語ります。

 

さて,今日のテーマは「出題意図を考えること」です。

これができるようになれば,確実に得点力が上がります。

 

それでは,今日の問題です。

 

第30回・問題56 障害者スポーツに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 スペシャルオリンピックスは,オリンピックの直後に当該開催地で行われる。

2 パラリンピックは,イギリスの病院での脊髄損傷者が参加する競技会の開催がきっかけとなった。

3 デフリンピックは,知的障害者による国際スポーツ大会として誕生した。

4 ゆうあいピックは,全国障害者スポーツ大会から独立して誕生した。

5 フェスピック競技大会は,発達障害者を対象に展開された。

 

第30回国試は,2018年に実施されたものです。

 

次のオリンピック・パラリンピックは,2020東京大会です。

わずか2年後に起きることを予測できた人は果たしてどのくらいいたことでしょうか。

 

正解は,試験委員にとって,極めて重要な意味を持ちます。

きっちりと設計される問題は,正解を先に作ってからそれ以外の選択肢をつくります。

これを意識すると,正解できる確率が上がります。

 

ここまで言えば,正解は想像できることでしょう。

 

2 パラリンピックは,イギリスの病院での脊髄損傷者が参加する競技会の開催がきっかけとなった。

 

これが正解です。

 

このほかの選択肢がもし今後出題されることがあったとしても,正解にはなりにくいものだと言えます。

 

本当に伝えたいものではなかったからです。

2021年5月25日火曜日

児童に関する社会手当

児童に関する社会手当には,


・児童手当

・児童扶養手当

・特別児童扶養手当


などがあります。


このうち,最も対象が広いのは,児童手当です。


児童が15歳に達する日以後の最初の3/31まで給付されます。


児童扶養手当は,ひとり親などに給付されます。児童が18歳にする日以後の最初の3/31まで給付されます。


特別児童扶養手当は,自宅で生活する一定以上の障害のある障害児及び障害者に給付されます。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題55 児童手当,児童扶養手当に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 児童手当の支給対象となる児童の年齢は,12歳到達後の最初の年度末までである。

2 児童手当の費用は,国と地方自治体が50%ずつ負担している。

3 児童手当の支給額には,物価スライド制が適用されている。

4 児童扶養手当の費用は,国が全額負担する。

5 児童扶養手当の支給対象となる児童の年齢は,障害がない子どもの場合,18歳到達後最初の年度末までである。


こういった財源まで含まれる問題を見ると,細かすぎていやになってしまうかもしれません。


しかしそこには答えはありません。


それでは解説です。


1 児童手当の支給対象となる児童の年齢は,12歳到達後の最初の年度末までである。


「12歳到達後の最初の年度末まで」ではなく,「15歳到達後の最初の年度末まで」です。


児童手当の児童の定義は,「18歳に達する日以後の最初の3/31」となっており,定義と支給年齢が異なることに注意が必要です。


2 児童手当の費用は,国と地方自治体が50%ずつ負担している。


国と地方自治体の負担割合は,国:3分の2,地方公共団体:3分の1です。


3 児童手当の支給額には,物価スライド制が適用されている。


物価スライド制とは,物価によって給付額が変わるものです。


著名なものとしては,1973年・昭和47年に年金の給付額に採用されたことが知られます。


児童手当は,物価スライド制はなく,定額給付です。


近年の改正によって,児童扶養手当には物価スライド制が採用されています。


4 児童扶養手当の費用は,国が全額負担する。


児童扶養手当の国の負担割合は,3分の1となっています。


5 児童扶養手当の支給対象となる児童の年齢は,障害がない子どもの場合,18歳到達後最初の年度末までである。


これが正解です。


「障害がない子どもの場合」と限定されているのは,障害のある場合は20歳未満まで給付されるからです。

2021年5月24日月曜日

出産育児一時金と出産手当金

医療保険は,療養の給付(治療にかかる費用)が中心ですが,法定給付にはそれ以外のものもあります。


その中心なのは,傷病手当金です。


傷病手当金は,傷病によって労務ができなくなって3日を経過して4日目から給付されます。


給付期間は,最大1年6か月です。


今日のテーマは,「出産育児一時金と出産手当金」です。


出産育児一時金は,出産にかかる費用を給付するものです。


扶養する家族が出産する場合は,家族出産育児一時金が給付されます。


家族出産育児一時金は,国民健康保険にはありません。

なぜなら,健康保険と異なり,国民健康保険は扶養家族という制度はないからです。


国民健康保険に加入していれば,出産育児一時金が給付されます。


出産手当金は,被保険者本人が出産する際,産前42日,産後56日の間,労務に服さず,給与が支払われない場合の所得保障です。


被保険者本人が出産する場合,出産育児一時金と出産手当金は併給できます。給付の目的が異なる給付だからです。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題54 事例を読んで,出産・育児支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Cさん(28歳,女性)は,U社に正社員として5年間勤務し,V社に正社員として5年間勤務するDさん(28歳,男性)と婚姻関係にあり同居している。Cさんは,4週間後に出産予定日を控え,「育児・介護休業法」に基づく育児休業を取得する予定である。CさんとDさんは,共に健康保険,厚生年金保険及び雇用保険の被保険者である。

