国家試験の受験生データは公表されていません。
公表されているのは,合格者のデータだけです。
<合格者のデータ(第29回国試の場合>
年齢区分
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人数
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割合
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30歳未満
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5,607人
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47.4%
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31~40歳
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2,393人
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20.2%
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41~50歳
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2,150人
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18.2%
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51~60歳
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1,309人
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11.1%
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61歳以上
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369人
|
3.1%
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合計
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11,828人
|
100.0%
|
この数字を見ると,61歳以上の人の合格はとても難しいように思います。
全体の受験者数は,45,849人だと分かっています。
しかし年齢区分ごとの受験者割合は発表されていません。
ここに隠れた意図があるように思います。
第29国試の合格率は,25.8%です。
社会福祉士の受験資格を取れるルートは,いくつかありますが,そのうちには,大学ルートと一般養成施設ルートがあります。
大学の合格率は,23.9%
一般養成施設の合格率は,32.3%
一般養成施設の多くは,通信課程です。
つまり,勉強時間に制約がある社会人の方が,記憶力に優れた大学生よりも合格率が高いのです。
30歳未満の受験者の多くは,大学ルートで取得した人だと考えられます。
もし,年齢区分別の受験者数を公表してしまうと,大学生はあまり合格できていないことが明らかになってしまう可能性があります。
これが公表していない理由のように思います。
しかし,このことによって大きな誤解を生じさせることにつながります。
61歳以上の人はほとんど合格できないのだと勘違いするということです。
もし61歳以上の合格率が3.1%だと仮定すると,61歳以上の受験者数は,11,903人となります。(301人÷3.1%)
全受験者数は,45,849人です。
これでは61歳以上の受験者数は,全受験者の4分の1にもなってしまいます。
絶対にありえない数字です。
全受験者数の5%が61歳以上だと仮定します。
そうすると受験者数は,2,292人。合格率は16.1%にもなります。
しかし,実際には61歳以上の受験者は5%もいないと考えられます。
3%だと仮定すると,受験者数は,1,357人となり,合格率は,26.8%にも跳ね上がります。
大学生の合格率よりも高い率となります。
通信教育のスクーリングや受験会場の様子などから考えると,全受験者の3~5%程度が61歳以上だと予測できそうです。
そうなると,
61歳以上の合格率は,16.1~26.8%の範囲
このように考えられます。
かなり高率です。
先に述べたように,「61歳以上の合格はものすごく難しい」といった間違ったイメージがあるので,真剣に勉強しないで国試に臨む人たちもいると考えられます。
それらを合わせて考えると,しっかり勉強して試験に臨んだとすると,5割程度の人は合格する,と考えて良いと思います。
これらから,60歳以上の人の合格率は,他の年代よりも決して低いと考えることはできません。
逆に,とても高いのではないかと推測することもできます。
40歳代,50歳代も同じことが言えます。
それぞれの割合は18.2%,11.1%ですが,受験者数は,30歳以下よりも少ないと考えられるので,かなり高い合格率になっていると考えられます。
国試は,マーク式なので,問題文の中に必ず答えがあります。
それは,記憶力に勝る大学生よりも高い合格率をたたき出す要因となっているはずです。
決して
記憶力が衰えている
と弱気にならないでください。
年齢を重ねてきたことで得られた経験や見聞きしてきたことは,必ず自分を助けてくれる武器になるはずです。
まず,歴史はリアルタイムで知っているという大きなメリットがあります。
言葉も若者よりもたくさん知っているはずです。
流動性知能は低下しますが,結晶性知能は,むしろ年齢を重ねた方が高まっていくからです。
覚えるのは,工夫次第です。
国試は,マーク式。
必ず,問題の中に答えがあります。
それを見つけ出す知恵は,必ず年齢を重ねた人の方が長けているはずです。
そういった意味で,問題を解きながら覚えるという勉強法は,人生経験豊富な社会人に向いていると言えます。
まず,歴史はリアルタイムで知っているという大きなメリットがあります。
言葉も若者よりもたくさん知っているはずです。
流動性知能は低下しますが,結晶性知能は,むしろ年齢を重ねた方が高まっていくからです。
覚えるのは,工夫次第です。
国試は,マーク式。
必ず,問題の中に答えがあります。
それを見つけ出す知恵は,必ず年齢を重ねた人の方が長けているはずです。
そういった意味で,問題を解きながら覚えるという勉強法は,人生経験豊富な社会人に向いていると言えます。
さて,今日の問題です。
第25回・問題150
保護観察所が連携する関係機関・施設に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 仮釈放の決定に関して検察庁。
2 一般遵守事項の決定に関して裁判所。
3 協力雇用主の確保に関して矯正施設。
4 就労支援対策に関して福祉事務所。
5 住居の確保が困難な者に関して自立準備ホーム。
とてつもなく,難しい問題だった第25回国試の最後を締めくくる問題です。
今改めて見てみると,新しい時代の幕開けを感じさせるように感じます。
というのは,各選択肢が文章ではないからです。
そのために問題文がとても短くなっています。
現在の国試は,このようなスタイルの問題はたくさん出題されるようになってきています。
妙な言い回しがないため,しっかり勉強してきた人は得点しやすくなりました。それが正しい国試の姿です。
この第25回は,しっかり勉強した人でも得点出来ず,そして不合格になりました。
本来は合格できた人のはずです。
社会人なら,合格が一年遅れるだけですが,大学生は不合格になることで就職がだめになってしまうことがあります。
そんなところから,ちゃんと勉強した人は,得点出来る問題は,正しい国試の姿だと考えるわけです。
さて,それでは詳しく見て行きましょう。
1 仮釈放の決定に関して検察庁。
仮釈放の許否を決定するのは,地方更生保護委員会です。よって間違いです。
2 一般遵守事項の決定に関して裁判所。
一般遵守事項は,保護観察に付されたすべての人に設定されるものです。
裁判所が関わらなくても設定されます。よって間違いです。
特別遵守事項は,保護観察所の長,又は地方更生保護委員会が決定します。
3 協力雇用主の確保に関して矯正施設。
協力雇用主とは,事情を知ったうえで雇用する雇用主です。
1960~70年では,町工場や車の整備工場で雇われて,雇用主は「おやじさん」と呼ばれているようなイメージがあります(事実は分かりません)が,現在は建築現場が最も多いそうです。
協力雇用主の確保は,ハローワークが行っています。
4 就労支援対策に関して福祉事務所。
生活保護を受給していれば福祉事務所も対象になるかもしれませんが,保護観察だけでは,福祉事務所は関連しません。
就労支援に関しては,ハローワークが関わっています。よって間違いです。
5 住居の確保が困難な者に関して自立準備ホーム。
自律準備ホームとは,更生保護施設不足を補うために,登録した法人の空きベッドなどを更生保護施設のように活用するものです。
これが正解です。
<今日の一言>
社会福祉士の国試は,年齢はハンデとはならない!
逆に年齢を重ねたことで得られた貴重な体験・知識は,国試攻略に役立つ!
合否を分けるのは,年齢や勉強時間では決してありません。
絶対に合格したいという強い意志です。
言い訳からは,プラスの力は生まれないことを心に銘記しておきましょう!!
年齢が高い人が合格が難しいというのは,間違った認識です。
60歳以上の合格率は,実は極めて高いのです。