「低所得者に対する支援と生活保護制度」は出題範囲が狭いのが特徴です。
生活保護の扶助の種類に関する出題は,現行カリキュラムの国試の全8回中,6回出題されています。
出題確率はなんと75%!!
極めて出題率が高いです。
これを覚えないのはもったいないです。
今回は,生活保護の中でも中心的な生活扶助を押さえていきたいと思います。
基準生活費
➡ 飲食物代・被服費・光熱水費などの費用の給付するものです。個人単位で消費される「第1類」と,世帯単位で消費される「第2類」に分かれます。
個人単位 ➡ 第1類
世帯単位 ➡ 第2類
何度も何度も繰り返して出題されています。
混乱しないようにしっかり覚えましょう。
<似たようなものがあるときの覚え方のコツ>
2つとも覚えるのは混乱のもとです。
片方だけを覚えるのがコツです。
覚えていないものが出題されたときは,覚えているものをヒントに答えます。
個人単位 = 第1類 を覚えるとします。
そうすれば・・・
個人単位 = 第2類
と出題されれば間違いだと分かります。
また
世帯単位 = 第2類
と出題されても間違いだと分かります。
両方とも覚えるのは混乱するもとですので,注意が必要です。
入院患者日用品費
➡ 入院した場合に給付される一般生活費です。
介護施設入所者基本生活費
➡ 施設入所した場合に給付される一般生活費です。
これを覚えて今日の問題です。
第23回・問題59 生活扶助に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 生活扶助は,原則として金銭給付によって行うものとされる。
2 生活扶助における基準生活費は,世帯を単位として算定された第1類に定める額である。
3 入院患者日用品費は,原則として入院時の付添費,給食費に対応するものである。
4 加算とは,特別の状態にある者に最低生活より高い生活水準を保障するための特別経費を支給するものである。
5 一時扶助とは,要否判定前に一時的に支給されるものである。
先の説明で述べていないものもあるので,ちょっと難しいかもしれません。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 生活扶助は,原則として金銭給付によって行うものとされる。
生活保護の給付方法には,金銭給付によって行われるものと現物給付によって行われるものの2通りがあります。
扶助は8種類あります。
それぞれを覚えるのは面倒です。覚えるものは少ない方が良いです。
現物給付で行われるのは,医療扶助と介護扶助です。
そのほかは現金給付が原則です。
なぜ「原則」かというと,保護施設に入所する場合は,現物給付になるからです。
問題に戻ると生活扶助は原則金銭給付です。
よって正解です。
生活扶助を目的とする保護施設は,「救護施設」と「更生施設」です。
宿所提供施設は,生活扶助ではなく,住宅扶助を目的とする保護施設です。
間違えないようにしましょう。
2 生活扶助における基準生活費は,世帯を単位として算定された第1類に定める額である。
世帯単位なのは,第2類でしたね。
よって間違いです。
3 入院患者日用品費は,原則として入院時の付添費,給食費に対応するものである。
入院患者日用品費は,入院した時に給付される一般生活費です。
よって間違いです。
4 加算とは,特別の状態にある者に最低生活より高い生活水準を保障するための特別経費を支給するものである。
基準及び程度の原則
➡ 保護基準は,要保護者の年齢別,性別,世帯構成別,所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって,かつ,これをこえないものでなければならない。
保護は「最低限度の生活保障」(ナショナルミニマム)です。
基準のラインで保護がなされます。
この基準よりも高い生活水準は保障しません。
加算がないと基準を下回ってしまうため,加算が設けられているのです。
よって間違いです。
5 一時扶助とは,要否判定前に一時的に支給されるものである。
一時扶助は,一時的にお金が必要になるときに給付されるものです。
よって間違いです。
「決定前に一時的に支給される」と聞いて「ははーん」と思う人もいるでしょう。
そのときに使われる言葉は「特例」です。
介護保険や障害福祉サービスの「特例介護給付費」です。
<介護保険料加算と介護扶助の違い>
生活扶助の加算の中には,介護保険料加算があります。
生活保護受給者は第2号被保険者になることはできません。そのため,介護保険料負担はありません。介護保険サービスを利用する場合の利用料は介護扶助で賄われます。
65歳以上になると,第1号被保険者になります。
そのため,保険料負担が生じます。その時に対応するのが,生活扶助の介護保険料加算です。介護扶助ではなく生活扶助です。
第2号被保険者と同じように介護保険サービスを利用する場合の利用料は介護扶助で賄われます。整理しておきましょう。
<今日のひとこと>
覚えるときは,ポイントを絞ることが大切です。
特に2つある場合は,片方だけを覚えると,実際の国試では「あれっ,どっちだったかな?」と迷うことはなくなります。