社会保険を押さえる時の基本
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●誰が取り扱うの?(保険者)
●誰が加入するの?(被保険者)
●誰が保険料を負担するの?(社会保険料負担)
●誰が保険料を納付するの?(納付義務者)
●どんな時に給付されるの?(保険事故)
●どのくらい払うの?(保険料率)
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たったこれだけです。
一つひとつの社会保険制度は複雑に見えますが,整理してみると意外にシンブルです。
一つひとつの社会保険制度は複雑に見えますが,整理してみると意外にシンブルです。
誰が取り扱うの?(保険者)
年金保険
政府
医療保険
健康保険 ➡ 各保険者(全国健康保険協会&健康保険組合)
国民健康保険 ➡ 市町村&都道府県(都道府県は平成30年4月~)
国民健康保険組合
後期高齢者医療制度 ➡ 都道府県区域の全市町村が加入する広域連合
介護保険
市町村(広域連合)
労災保険
政府
雇用保険
政府
※都道府県が保険者なのは,都道府県等が行う国民健康保険のみ!!
※都道府県が保険者なのは,都道府県等が行う国民健康保険のみ!!
誰が加入するの?(被保険者)
年金保険
国民年金 ➡
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者を除く。以下「第一号被保険者」という。)
二 厚生年金保険の被保険者(以下「第二号被保険者」という。)
三 第二号被保険者の配偶者であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者を除く。以下「第一号被保険者」という。)
二 厚生年金保険の被保険者(以下「第二号被保険者」という。)
三 第二号被保険者の配偶者であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)
厚生年金 ➡ 適用事業所の70歳未満の被用者
医療保険
健康保険 ➡ 適用事業所の被用者(75歳未満)
国民健康保険 ➡ 自営業者,農林水産業,無職の者など。
後期高齢者医療制度 ➡ 75歳以上,または65~74歳で一定の障害状態であることの認定を受けた者。
介護保険
第1号被保険者 ➡ 65歳以上のもの。
第2号被保険者 ➡ 40~65歳未満の医療保険加入者。
労災保険
労働者を雇用する事業所,一人親方など。
※事業所単位で加入し,すべての労働者に適用される。雇用形態,国籍等は一切問わない!! (労災保険だけ被保険者という概念が存在していない)
※事業所単位で加入し,すべての労働者に適用される。雇用形態,国籍等は一切問わない!! (労災保険だけ被保険者という概念が存在していない)
雇用保険
被用者(一部の短期間労働者などを除く)
誰が保険料を負担するの?(社会保険料負担)
年金保険
第1号被保険者 ➡ 本人,または保険料連帯納付義務者(世帯主,あるいは配偶者)
第2号被保険者 ➡ 国民年金分は加入する制度からの拠出(自己負担なし)。厚生年金分は被保険者と事業主の折半。
第3号被保険者 ➡ 第2号被保険者全体で負担(自己負担なし)。
医療保険
健康保険 ➡ 労使折半(任意継続の場合は自己負担のみ)。
国民健康保険 ➡ 全額自己負担(事業主折半がないのは当然)
後期高齢者医療制度 ➡ 全額自己負担(事業主折半がないのは当然)
介護保険
第1号被保険者 全額自己負担
第2号被保険者 労使折半
労災保険
事業主負担のみ(労働者の負担なし)
雇用保険
失業等給付 ➡ 労使折半
雇用保険二事業 ➡ 事業主負担のみ(自己負担なし)
誰が保険料を納付するの?(納付義務者)
医療保険
健康保険 ➡ 事業主
国民健康保険 ➡ 世帯主(世帯主が健康保険の被保険者であっても,扶養義務者に国保の人がいれば納付義務が発生)
後期高齢者医療制度 普通徴収(年金額が18万円未満) 特別徴収(年金額が18万円以上,年金から天引き)
年金保険
第1号被保険者 ➡ 本人,または保険料連帯納付義務者(世帯主,あるいは配偶者)
第2号被保険者 ➡ 事業主
第3号被保険者 ➡ 事業主
介護保険
第1号被保険者 ➡ 普通徴収(年金額が18万円未満) 特別徴収(年金額が18万円以上,年金から天引き)
第2号被保険者 ➡ 事業主
労働保険 ➡ 事業主
雇用保険 ➡ 事業主
※年金保険の保険料が払えない場合
納付免除 国庫負担分のみ年金額に反映(老齢基礎年金の場合)
納付猶予(学生特例) 追納しないと年金額に反映されない(老齢基礎年金の場合)
どんな時に給付されるの?(保険事故)
年金保険
老齢年金 ➡ 65歳になった場合(繰り上げ,繰り下げ制度あり)
障害年金 ➡ 障害等級に該当する場合(基礎年金は1・2級,厚生年金は1~3級)。