1 Cさんが出産したときは,出産育児一時金が支給される。

2 Cさんが育児休業を取得した場合,休業開始時賃金日額の40%の育児休業給付金が支給される。

3 育児休業中,Cさんの厚生年金保険の保険料は,事業主負担分のみ免除される。

4 CさんとDさんが共に育児休業を取得する場合,育児休業給付金は,最長で合計3年間支給される。

5 CさんとDさんの所得を合算した額が一定額に満たない場合,CさんとDさんのどちらかに,出産後,児童扶養手当が支給される。

(注)「育児・介護休業法」とは,「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことである。


特に注意したいポイントは,Cさんは健康保険の被保険者であることです。


それでは解説です。


1 Cさんが出産したときは,出産育児一時金が支給される。


これが正解です。


Cさんは,健康保険の被保険者なので,出産育児一時金が給付されます。

もし,CさんがDさんの被扶養家族だった場合は,家族出産育児一時金が給付されます。


2 Cさんが育児休業を取得した場合,休業開始時賃金日額の40%の育児休業給付金が支給される。


育児休業給付金は,休業開始時賃金日額の50%が給付されます。

ただし,現時点(2021年5月)では,180日までは67%に引き上げられています。181日以降は50%が給付されます。


3 育児休業中,Cさんの厚生年金保険の保険料は,事業主負担分のみ免除される。


育児休業中は,本人と事業主負担分の保険料が免除されます。


4 CさんとDさんが共に育児休業を取得する場合,育児休業給付金は,最長で合計3年間支給される。


夫婦ともに育児休業を取得する場合は,最長1年2か月の間に育児休業給付金が給付されます。

これはどちらか一方ではなく,夫婦ともに給付されます。


5 CさんとDさんの所得を合算した額が一定額に満たない場合,CさんとDさんのどちらかに,出産後,児童扶養手当が支給される。


児童扶養手当は,両親がそろっていない場合などに給付されるものです。

Cさん夫婦には給付されません。

2021年5月22日土曜日

年金の支給年齢

わが国の社会保険制度は,5つあります。


先に医療保険制度ができて,そのあとに年金保険制度ができます。


戦後になって,労働保険と呼ばれる労働者災害補償保険と雇用保険ができます。


2000年に介護保険が施行されて,5つになります。


ちょっと歴史を紐解けば,医療保険と年金保険は,戦前にできた制度を活用して,皆保険・皆年金が作り上げられました。


さて,今回のテーマは「年金の支給年齢」です。


現時点(2021年5月)は,原則65歳,希望によって,60~70歳を選ぶことができます。


2022年4月から,原則65歳,希望によって,60~75歳の間で選ぶことができるようになります。


間違って覚えてほしくないのは,支給年齢の原則は変わっていないことです。


繰り下げの範囲が広がるだけです。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題52 公的年金制度の沿革に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 社会保障制度が本格的に整備されるようになった第二次世界大戦後,厚生年金保険制度が創設された。

2 国民年金法が1959年(昭和34年)に制定され,自営業者等にも公的年金制度を適用することにより,国民皆年金体制が実現することになった。

3 オイルショックに伴う急激なインフレに対処するため,1973年(昭和48年)改正により,厚生年金の給付水準を一定期間固定することとした。

4 持続可能な制度にする観点から,2004年(平成16年)改正により,老齢厚生年金の支給開始年齢を段階的に65歳から67歳に引き上げた。

5 将来の無年金者の発生を抑える観点から,2012年(平成24年)改正により,老齢基礎年金の受給資格期間を25年から30年に延長した。


年金制度は,改正に改正を重ねて,現在の形がつくられました


覚えるのは面倒ですが,その分,ほかの受験者と差をつけやすいことも事実です。


それでは,解説です。


1 社会保障制度が本格的に整備されるようになった第二次世界大戦後,厚生年金保険制度が創設された。


厚生年金制度は,戦時中の労働者年金保険法が始まりです。


2 国民年金法が1959年(昭和34年)に制定され,自営業者等にも公的年金制度を適用することにより,国民皆年金体制が実現することになった。


これが正解です。


年金保険制度は,被用者を対象とした厚生年金制度が先にできて,戦後,1959年・昭和34年に国民年金法が成立し,それが施行された1961年・昭和36年に皆年金となりました。


