2017年12月9日土曜日

国試に合格する勉強方法~障害者・障害児の相談支援のかんたんな整理のしかた

障害者福祉サービスは,介護保険を下書きして作られています。

そのため,類似している部分や違う部分があります。

障害者福祉サービスの相談支援を整理します。

「地域相談支援」,「計画相談支援」「障害児相談支援」

の3種類です。

まずはこれを整理します。


地域移行  ➡  地域相談支援

ケアマネジメント  ➡  計画相談支援&障害児相談支援


これで分かるように,介護保険にはない制度は,地域相談支援です。

計画相談支援&障児相談支援は,介護保険の居宅介護支援に当たりますが,これも少し違います。これは後述します。


<地域相談支援>


退院困難な精神障害者等が病院や施設から地域移行するための相談支援です。

医療の範疇です。医療は市町村の役割を超えます。

そのため,地域相談支援を行う,「指定一般相談支援事業所」の指定は,都道府県が行います。


<「指定一般相談支援事業所の指定は都道府県」を覚えるコツ>

介護保険サービス事業者の指定は,都道府県が行います。しかし,地域密着型サービスは市町村が指定します。

障害福祉サービスは,介護保険における地域密着型サービスのようなサービスはありません。

そのため,障害福祉サービス事業者の指定は,都道府県のみです。

介護保険サービスと障害福祉サービスの事業所の指定は,基本的には都道府県です。
市町村が指定するのは基本から外れたことだということを理解しましょう。

そこで,

都道府県が指定(基本形) ➡ 一般

市町村が指定(基本から外れたもの) ➡ 特定

となります。特定の部分は後述します。

地域相談支援には,

病院・施設から地域移行を支援する「地域移行支援」,地域移行したあとの生活を支援する「地域定着支援」があります。


<計画相談支援>


障害福祉サービスを利用する際のケアマネジメントを行います。

介護保険との相違点は,施設入所支援を利用する場合でも計画相談支援を利用することです。

介護保険施設は,生活の場と日中活動は一緒ですが,障害福祉サービスの施設入所支援は,生活の場(夜間や休日など)と日中活動(日中の場)が分かれています。

そのため,施設入所支援を利用する場合でも,生活の場と日中活動を組み合わせたケアマネジメントが必要になります。

介護保険では居宅ケアマネが担当し,施設入所すると施設ケアマネが担当するといったように役割分担があります。障害福祉サービスでは,施設入所しても相談支援専門員がケアマネジメントを継続します。

計画相談支援の事業所指定は市町村が行います。

指定事業者は「指定特定相談支援事業所」です。

事業所の指定は,基本的には都道府県が行いますが,計画相談支援の事業所指定は特別に市町村が行います。

そのため「指定特定相談支援事業所」となります。

因みに,現在は介護保険の居宅介護支援事業所の指定は現在,都道府県が行っていますが,20184月からは市町村に権限移譲されます。

それ以降は,ケアマネジメントを行う事業所の指定は,介護保険も障害福祉も市町村に統一されることになります。覚えやすくなりますね。

計画相談支援には,「サービス利用支援」(ケアプラン作成)と「継続サービス利用支援」(モニタリング実施)があります。



<障害児相談支援>


障害児通所支援を利用する場合のケアマネジメントです。障害児相談支援事業所を指定するのは市町村です。この部分は大人と一緒です。

・大人と障害児の違う点

障害児相談支援は,通所サービスを利用する時だけであり,施設入所する場合は,障害児相談支援は利用しません。

その理由は,障害児が施設入所することは,親から引き離された生活を送ることを意味します。極めて専門性の高いものです。

専門性の高いものは市町村の役割ではありません。つまり市町村が指定した指定事業者が行うものではないこととなります。

施設入所する際の入所計画は,児童相談所が行います。

障害児の施設入所は極めて専門性が高く高度な判断が必要です。そのために,障害児相談支援は施設入所の場合は,利用しません。利用するのは通所サービスの場合のみです。

しっかり覚えておきましょう。


さて,今日の問題です。

27回・問題58 

「障害者総合支援法」の実施にかかわる関係機関の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村は,障害福祉サービス事業者の指定を行う。

2 都道府県は,障害支援区分の認定を行う。

3 都道府県は,補装具費の支給を行う。

4 国民健康保険団体連合会は,市町村から委託を受けて介護給付費等の支払業務を行う。

5 公共職業安定所(ハローワーク)は,就労移行支援事業者の指定を行う。


分かるものと分からないものがあると思います。

どんなに勉強しても,勉強したものではないものが出題されます。

だからこそ,前回紹介したように,覚えるときには「思考」(試行)が必要なのです。

分からないことがあった ➡ 調べる

またまた

分からないことがあった ➡ 調べても分からない ➡ 人に聞く

勉強しているときは,分からないことがあれば調べられます。

しかし,国家試験では調べることはできません。

国家試験会場で

分からないことがあった ➡ 調べられない ➡ 分からない,どうしよう

ということになってしまいます。

分からないときは,思考します。模擬試験では,その訓練ができます。

思考(試行)した結果,正しければそれでよいし,完全に正しくなくても「大体あっている」であればOKです。


思考する時は,知っている制度や見聞きしたことを総動員して,足りないピースを埋めていくことになります。

さて,それでは詳しく見ていきましょう。


1 市町村は,障害福祉サービス事業者の指定を行う。


障害福祉サービス事業者の指定は都道府県の役割です。よって間違いです。



2 都道府県は,障害支援区分の認定を行う。


障害支援区分の認定を行うのは,市町村です。

介護保険の要介護認定と同じです。



3 都道府県は,補装具費の支給を行う。


支給は市町村です。よって間違いです。

専門性や高度な判断が求められるのは都道府県,身近な住民サービスを行うのは市町村です。



4 国民健康保険団体連合会は,市町村から委託を受けて介護給付費等の支払業務を行う。


支払い権限は市町村にありますが,実際の支払業務を行うのは大変なので,国保連に委託しています。

これは介護保険と同じです。

よって正解です。

支払い権限があるのは,あくまでも市町村です。国保連ではありません。間違わないようにしっかり覚えておきましょう。


5 公共職業安定所(ハローワーク)は,就労移行支援事業者の指定を行う。


就労移行支援事業者の指定に限らず,障害福祉サービス事業者の指定は都道府県が行います。よって間違いです。


<今日の一言>

分からない問題が出題されたときに,どのように思考して答えを導き出すのかが,国試合格には極めて重要です。

ソーシャルワークでは答えを教えてくれる人は誰もいません。

いろいろいろいろ思考しながら対人援助を実施していきます。

そのために,国家試験は簡単に答えが導き出せるものであってはならないのです。

辛いかもしれませんが,誰もが通り抜けなければならないものです。

国試まで,粘り強く頑張っていきましょう!!

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