各社の模試の開催が続いています。
自宅受験をされた人もいることでしょう。
自宅受験をされた人もいることでしょう。
覚えたつもりで,あいまいになっているものに気づくことができるのは,模試受験のメリットの一つです。
これから国試までの約2か月は,不安材料を一つひとつ解消していく期間だといっても良いでしょう。
さて,「あいまい」になりやすいものには,数値があります。
「社会保障」の科目は苦手だと思っている人が多いようですが,絶対に押さえておきたいポイントは存在します。
その中の一つは「社会保障給付費」(あるいは「社会支出」)です。
その中の一つは「社会保障給付費」(あるいは「社会支出」)です。
現行カリキュラムになってから出題されなかったのは,第24回のみです。
社会保障給付費の出題確率は・・・
実に87.5%です。
この科目の中では,絶対に外せないものの筆頭でしょう。
社会保障給付費の出題確率は・・・
実に87.5%です。
この科目の中では,絶対に外せないものの筆頭でしょう。
社会保障給付費
約110兆円。 ※面倒なので100兆円と覚える。国家予算額より大きい。対国内総生産比 ➡ 約20%
対国民所得比 ➡ 約30%
参考書には,最新の細かい数値が書かれていると思います。
しかし,国試では・・・
細かい数値は出題されません。
それにもかかわらず細かい数値を記載しているのは,参考書を発行している出版社の陰謀です。丁寧につくられている参考書なら,最新のものではなくても十分使えます。
最新のデータを掲載して,年度版のものを発行しないと,学生は後輩に譲ってしまうので,本が売れなくなってしまうのです。
ここに気がつかないと,数値のマジックに陥れられますので,要注意です。
つまり・・・
数値はざっくり覚えることが大切!!
その時に,なぜその数値になっているのか,を合わせて覚えておくと絶対に忘れません。
さて,ここで紛らわしい数値があります。
対国内総生産比と対国民所得比の2つです。
分母となるそれぞれの数値を調べてみます。
国内総生産 ➡ 約500兆円
国民所得 ➡ 約400兆円
国民所得の方が小さいです。
分子が同じわけですから,分母が小さい対国民所得比の方が,大きい数字となり,約30%となります。
さて次です。
分子が同じわけですから,分母が小さい対国民所得比の方が,大きい数字となり,約30%となります。
さて次です。
社会保障給付費の部門別構成比
年金 ➡ 約50%
医療 ➡ 約30%
福祉その他 ➡ 約20%
これらの割合は
年金:医療:福祉その他=5:3:2
年金:医療:福祉その他=5:3:2
となっています。超々頻出です。
これは,「21世紀福祉ビジョン」(1994)の提言に沿ったものなのです。
さて次です。
さて次です。
ILO基準の「社会保障給付費」
OECD基準の「社会支出」
の2つが出題されます。
それらは,勘定項目が違うので,数値が若干違います。
しかし,若干であり,大枠で見るとどちらもほとんど変わりません。
しかし,若干であり,大枠で見るとどちらもほとんど変わりません。
共通なのは,どちらも
「高齢」「医療」に関連するものに80%以上使っている
ここをしっかり押さえましょう。
そうすると,高齢・医療に関連する項目の他には,遺族,家族,失業などたくさんありますが,それぞれの数値を覚える必要は一切必要なくなります。
<覚える必要がない理由>
10%を超える項目はないだろうと推測できるため。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題51
「平成24年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
「平成24年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会保障給付費が国内総生産に占める割合は,40%を超えている。
2 部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)の社会保障給付費の構成比では,「医療」が約50%を占めている。
3 機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)の社会保障給付費の構成比では,「失業」が20%を超えている。
4 年金給付費の中では,国民年金の給付の方が厚生年金保険の給付を上回っている。
5 社会保障財源の構成としては,社会保険料が最も多い。
勉強した人なら,秒殺で答えられる問題かもしれません。
しかし,ここには,他に覚えておきたいポイントがいくつも存在しています。それを確認していきましょう。
1 社会保障給付費が国内総生産に占める割合は,40%を超えている。
対国内総生産比 ➡ 約20% (約100兆円/約500兆円)
対国民所得比 ➡ 約30% (約100兆円/約400兆円)
対国民所得比の方が大きい数値になっている理由は,分母である国民所得が小さいからです。
社会保障給付費は,現在では110兆円を超えていますが,100兆円だと覚えておくと何かと便利です。
問題に戻ると40%は超えていないので間違いです。
2 部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)の社会保障給付費の構成比では,「医療」が約50%を占めている。
1980代までは医療が一番多かった時代が続きましたが,現在では,年金が一番多くて,約50%を占めています。
よって間違いです。
年金:医療:福祉その他=5:3:2
社会保障給付費を100兆円と覚えておくと,割合ではなく,実際の金額を聞かれた時,とても便利です。
年金 ➡ 50兆円をちょっと超えた数値
医療 ➡ 30兆円をちょっと超えた数値 ※国民医療費は40兆円を超えています。
福祉その他 ➡ 20兆円をちょっと超えた数値
だと計算できます。
因みに福祉その他には,生活保護費が含まれます。
生活保護費は約3兆円です。そのうち半分は医療扶助が占めています。つまり1兆5千億円が医療扶助です。
生活扶助基準を引き下げましたが,そんなのは,社会保障給付費のほんのわずかです。
それよりも薬価を引き下げる,無駄な処方を少なくする,といった方が確実に社会保障給付費の増大を抑制することができます。
それよりも薬価を引き下げる,無駄な処方を少なくする,といった方が確実に社会保障給付費の増大を抑制することができます。
3 機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)の社会保障給付費の構成比では,「失業」が20%を超えている。
「高齢」「保健医療」の2つの項目で80%を超えます。失業が20%を超えることはあり得ません。よって間違いです。
失業は1.5%です。日本の社会保障給付費の特徴は,失業対策にあまりお金をかけていないことです。合わせて覚えておきましょう!!
4 年金給付費の中では,国民年金の給付の方が厚生年金保険の給付を上回っている。
国民年金の被保険者 ➡ 農林水産業者,自営業者,無職の者など。約2,000万人
厚生年金の被保険者 ➡ 被用者,公務員など。約4,000万人。
数値を知らずとも,厚生年金の被保険者の方が多そうだ,と思えるでしょう。もちろん厚生年金の給付の方が多いです。よって間違いです。
5 社会保障財源の構成としては,社会保険料が最も多い。
これが正解です。
先日,紹介したように,日本の社会保障の中心は,社会保険です。
なぜなら社会保険は,一般所得階層に対する施策であり,対象者が最も多いからです。
<今日のまとめ>
社会保障制度は,資本主義を取っている国には絶対に必要なものです。
夜警国家と呼ばれる古典的自由主義だと,さまざまな弊害が出て来ます。
国民生活を守るものが社会保障制度です。
生活が安定することは,国民生活にとって,極めて重要なことです。
国民生活を守るものが社会保障制度です。
生活が安定することは,国民生活にとって,極めて重要なことです。
「社会保障」はソーシャルワーカーにとって,苦手であってはいけない科目の一つだと考えています。
なぜなら,細かい福祉制度(ミクロ的)は知るのと同時に,社会保障制度全体(マクロ的)を視野に入ておくことで,クライエントの権利擁護につながるからです。
もし,生活保護受給者と比べて最低賃金の方が低いという逆転現象があったのなら,生活扶助基準を引き下げるのではなく,最低賃金をもっと引き上げることが国民全体の福祉向上につながったことでしょう。