2017年11月16日木曜日

解答テクニック~人は嘘をつく時は饒舌になる! 

人は嘘をつくとき 

あるいは 

嘘を隠そうとするとき

知らず知らず,余計なことをしゃべってしまうものです。

不思議なものですね。

特に嘘を何かでカバーして,隠そうとすればするほど,ますますその嘘が露わになってしまうこともあります。

国試問題も同じです。

問題文を作るのは難しいものですが,間違い選択肢を上手に作るのは,更に難しいものです。


先日もそんな問題を紹介しましたが,今回もそんな問題です。


注意深く,文章の構成を見てください。


25回・問題148

保護司に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 保護司に委嘱する条件として社会的信望,時間的余裕,活動力などが挙げられているが,生活の安定については,法律上特に定めは置かれていない。


2 保護司は,地域住民という立場から更生保護に貢献することが求められるので,市町村長の推薦によって都道府県知事がこれを委嘱する。


3 保護観察官で十分でないところを補い,保護観察所長等の指揮監督を受けて,保護観察所等の所掌事務に従事するものとされている。


4 保護観察所から保護観察事件を全面的に付託されて保護観察を実施しており,自らの権限で保護観察の終了や延長等法の執行場面での判断を行っている。


5 保護司は民間人であるので,その職務を行うに当たって知り得た関係者の身上に関する情報の取扱いについては,公務員としての法的責任は課されない。


今日の問題は,保護司に関する問題です。

問題自体はそんなに難しくないかもしれません。


嘘を隠そうとしている部分を見つけられましたか。


さて,それでは詳しく見て行きましょう。


1 保護司に委嘱する条件として社会的信望,時間的余裕,活動力などが挙げられているが,生活の安定については,法律上特に定めは置かれていない。



「〇〇は■■であるが,▲▲は■■ではない」という構成です。

もちろん間違いです。


この文章構成は,間違い選択肢を作る時の常とう手段です。

作問が楽なのでよく使われます。


「嘘をつく時は饒舌になる」を意識してみます。


シンプルな文章であれば,

保護司に委嘱する条件として,生活の安定については,法律上特に定めは置かれていない。

でよいはずです。

社会的信望,時間的余裕,活動力などが挙げられているが,

は蛇足です。


2 保護司は,地域住民という立場から更生保護に貢献することが求められるので,市町村長の推薦によって都道府県知事がこれを委嘱する。



委嘱するのは法務大臣です。

よって間違いです。

更生保護は,自治事務でも法定事務でもなく,国の責任で行うものです。


さて,「嘘をつく時は饒舌になる」を意識してみます。


シンプルな文章であれば,


保護司は,市町村長の推薦によって都道府県知事がこれを委嘱する。


でよいはずです。


地域住民という立場から更生保護に貢献することが求められるので,

は蛇足です。


3 保護観察官で十分でないところを補い,保護観察所長等の指揮監督を受けて,保護観察所等の所掌事務に従事するものとされている。



これが正解です。このまま覚えておきましょう。


4 保護観察所から保護観察事件を全面的に付託されて保護観察を実施しており,自らの権限で保護観察の終了や延長等法の執行場面での判断を行っている。



保護司の身分は,非常勤の国家公務員です。

しかし保護観察の終了などの判断は,常勤の国家公務員ある保護観察官でさえ行いません。よって間違いです。


さて,「嘘をつく時は饒舌になる」を意識してみます。


シンプルな文章であれば,


保護司は,自らの権限で保護観察の終了や延長等法の執行場面での判断を行っている。


でよいはずです。


保護観察所から保護観察事件を全面的に付託されて保護観察を実施しており,

は蛇足です。


5 保護司は民間人であるので,その職務を行うに当たって知り得た関係者の身上に関する情報の取扱いについては,公務員としての法的責任は課されない。



保護司の身分は,非常勤の国家公務員です。

もちろん守秘義務など法的責任はあります。よって間違いです。

さて,「嘘をつく時は饒舌になる」を意識してみます。

シンプルな文章であれば,

保護司は,その職務を行うに当たって知り得た関係者の身上に関する情報の取扱いについては,公務員としての法的責任は課されない。

でよいです。

民間人であるので,

は蛇足です。


<今日の一言>

間違いの選択肢をつくるのは難しい。そのため不自然な文章になることがある。


これからは,過去問を解いて解いて解きまくることでしょう。

その時,ちょっとこの辺りのことを意識してみましょう。

試験委員の苦労が見えてくるはずです。

受験者が正解っぽく思うように,余計な形容詞をつけて装飾していることがあります。

そこに気がつくことが出来たなら,引っ掛けをうまく回避することができます。



国試問題のロジックを理解することなく,たくさんのトラップが仕掛けられている国試問題にガチンコ勝負すると,極めて危険です。

実際の受験では,こんなところに合否の差が生じています。

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