※障害認定日が大切。成人の場合,初診日から1年6か月後。
遺族年金 ➡ 被保険者が亡くなった場合。
医療保険 ➡ けが,出産など。
労災保険 ➡ 業務災害(業務の怪我・死亡など),通勤災害(通勤中などの怪我・死亡など)。
雇用保険 ➡ 失業した場合など。
どのくらい払うの?(保険料率)
年金保険
国民年金 ➡ 定額(月額16,490円)
厚生年金 ➡ 標準報酬月額+標準賞与額×18.300%(2004年から少しずつ引き上げて2017年10月に固定)
医療保険
協会けんぽ ➡ 都道府県単位
健保組合 ➡ 組合が定める
共済組合 ➡ 組合が定める
国保組合 ➡ 組合が定める
市町村国保 ➡ 市町村が定める
後期高齢者医療制度 ➡ 広域連合が定める
介護保険
第1号被保険者 ➡ その市町村の介護保険事業計画で算定された費用を市町村の第1号被保険者数で割って計算される介護保険料。
第2号被保険者 ➡ 全国の介護給付の28%を第2号被保険者数で割って計算される介護保険料(第6期の場合)
労災保険
メリット制(労災発生率によって保険料率が上下)
雇用保険
報酬×保険料率
これらを頭に入れて今日の問題です。
第24回・問題50
社会保険料の徴収,納付に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 世帯員に国民健康保険の被保険者がいる場合,世帯主は国民健康保険以外の医療保険制度の被保険者であっても国民健康保険科の納付義務者となる。
2 介護保険の第1号被保険者と第2号被保険者,後期高齢者医療制度の被保険者が負担する保険料は,特別徴収の方法によって徴収される。
3 国民年金の学生納付特例制度により,保険料納付の猶予を受けた者が保険料を追納しなかった場合,当該期間の国庫負担分のみが老齢基礎年金の支給額に反映される。
4 雇用保険の保険料は,賃金総額に保険料率を乗じて算出された額を事業主が負担する。
5 厚生年金保険料と健康保険料の納付義務者は,被保険者である。
難しそうに見えますが,一つずつをしっかり理解しておくと簡単です。
1 世帯員に国民健康保険の被保険者がいる場合,世帯主は国民健康保険以外の医療保険制度の被保険者であっても国民健康保険科の納付義務者となる。
誰が保険料を納付するの?(納付義務者)
医療保険
国民健康保険 ➡ 世帯主(世帯主が健康保険の被保険者であっても,扶養義務者に国保の人がいれば納付義務が発生)
よって正解です。
2 介護保険の第1号被保険者と第2号被保険者,後期高齢者医療制度の被保険者が負担する保険料は,特別徴収の方法によって徴収される。
誰が保険料を納付するの?(納付義務者)
医療保険
後期高齢者医療制度 普通徴収(年金額が18万円未満) 特別徴収(年金額が18万円以上,年金から天引き)
第1号被保険者 ➡ 普通徴収(年金額が18万円未満) 特別徴収(年金額が18万円以上,年金から天引き)
第2号被保険者 ➡ 事業主
普通徴収は,被保険者が保険者に支払う方法
特別徴収は,被保険者が保険者に支払うのではなく,年金から天引きされる方法。
普通徴収は納付手続きが面倒ですが,特別徴収は自動的に納付されるので,保険者,被保険者も楽ちんです。普通ではない方法を考えたので特別徴収と言います。
問題に戻ります。
介護保険の第1号被保険者及び後期高齢者医療制度の被保険者 ➡ 普通徴収&特別徴収
介護保険の第2号被保険者 ➡ 医療保険の保険者に支払い。
複雑な問題の出題をしていますが,特別徴収以外もあるので,間違いです。
3 国民年金の学生納付特例制度により,保険料納付の猶予を受けた者が保険料を追納しなかった場合,当該期間の国庫負担分のみが老齢基礎年金の支給額に反映される。
※年金保険の保険料が払えない場合
納付免除 国庫負担分のみ年金額に反映(老齢基礎年金の場合)
納付猶予(学生特例) 追納しないと年金額に反映されない(老齢基礎年金の場合)
年金額に反映されるのは,納付免除の場合です。よって間違いです。
老齢基礎年金の場合とただし書きをつけているのは,納付期間によって年金額が変わるのは老齢基礎年金のみで,障害及び遺族年金は満額支給されるからです。
4 雇用保険の保険料は,賃金総額に保険料率を乗じて算出された額を事業主が負担する。
誰が保険料を負担するの?(社会保険料負担)
雇用保険
失業等給付 ➡ 労使折半
雇用保険二事業 ➡ 事業主負担のみ(自己負担なし)
失業等給付は,労使折半です。よって間違いです。
5 厚生年金保険料と健康保険料の納付義務者は,被保険者である。
誰が保険料を納付するの?(納付義務者)
医療保険
健康保険 ➡ 事業主
年金保険
第2号被保険者 ➡ 事業主
第3号被保険者 ➡ 事業主
いずれも事業主です。よって間違いです。
<今日の一言>
社会保険制度は,一見複雑で覚えにくいように見えますが,整理すればたくさんのものが見えてきます。
