2017年12月7日木曜日

国試に合格する勉強法~「障害者に対する支援」攻略①~歴史編!!

法制度を中心とした科目の中でも,社会保障,低所得者,高齢者,児童・家庭は,法制度の中に「発展過程」が含まれます。


どの科目の出題を見ても,年号を覚えて,その年号が決め手となる問題は,極めて少ないです。


年号を覚えるより,もっと有効な覚え方ポイント


「初めての〇〇」

「順番」

「いつ頃の時代の出来事」

「福祉拡充の時代」


これらを最低覚えておくことが大切です。

ここの押さえ方を間違うと,ピンボケしたものになります。



これをもとに障害者福祉の発展過程を整理してみましょう。

「初めての〇〇」シリーズ


戦後初の障害者施設は? 身体障害者授産施設 ※傷痍軍人のための施設。

障害者に関する初の法は? 身体障害者福祉法 ※傷痍軍人だけではない。

身体障害者福祉法で定められた施設は? 身体障害者更生援護施設(国に必置)。 ※更生はリハビリの意。

重度障害児(者)施設が出来始めたのはいつ頃? 1960年代 ※当初は軽度障害者を対象にしていたものが広がった。


「順番」シリーズ


 精神衛生法 ➡ 精神保健法 ➡ 精神保健福祉法

 軽度 ➡ 重度


福祉拡充の時代


 福祉関係八法改正 ➡ 在宅福祉サービスと施設福祉サービスの市町村への一元化(精神障害者は含まず)

 支援費制度の導入 ➡ 措置から契約へ(精神障害者は含まず)

 障害者自立支援法の制定 ➡ 精神・知的・身体の障害施策の一元化(精神障害者を含む)


福祉関係八法改正とは,住民に最も身近な市町村が,在宅福祉サービスと施設福祉サービスを一元的に提供する体制を整えるものでした。そのため,老人福祉法と身体障害者福祉法に規定される入所施設の入所措置の権限を都道府県から市町村に移譲したのです。


※精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)が出来た背景

それまで知的障害児は児童福祉施設に入所していましたが,「親がいなくなっても安心できる施設を」と望む声によって,精神薄弱者福祉法が成立し,同法によって精神薄弱者援護施設が制度化されています。

精神薄弱者援護施設はその後精神薄弱者更生施設と精神薄弱者授産施設になりました。障害者自立支援法によって,障害者施設は,一元化されて施設入所支援の障害者支援施設になっています。



さて,これをもとに今日の問題です。


27回・問題56

障害児者福祉制度の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 精神薄弱者福祉法(1960(昭和35))において,ノーマライゼーションの促進が目的規定に明記された。

2 重度精神薄弱児扶養手当法(1964(昭和39))の制定当初から,重度身体障害児も支給対象とされていた。

3 国際障害者年(1981(昭和56))を契機として,重症心身障害児施設が制度化された。

4 障害者自立支援法(2005(平成17))により,身体障害者福祉法は廃止された。

5 「障害者差別解消法」(2013(平成25))では,「障害者」について,障害者基本法と同様の定義がなされた。


発展過程を押さえる上で良い問題だと思います。


内容が分からなくても,流れを追うことで何とかなります。


1 精神薄弱者福祉法(1960(昭和35))において,ノーマライゼーションの促進が目的規定に明記された。


「親がいなくなっても安心できる施設を」と望む声によって,精神薄弱者福祉法が成立した,ということを考えるとノーマライゼーションの促進はないだろうと想像がつきます。もちろん間違いです。


ノーマライゼーションはデンマーク1959年法で規定されたのが「初めて」です。

その翌年に日本の法律に規定されることは考えにくいです。


2 重度精神薄弱児扶養手当法(1964(昭和39))の制定当初から,重度身体障害児も支給対象とされていた。


重度精神薄弱児扶養手当と言っているのに「重度身体障害児」も対象になっていたとは思えません。

対象になったのは,特別児童扶養手当法に改正された時です。

よって間違いです。


それよりもここで注目なのは・・・


「制定当初から・・・支給対象とされていた」

この文章から

「制定当初は・・・支給対象とされていなかった」


を正しい文として作成してから否定形に変えて間違い選択肢が作られた,ということが想像つきます。


「人は嘘をつく時,饒舌になる」リターンズ!!



3 国際障害者年(1981(昭和56))を契機として,重症心身障害児施設が制度化された。


重度障害児(者)施設が出来始めたのはいつ頃? 1960年代 

国際障害者年よりもずっと前の話です。よって間違いです。


4 障害者自立支援法(2005(平成17))により,身体障害者福祉法は廃止された。


廃止されていません。

よって間違いです。


5 「障害者差別解消法」(2013(平成25))では,「障害者」について,障害者基本法と同様の定義がなされた。


これが正解です。


結局,年号を覚えていてもちっとも役立たないことが分かることでしょう。


<今日の一言>


せっかくたくさんのことを覚えても,覚えるポイントを間違えると何の役にも立ちません。

重要なのは,年号や人名ではありません。


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