歴史や人名を苦手とする受験生は多いです。
人名は「一見さん」(一度しか出題されたことのもの)が大半です。
ウェーバーやリッチモンド,留岡幸助,石井十次などの超頻出のものを除けば,捨てても良いレベルです。
歴史は,歴史の試験ではないので,年号を覚える必要はありません。
大体の時代を押さえておくだけで十分です。
さて,今回は社会保障の歴史の整理します。
第二次世界大戦終戦前
1922 健康保険法(日本初の社会保険立法。対象はブルーカラー)
1938 国民健康保険法(対象は,農林漁業者など)
1944 厚生年金保険法(戦費調達のため)
第二次世界大戦終戦後
1947 労働保険(雇用保険法,労災保険法)
1961 国民年金法施行(皆年金制度)
2000 介護保険法
医療保険制度と年金保険制度の大枠は第二次世界大戦終戦前に出来上がっていることが分かります。
健康保険法が一番先である理由は,工場や炭鉱などで労働争議が続出し,それを納めるための立法だからです。
因みに今年は,ロシア革命(1917)から100年です。
100年の節目と言えば,内務省救護課設置(厚労省の前身),済世顧問制度(民生委員の源流の一つ)があります。
厚生年金保険法は終戦直前の成立です。
年金制度を作っても実際に給付するのはずっと先のこと。
昔は人生50年と言われた時代,給付はそんなに大きくはない。それで戦費調達のために作られました。
労働保険(雇用・労災)は,戦後の幕開けとなる労働者保護のためのものです。
さて,たったこれだけを覚えて,今日の問題です。
第29回・問題49
日本の社会保障の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 被用者を対象とした社会保険制度として,まず健康保険法が施行され,その後,厚生年金保険法が施行された。
2 最初に実施された公的医療保険制度は,国民健康保険である。
3 後期高齢者医療制度は,介護保険制度と同時に創設された。
4 国民皆年金は,基礎年金制度の導入によって実現した。
5 第二次世界大戦後,社会福祉の制度は,身体障害者福祉法,児童福祉法,生活保護法の順に施行された。
しっかり勉強した人なら,これが答えだとすぐ分かる珍しい問題です。
それでは,解説しましょう。
1 被用者を対象とした社会保険制度として,まず健康保険法が施行され,その後,厚生年金保険法が施行された。
これが答えです。
日本の社会保険制度は,医療保険が先に出来て,その後に年金保険制度が出来上がりました。
年号は問われていませんね。
年号は問われていませんね。
2 最初に実施された公的医療保険制度は,国民健康保険である。
日本初の社会保険立法は,健康保険法です。よって間違いです。
「〇〇初」は,出題されやすいものです。
世界初の社会保険は?
といった感じです。
「〇〇初」は,出題されやすいものです。
世界初の社会保険は?
といった感じです。
3 後期高齢者医療制度は,介護保険制度と同時に創設された。
こういう問題は,社会人は有利です。リアルタイムで知っているからです。
同時ではないです。よって間違いです。
4 国民皆年金は,基礎年金制度の導入によって実現した。
皆年金制度は,国民年金法施行で実現しています。よって間違いです。
5 第二次世界大戦後,社会福祉の制度は,身体障害者福祉法,児童福祉法,生活保護法の順に施行された。
法律は時代の要請によってできます。それぞれできた時代に思いを馳せてみるというのも良いのかもしれません。
想像力は,ワーカーにはとても重要な力となります。
昭和20年代
生活保護法(旧) ➡ 児童福祉法 ➡ 身体障害者福祉法
昭和30年代
精神薄弱者福祉法 ➡ 老人福祉法 ➡ 母子福祉法
福祉六法の成立順
昭和20年代
生活保護法(旧) ➡ 児童福祉法 ➡ 身体障害者福祉法
昭和30年代
精神薄弱者福祉法 ➡ 老人福祉法 ➡ 母子福祉法
よって間違いです。
生活保護についてのミニ知識
2011年に,保護実人員が200万人を超え,過去最多を更新したことが話題になりました。
しかし,保護率は過去最高ではありません。1950年代の方が高かったからです。
その理由は,1950年代と2010年代の人口を比べてみると,1950年代は8,000万人,2010年代は1億2,000万人というように,母数がまったく違うからです。
生活保護についてのミニ知識
2011年に,保護実人員が200万人を超え,過去最多を更新したことが話題になりました。
しかし,保護率は過去最高ではありません。1950年代の方が高かったからです。
その理由は,1950年代と2010年代の人口を比べてみると,1950年代は8,000万人,2010年代は1億2,000万人というように,母数がまったく違うからです。
<今日のまとめ>
社会福祉士の試験は,歴史の試験ではない!!
年号を覚えて役立つ問題はかなり少ないことを覚えておこう。
年号より,重要なのはその内容です。
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