2017年12月21日木曜日

国家試験に合格する勉強法~国民医療費の出題は100%

今日から科目は「保健医療サービス」に入ります。

現行カリキュラムになってから出題基準に加わった科目です。


国民医療費に関する問題は,現行カリキュラムになった第22回から毎年必ず1問出題されています。

しかも第26回以降の出典は「国民医療費の概況」に限定されています。


「白書や報告書に目を通しておきなさい」という先生は大っ嫌いです。

しかし「国民医療費の概況」のように必ず出題されることが分かっているもので,しかもそんなにボリュームのないので,このくらいなら目を通すのは許されるかもしれません。

30回国試で出題される「国民医療費の概況」は,平成26年のものです。

現在は平成27年が発表されていますが,間違いなく,出題されるのは平成26年のものです。


<数値を覚えるときのコツ>

国試では,小さな変化の数値は出題しません。
傾向が読み取れるものを出題します。

したがって,大体の数値が分かっていれば良いです。

例えば,平成26年では59.0%,平成27年では58.3%という数値があった場合を考えます。
どちらを覚えたら良いの?

という質問があります。今の時点でこの質問をするというのは,本当に本試験問題を知らないのだなぁ,と思ってしまいます。

国試では,50%(あるいは5割)を超えている(あるいは超えていない)といった出題であり,細かい数値は一切出題されていないからです。

ナーバスになっていくのはよく分かります。しかし,そういうことに関心を向けすぎると大局が見えなくなってしまいます。

よく「重箱の隅をつついたような」という表現がされることがありますが,まずそのような問題は出題されません。

旧カリ時代は,今よりも科目数が少なかったので,社会福祉援助技術(現在の相談援助2科目に相当)以外,一科目の問題数は10問でした。今よりも問題数が多かったので「重箱の隅をつついたような」ものも出題できる余裕があったのだと思います。

今は,本筋をしっかり押さえておけば,ほとんどが対応可能です。

さて,それでは国民医療費をまとめてみましょう。

<国民医療費の基本>

どのくらいなの? 
➡ 約40兆円

国全体ではどのくらいを占めているの?

➡ 対国民所得比:約11%  (約40兆円/約400兆円)
➡ 対国内総生産比:約8%  (約40兆円/約500兆円)

一人あたりにするといくらくらい?
➡ 約30万円

いろいろな数値が出てきます。
めんどうですね。

しかし覚えておくべき数値は,40兆円,400兆円,500兆円 の3つだけです。

国民所得よりも国内総生産の方が大きい数値だということだけを押さえておけば,あとは算数の問題です。

複雑に思えるかもしれませんが,母数が分かっていれば,シンプルです。

社会保障給付費も同じですね。

対国民所得比:約30% (約110兆円/約400兆円)
対国内総生産比:約20% (約110兆円/約500兆円)


だれがどのくらい負担しているの?
➡ 保険料 約50% 公費負担 約40%,患者負担等 約10

「社会保障」でも紹介したように,社会保険制度なので,公費が社会保険料を上回るような制度設計はなされません。


どんな病気に使われているの? 
➡ 1位 循環器系の疾患 約20%,2位 新生物 約15%。


年齢別にみるとどうなっているの? 
➡ 75歳以上 約35%,70歳以上 約50%,65歳以上 約60%。

65歳以上と65歳未満を比べると65歳以上の方が多いです。

つまり65歳を過ぎると医療費が多くかかることを物語っています。


年齢別では医療費がどのくらいかかっているの(年間)? 
➡ 75歳以上 約90万円,70歳以上 約80万円,65歳以上 約70万円。※65歳未満 約20万円。

ここで注目したいのは,100万円を超える年齢はないということです。

細かい数値は覚える必要は一切ありません。

 ※一番高い75歳以上でも100万円は超えていない!!

さてこれらを押さえて,今日の問題です。


27回・問題71改 

「平成26年度国民医療費の概況」(厚生労働省)に基づく次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国民医療費は40兆円を超えているが,前年度に比べて増加しているわけではない。

2 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は,10%を超えている。

3 国民医療費を財源別にみると,事業主及び被保険者による保険料負担が全体の60%以上を占めている。

4 国民医療費の医科診療医療費を傷病分類別にみると,「新生物」が最も多い。

5 国民医療費を年齢階級別にみると,「75歳以上」が全体の約3分の1を占めている。


最初の説明で答えは分かると思いますが,詳しく解説していきます。



1 国民医療費は40兆円を超えているが,前年度に比べて増加しているわけではない。

国民医療費は,右肩上がりで増加しています。

よって間違いです。

マニアックですが,2000年以降では2000年,2004年,2006年だけは前年を下回っています。もし2000年以降,毎年増加している,という出題があれば間違いとなります。


2 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は,10%を超えている。

対国内総生産比と対国民所得比の2つが出題されるのでちょっと複雑ですが,国内総生産の方が大きな数値(約500兆円)なので,占める割合は小さくなり,10%は超えません。

よって間違いです。

3 国民医療費を財源別にみると,事業主及び被保険者による保険料負担が全体の60%以上を占めている。


だれがどのくらい負担しているの?
➡ 保険料 約50% 公費負担 約40%,患者負担等 約10

保険料が60%を超えるような制度設計はなされません。

ここが日本の社会保障制度の特徴です。

60%を超えることはないのです。

よって間違いです。


4 国民医療費の医科診療医療費を傷病分類別にみると,「新生物」が最も多い。


新生物(がん)が多いように思うかもしれませんが,最も多いのは「循環器系の疾患」です。

よって間違いです。

このように一般的な認識と実際が違うものは狙われやすいポイントです。


5 国民医療費を年齢階級別にみると,「75歳以上」が全体の約3分の1を占めている。


年齢別にみるとどうなっているの? 
➡ 75歳以上 約35%,70歳以上 約50%,65歳以上 約60%。

35%は約3分の1です。

よって正解です。


<今日の一言>

勉強していて「はっとしたこと」はメモしておきましょう。


そのような部分が引っ掛けポイントとなります。

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