3 オイルショックに伴う急激なインフレに対処するため,1973年(昭和48年)改正により,厚生年金の給付水準を一定期間固定することとした。


1973年・昭和48年は,福祉が充実したことにより「福祉元年」と呼ばれた年です。


高度経済成長は,インフレの時代です。物価が上がる中,給付水準が固定されると,給付される年金の価値は目減りしてしまいます。


そのため,採用されたのが「物価スライド制」です。


因みに第一次オイルショックが起きたのは,同年の冬のことです。


もし法律を改正するとしても,翌年以降でしょう。


こんなことを知らなくても,インフレ時代に給付水準を固定すればどのようなことが起きるか考えることができれば,不適切だと思えるはずです。


4 持続可能な制度にする観点から,2004年(平成16年)改正により,老齢厚生年金の支給開始年齢を段階的に65歳から67歳に引き上げた。


支給年齢は,65歳で変わっていません。


これは絶対に押さえておいてほしいと思います。


5 将来の無年金者の発生を抑える観点から,2012年(平成24年)改正により,老齢基礎年金の受給資格期間を25年から30年に延長した。


これは,比較的最近の出来事なので記憶に残っている人もいることでしょう。


従来は,25年だったものを10年に短縮しました。


<今日の一言>


今日の問題は,決して難しくないですが,正解するのはそんなに簡単ではありません。


この問題の引っ掛けポイントは「財政悪化によって,年金は受け取れないかも」といった間違った認識があることです。


勉強不足の人は,そういったイメージのために,選択肢4や5を選んでしまうでしょう。


おまけ


日本の社会保障制度の原型は,戦前・戦中に出来上がっています。


ここに留意することが必要です。


健康保険(1922年) → 労働争議の緩和することにより共産化防止のため。

国民健康保険(1938年) → 強い兵士を送り出すため。

労働者年金(1941年)→厚生年金(1944年)→ 戦争にかかるお金をねん出するため。


このような裏を考えると,覚えやすいと思います。


戦後にできた労働保険は,日本国憲法の勤労の義務及び権利を保障するためのものです。

2021年5月21日金曜日

国民健康保険の保険者

今回は,社会保険の保険者を学んでいきたいと思います。

 

国試に合格する勉強方法~社会保険の整理法 (まずはここを見て!)

https://fukufuku21.blogspot.com/2017/12/blog-post_1.html

 

保険者(誰が取り扱うの?)は,社会保険を押さえる基本です。

 

誰が取り扱うの?(保険者)



年金保険

 政府



医療保険

 健康保険 ➡ 各保険者(全国健康保険協会&健康保険組合)

 国民健康保険 ➡ 市町村&都道府県(都道府県は平成30年4月~)

          国民健康保険組合

 後期高齢者医療制度 ➡ 都道府県区域の全市町村が加入する広域連合



介護保険

 市町村(広域連合)



労災保険

 政府



雇用保険

 政府

※都道府県が保険者なのは,市町村国保のみ!!

 

注意したいのは,市町村国保です。

 

平成30年から,保険者が市町村とともに都道府県が加わり,都道府県が責任主体となりました。

保険者が変更になるというのは,社会保険制度の基本が変わる極めて大きな制度改正です。

 

 

それでは,今日の問題です。

 

第30回・問題51 社会保険の保険者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民年金の保険者は,日本年金機構である。

2 介護保険の保険者は,国である。

3 国民健康保険組合の保険者は,市町村である。

4 健康保険の保険者は,全国健康保険協会及び健康保険組合である。

5 労働者災害補償保険の保険者は,都道府県である。

 

わが国の社会保険制度は5つありますが,そのうち,医療保険と年金保険は戦前からある制度を利用して国民皆保険・皆年金に作り替えたので,保険者が複数にわたります。

 

そこがちょっと面倒なところかもしれません。

 

それでは,解説です。

 

1 国民年金の保険者は,日本年金機構である。

 

国民年金及び厚生年金の保険者は,政府です。

 

2 介護保険の保険者は,国である。

 

介護保険の保険者は,市町村です。

 

3 国民健康保険組合の保険者は,市町村である。

 

国民健康保険組合(国保組合)の保険者は,各国民健康保険組合です。

 

国保組合は,主に同業者が組合を組織して運営しています。

 

国民健康保険(国保)は,市町村国保とともに国保組合があることを覚えておきたいです。

 

国保組合の歴史は古く,1938(昭和13)年の国民健康保険法の成立当時から国保組合が認められていました。

 

4 健康保険の保険者は,全国健康保険協会及び健康保険組合である。

 

これが正解です。

 

全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者は,主に中小企業の従業員です。

 

健康保険組合の加入者は,主に大企業の従業員です。

 

 

5 労働者災害補償保険の保険者は,都道府県である。

 

労働保険と呼ばれる雇用保険と労働者災害補償保険の保険者は,政府です。

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