2017年11月20日月曜日

国試に合格する勉強法~ICF(国際生活機能分類)用語の押さえ方

「あいまいな知識」から「確実な知識」へ


国試で,得点を伸ばすのは,知識を増やすことではなく,今ある知識を「確実な知識」にすることです。

問題を解いたり,参考書を何度も読んだり。

問題を解いた後に間違った問題を正文に書き出したり。

勉強には,一工夫が必要です。

これからしばらくは,確実な知識として定着させることにこだわって情報を提供していきたいと思います。

ぜひご期待ください。

さて,今日は「医学概論」です。

この科目の出題基準には,ICF(国際生活機能分類)があります。

当該科目では出題頻度の高いものです。絶対に押さえておきたいものです。

ICFとは>


世界保健機構(WHO)が定めたもので,それまでのICIDHは,障害というネガティブ(医学モデル)なものでした。ICFは生活機能に焦点を当てる生活モデルです。

ICFでは,障害を「機能障害」「活動制限」「参加制約」の3つの次元でとらえ,生活機能を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3つの次元でとらえていることに特徴があります。
生活機能と障害に影響を与える背景因子には「環境因子」と「個人因子」があります。

参考書等には,表が掲載されていると思いますので,今一度見ておきましょう。

ICFで使われる用語>


心身機能
 身体の生理的機能(心理的機能を含む)のこと。

身体構造
 身体の解剖学的部分のこと。

活動
 個人による課題や行為の遂行のこと。例:食べる,歩くなど。

参加
 生活・人生場面へのかかわりのこと。買い物に行く,ボランティアに参加するなど。

機能障害
 心身機能・身体構造上の問題のこと。例:片麻痺がある,など。

活動制限
 個人が活動を行うときに生じる難しさのこと。例:食べることが困難,歩くことが困難など

参加制約
 個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのこと。例:買い物に行くのが困難,ボランティアに参加するのが困難など。

さて,これをもとに問題を見てみましょう。

22回・問題4

国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 活動とは,生活・人生場面へのかかわりである。

2 参加とは,個人による課題や行為の遂行のことである。

3 活動制限とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことである。

4 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。

5 活動と参加は,単一のリストに属している。


ICFの用語を覚えるには,最適の問題です。

この問題は,第22回に出題されたものです。

22回国試は,現行カリキュラムの初回です。それから,国試はこのように出題しますよ,という方向性を示しています。

さて,それでは確認です。

1 活動とは,生活・人生場面へのかかわりである。


活動とは,食べる,歩くなどの個人による課題や行為の遂行のことです。

よって間違いです。

2 参加とは,個人による課題や行為の遂行のことである。


参加とは,買い物に行く,ボランティアに参加するなど,生活・人生場面へのかかわりのことです。

よって間違いです。

3 活動制限とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことである。


活動制限とは,食べることができない,歩くことができないなどの個人が活動を行うときに生じる難しさのことです。

よって間違いです。

4 参加制約とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのことである。


参加制約とは,買い物に行くことができない,ボランティアに参加できないなどの個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことです。

よって間違いです。

5 活動と参加は,単一のリストに属している。

これが正解です。

単一のリストに属しているかどうかは分からなくても,用語を押さえておけば消去法でこれが残ります。

もう一問いきましょう。


27回・問題2

国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 機能障害とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する離しさのことである。

2 参加とは,生活・人生場面へのかかわりのことである。

3 生活機能と障害の構成要素は,環境因子と個人因子である。

4 背景因子の構成要素は,心身機能と身体構造,活動と参加である。

5 ICFは,病気やその他の健康状態を病因論的な枠組みに立って分類したものである。
難しい選択肢が含まれます。


こんな時に「知識が足りなかった」と思うことと思います。

さて,それでは確認です。

1 機能障害とは,個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する離しさのことである。


個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する離しさは,買い物に行くことができない,ボランティアに参加できないなどの参加制約です。

よって間違いです。

2 参加とは,生活・人生場面へのかかわりのことである。

生活・人生場面へのかかわりは,買い物に行く,ボランティアに参加するなどの参加です。よって正解です。

3 生活機能と障害の構成要素は,環境因子と個人因子である。

環境因子と個人因子は背景因子の構成要素です。

よって間違いです。

4 背景因子の構成要素は,心身機能と身体構造,活動と参加である。

背景因子の構成要素は,環境因子と個人因子です。

よって間違いです。

心身機能と身体構造,活動と参加は,生活機能です。

5 ICFは,病気やその他の健康状態を病因論的な枠組みに立って分類したものである。

病因論的は,医学モデルです。ICFは生活モデルです。

よって間違いです。


結局は,ICFの用語のうち,「参加」を押さえておけば解けた問題です。

決して深掘りした知識は,求めていないことが分かることでしょう。


<今日のまとめ>


今日の問題が解けるか解けないかの違いは,ICFの用語を「あいまい」ではなく,正しく理解していたかいなかったか,です。


今,最も優先したいのは,「確実な知識」にすることです。

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