「人名や歴史が覚えられない」
そんな声が多く聞かれます。
しかし,合否を分けるのは,問題の中でも圧倒的な分量を占める制度です。
今日は前説なしでいきます。
第24回・問題60
被保護者の権利義務に関する次の記述のうち, 正しいものを一つ選びなさい。
1 急迫の場合等において資力があるにもかかわらず保護を受けたときは,受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
2 保護金品を標準として租税その他の公課を課せられないという権利があるが,過去の税滞納を理由とする保護金品の差し押さえは許されている。
3 勤労に励み支出の節約を図るなど生活の維持向上に努めている場合,保護の実施機関による指導又は指示に従う義務が免除される。
4 収入,支出その他生計の状況について変動があった場合には届出義務が課せられており,これを果たさなかった場合,直ちに保護は変更,停止又は廃止される。
5 正当な理由がなければ保護を不利益に変更されないという権利があるが,地方公共団体における予算の不足はこの正当な理由に当たる。
制度系の問題は,知っているか,知らないか,だけなので,これからの限られた時間でもどんどん実力は蓄えられます。
心理学理論や社会理論などの理論系は,今からの勉強で得点を伸ばすのは難しいです。これから得点力を伸ばすのは法制度系の科目です。
理論系が得点を伸ばせないのは,言い回しが変わるからです。
戦略を間違わないようにしましょう。
さて,それでは解説です。
1 急迫の場合等においで資力があるにもかかわらず保護を受けたときは,受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
費用返還義務があります。よって正解です。
2 保護金品を標準として租税その他の公課を課せられないという権利があるが,過去の税滞納を理由とする保護金品の差し押さえは許されている。
公課禁止は,どんな場合にも禁止されています。よって間違いです。
3 勤労に励み支出の節約を図るなど生活の維持向上に努めている場合,保護の実施機関による指導又は指示に従う義務が免除される。
被保護者は,指示等に従う義務があります。
免除はされません。よって間違いです。
4 収入,支出その他生計の状況について変動があった場合には届出義務が課せられており,これを果たさなかった場合,直ちに保護は変更,停止又は廃止される。
届出義務はありますが,直ちに変更,停止又は廃止されてしまったら,生存権を奪うことになります。
そのため,保護の変更,停止又は廃止の処分をする場合には,当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならないという規定があります。
そして必要な場合は,指導や指示が行われます。よって間違いです。
そのため,保護の変更,停止又は廃止の処分をする場合には,当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならないという規定があります。
そして必要な場合は,指導や指示が行われます。よって間違いです。
5 正当な理由がなければ保護を不利益に変更されないという権利があるが,地方公共団体における予算の不足はこの正当な理由に当たる。
不利益変更の禁止は,正当な理由がなければ,既に決定された保護を不利益に変更されることがないというものです。
この正当な理由とは,病気が治った,収入が増えた,といったものです。
この正当な理由とは,病気が治った,収入が増えた,といったものです。
予算不足というようなものではありません。よって間違いです。
<今日の一言>
生活保護の目的は,憲法第25条が規定する最低限度の生活保障と自立の助長です。
自立の助長は忘れがちですので気を付けましょう。