2017年12月10日日曜日

国試に合格する勉強方法~障害福祉サービスの整理のしかた 行動援護と同行援護

障害者分野にいないと,障害福祉は苦手だと感じることが多いのではないでしょうか。

また,介護保険サービスは利用者が多いので,身近に感じることができるかもしれませんが,障害福祉は利用者が身近にいなければなじみがないからかもしれません。

しかし,覚え方を工夫することで,苦手意識を払しょくすることは可能です。

<間違いやすい障害福祉サービス>

生活介護 ➡ 居宅サービスのように感じますが,障害者支援施設等で介護サービスを提供するものです。

重度訪問介護 ➡ 障害児は対象としていません。

ただし15歳以上の障害児は,場合によっては利用することはできます。


行動援護 ➡ 対象者は,精神障害者,知的障害者です。

「行動」を援護するという意味は,危険な行動を回避するための援護だと覚えます。


同行援護 ➡ 対象者は,視覚障害者です。

視覚障害の場合は,ガイドになる人が同行して援護してくれれば,安心して移動することができます。そのために「同行」援護だと覚えます。

また,障害福祉サービスは,介護給付と訓練等給付に分かれています。

訓練等給付は,介護保険サービスにはない障害福祉サービスの特徴です。

介護給付は数が多いです。

訓練等給付は,4つしかありません。

自立訓練
就労移行支援
就労継続支援(A型・B
共同生活援助(グループホーム)

訓練等給付の4つ以外は,介護給付だと覚えれば,楽に整理できます。

覚えるアイテムを少なくする工夫です。

さて,これらを押さえて今日の問題です。


23回・問題131

障害者総合支援法に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 生活介護は,障害者等に対して居宅において入浴,排せつ又は食事の介護等を提供する。


2 地域活動支援センターは,障害者等をセンターに通わせ,創作的活動又は生産活動の機会の提供,社会との交流の促進等を担う施設である。


3 訓練等給付費及び特例訓練等給付費の支給は,自立訓練,就労移行支援,就労継続支援,共同生活援助,施設入所支援の給付である。


4 自立支援医療費の支給対象者と認定された障害者等は,自ら医療機関を選び,その医療機関を市町村等に届けなければならない。


5 都道府県は,指定相談支援事業者から計画相談支援給付費の請求があったとき,審査した上で指定相談支援に要した費用を支払う。


先述の説明では分からないものもあると思います。

しかし,消去法で何とか答えを導き出したい問題です。

さて,それでは詳しく見ていきましょう。



1 生活介護は,障害者等に対して居宅において入浴,排せつ又は食事の介護等を提供する。


居宅で,介護サービスを提供するのは,居宅介護です。

よって間違いです。

居宅介護は介護保険サービスの訪問介護です。

生活介護は,障害者支援施設等で介護サービスを提供するものです。


2 地域活動支援センターは,障害者等をセンターに通わせ,創作的活動又は生産活動の機会の提供,社会との交流の促進等を担う施設である。


これが正解です。

地域活動支援センターは種類がありますが,社会福祉士の国家試験では,その種類までは出題されたことはありません。



3 訓練等給付費及び特例訓練等給付費の支給は,自立訓練,就労移行支援,就労継続支援,共同生活援助,施設入所支援の給付である。


訓練等給付は,自立訓練,就労移行支援,就労継続支援(A型・B型),共同生活援助の4つしかありません。

5つある時点で,間違いだと分かりますが,施設入所支援は介護給付です。

よって間違いです。

「特例〇〇〇〇」は,緊急その他やむを得ない理由で,支給決定障害者等が支給申請をした日から支給決定の前日までに指定障害福祉サービスを受けた場合に支給するものです。


似たような名称のものに「特定障害者特別給付」があります。

これは,低所得者が施設入所した際の実費負担を軽減するための給付です。


<「特定〇〇」と「特定〇〇」の覚え方>

「特例〇〇」 ➡ 支給決定前に給付されるもの(基本とは違う給付だから)。

「特定〇〇」 ➡ 低所得者のために給付されるもの(特定の人に給付するから)。



4 自立支援医療費の支給対象者と認定された障害者等は,自ら医療機関を選び,その医療機関を市町村等に届けなければならない。


自立支援医療は,児童福祉法による育成医療,身体障害者福祉法による更生医療,精神保健福祉法による精神通院医療があります。


自ら医療機関を選んで市町村等に届けるのは,極めて難しそうだと思いませんか。特に育成医療は子どもが対象です。

子どもが自ら医療機関を選んで届けるというのは「極めて難しそう」どころか「できない」でしょう。


自ら医療機関を選ぶのは合理的な仕組みではありません。もちろんこんなことはありません。

よって間違いです。



5 都道府県は,指定相談支援事業者から計画相談支援給付費の請求があったとき,審査した上で指定相談支援に要した費用を支払う。


計画相談支援給付の支払い権限があるのは,市町村です。

よって間違いです。



<今日の一言>

国家試験は,決して深掘り,あるいは重箱の隅をつつくような出題はしません。

もしそのような出題があったとしたら,ほとんどの場合,間違い選択肢であることが多いです。

基本をしっかり覚えれば必ず合格基準点は超えられます。

これからは,今まで覚えてきた知識を定着させる時期です。


あいまいな知識がたくさんあるよりも,数は少なくても確実な知識があったほうが確実に得点力は上がります。

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