苦手だと思う人は,ひと手間かけることも必要かもしれません。
<それでも苦手だという方へ>
「社会保障」という名称が示す通り,出題基準は広範囲にわたります。
それにもかかわらず,出題はたったの7問しかありません。
それにもかかわらず,出題はたったの7問しかありません。
旧カリ時代は,現在の相談援助に相当する社会福祉援助技術の30問以外は,1科目10問,全13科目でした。
10問時代と現在が違うのは,出題基準に沿って,広範囲にわたり万遍なく出題することができない,という制約です。
つまり細かく出題しにくいのです。
そこが「社会保障」の攻略ポイントです。
日本の社会保険制度は,ドイツと同じ,医療,年金,労災,雇用,介護の5つです。
介護保険は第23回だけしか出題されたことがないので,この科目では捨てても良いと思います。
年金,医療はいずれも7問ずつの出題です。いずれも複雑なので覚えるポイントも多いですね。
そこで労働保険に着目してみると
22
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26
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28
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29
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30
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31
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労災
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×
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〇
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〇
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×
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〇
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〇
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〇
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×
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雇用
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×
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〇
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〇
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〇
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×
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〇
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×
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×
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×
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×
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というように,2問出るか,どちらかが1問ずつ出題されていることが分かります。(第31回は出題されていません)
労働保険は,戦前に出来た医療,年金と違って,とてもシンブルです。覚えるポイントは少なくて済みます。
社会保障が苦手だと思っている人は,医療,年金が複雑だからでしょう。
(2018/11/19追記)
苦手意識がある人は,まずは労働保険(労災保険&雇用保険)を押さえましょう。1問は確保できます。