このブログを読んでいる皆さんは,今,この時点でどんな勉強をしているのでしょうか?
今までどれだけ勉強してきたかによって,勉強法は変わります。
ただし,これだけは言えます。
過去3年間の過去問の知識だけでは合格できない!!
もし,3年間の過去問だけの知識で合格できるのであれば,もっと多くの人が合格できているはずです。
試験センターから発表されている出題基準に照らし合わせると,3年間の過去問では,その全部を埋めることができません。
ものすごくスカスカです。
そのスカスカのものを勉強して合格したのなら,その人は,過去問以外の知識を実生活の中で持っていたことに他なりません。
これは,すべての人が等しく持っているものではないです。
しかし,すべての科目が3年間の過去問が役立たないか,と言えば決してそんなことはありません。
過去3年間の過去問の内容が生きる科目はこれだ!!
社会保障(数値の部分)
低所得者
更生保護
これらの過去問は使えます。
特に低所得者と更生保護は,出題基準に含まれる法制度はとても少ないので,出題されるポイントも少ないためです。
さて,それでは,今日の問題です。
前回から,引き続いての内容なので,前情報なしでいきます。
第29回・問題50
「平成25年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会保障給付費の対国内総生産比は20%を超えている。
2 政策分野別社会支出の構成割合が最も高いのは,「家族」に対する支出である。
3 政策分野別社会支出のうち,「住宅」支出の構成割合は10%を超えている。
4 部門別社会保障給付費の対国内総生産比をみると,「医療」が最も高い。
5 社会保障財源をみると,公費負担の割合が最も高い。
前回の問題と区別がつかないくらいにそっくりな出題です。
それでは,解説していきましょう!
1 社会保障給付費の対国内総生産比は20%を超えている。
対国内総生産比 ➡ 約20% (約100兆円/約500兆円)
対国民所得比 ➡ 約30% (約100兆円/約400兆円)
対国民所得比の方が大きい数値になっている理由は,分母である国民所得が小さいからです。
これが正解です。
2 政策分野別社会支出の構成割合が最も高いのは,「家族」に対する支出である。
さて,次は「社会支出」からの出題です。
社会保障給付費(ILO基準)と社会支出(OECD基準)を比べると社会支出の方が若干多いです。
社会保障給付費 ➡ 約110兆円
社会支出 ➡ 約115兆円
なぜ社会支出の方が大きい値になるかと言えば,社会保障給付費は個人に給付される金額であるのに対し,社会支出はそれに加えて,施設整備などを加えたものだからです。
前回から再掲
近年の国試では,ILO基準の「社会保障給付費」とOECD基準の「社会支出」の2つが出題されます。
それらは,勘定項目が違うので,数値が若干違います。しかし,若干であり,大枠で見るとどちらもほとんど変わりません。
共通なのは,どちらも
「高齢」「医療」に関連するものに80%以上使っている
ここをしっかり押さえましょう。
そうすると,高齢・医療に関連する項目の他には,遺族,家族,失業などたくさんありますが,それぞれの数値を覚える必要は一切必要なくなります。
<覚える必要がない理由>
10%を超える項目はないだろうと推測できるため。
それでは,問題に戻ります。
最も大きいのは「高齢」です。よって間違いです。
3 政策分野別社会支出のうち,「住宅」支出の構成割合は10%を超えている。
高齢者・医療で8割を超えています。
その他の項目で10%を超えるものはありません。
よって間違いです。
4 部門別社会保障給付費の対国内総生産比をみると,「医療」が最も高い。
ここで,部門別社会保障給付費の割合
年金:医療:福祉その他=5:3:2
これを知っていても,対国内総生産比は知らないと思ってはだめです。
数学的に考えると
5:3:2(年金:医療:福祉その他)
──────────────── ───────────
国内総生産(約500兆円)
となります。
分子のそれぞれの割合は,何ら変わるものではありません。
最も高いのは,年金ということになります。
よって間違いです。
対国民所得比も同じです。
5:3:2(年金:医療:福祉その他)
──────────────── ────────────
国民所得(約400兆円)
5 社会保障財源をみると,公費負担の割合が最も高い。
公費が多いのか
社会保険料が多いのか
今まで何度出題されてきたのか,数える気にもならないほどの超頻出の定番問題です。
前回は「社会保障財源の構成としては,社会保険料が最も多い」ということで正解でした。
今日の問題は出題をひっくり返して
「社会保障財源をみると,公費負担の割合が最も高い」と出題されています。
もちろん間違いです。
1962年勧告による社会保障施策
社会保障を「貧困階層に対する施策」「低所得階層に対する施策」「一般所得階層に対する施策」に区分。
貧困階層に対する施策 ➡ 生活保護制度(税負担)
低所得階層に対する施策 ➡ 社会福祉制度(税負担)
一般所得階層に対する施策 ⇒ 社会保険制度(社会保険料+税負担)
日本の社会保障の中心は,社会保険です。対象となる一般所得階層は大多数です。
この点で,社会保険料を公費負担が上回るような社会保障制度にはならないのです。
<今日のポイント>
社会保障財源は
社会保険料 > 公費負担
理由は,日本の社会保障制度は,社会保険が中心だからです。