2017年11月25日土曜日

知らないのは勉強不足ではない! リターンズ!!

まずは,訂正から11/23にアップした中に間違いがあります。

誤 地域包括支援センターは市町村に必置。

正 地域包括支援センターは市町村に任意設置。委託可。


ずっと今まで必置だと思っていました。介護保険法では任意設置だと規定されています。ごめんなさい。

でもこれで覚えるのは,とてもシンプルになりました。

地域包括支援センター及び基幹相談支援センターともに任意設置
母子保健法に規定される母子健康包括支援センターも努力義務

これらのものについては,義務ではないことになります。


それでは,本題です。



ちゃんと勉強すれば,ちゃんと得点できる!!


この時期は,模試の実施が続いています。

どんな模試でもかまいませんので,必ず1回以上は受験して,国試に臨んでくださいね。

模試を受験することはとても重要です。

模試でも経験しますが,国試では,どんなに勉強しても知らないものがあります。

そんな時・・・

「勉強不足だ!」と強く感じる瞬間でしょう。

勉強が少なかった人なら本当に勉強不足なのかもしれません。

しかし,参考書を何回か読んだ人が「知らない」と思うものは,勉強不足ではありません。

多くの場合は,それは間違い選択肢をつくるためにでたらめなものをもっともらしく出題しているだけです。つまりそこには,正解はないことが多いことになります。


今日の問題に入る前に,国試の文字数を考えてみたいと思います。
過去問の文字数を調べてみると以下のようになります。( )内は合格基準点です。

15回から正解と合格基準点が発表されるようになりました。



国試問題の文字数と合格基準点の関連性

<旧カリキュラム> ※正しいもの,間違っているものを選ぶ問題の混合型,〇✖の組み合わせ問題の時代。
15回 38,000字(91点) 不適切問題4
16回 40,000字(85点) 不適切問題3
17回 46,000字(83点) 不適切問題1
18回 36,000字(80点) 不適切問題1
19回 39,000字(81点)
20回 39,000字(87点) 不適切問題3
21回 36,000字(85点)


<現行カリキュラム> ※正しいものを選ぶ問題に統一された時代。
22回 52,000字(84点) 不適切問題2
23回 56,000字(81点)
24回 58,000字(81点)
25回 57,000字(72点) ※2つ選ぶものが出題されるようになった。
26回 50,000字(84点)
27回 47,000字(88点)
28回 41,000字(88点) 不適切問題1
29回 40,000字(86点)


最も文字数が多かった第24回から比べると,第29回は,実に18,000字も少なくなっています。

文字数の長短の影響とは?

文字数が長いと,引っ掛けポイントをたくさんつくることが出来ます。

短いと引っ掛けポイントは,1か所程度です。


ここで何が起きるかというと,しっかり勉強した人は点数が取りやすい国試になってきた,ということです。

120点を上回るようなこともかなりいます。

しかし,勉強不足の人は,長くても短くても答えられないことは一緒です。

つまり差が大きくなっているということです。

頑張って勉強すれば必ず報われる試験になってきたと言えます。

因みに・・・

正しいものを選ぶ問題と間違っているものを選ぶ問題では,正しいものを選ぶ問題の方が格段に難しいです。

さて,それでは今日の問題です。


24回・問題46


福祉に関する計画と財政との関係に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。


1 児童福祉法において,市町村保育計画に定める保育サービス供給体制確保の見込み量等に基づいて算定した保育費用の予想額等に照らし,市町村は保護者から徴収する保育料の水準を定めることとされている。


2 次世代育成支援対策推進法において,一般事業主行動計画に定めた女性の雇用目標を達成しなかった一般事業主は,到達水準等に照らして算定された納付金を賦課されることとされている。


3 介護保険法において,市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込み量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額等に照らし,市町村は第1号被保険者に対する介護保険料率を算定することとされている。


4 障害者基本法において,障害者基本計画に定める公共的施設のバリアフリー化の整備目標量等に基づいて算定した整備費用の予想額等に照らし,公共交通事業者はバリアフリー化費用の一部を利用者から徴収することができることとされている。


5 社会福祉法において,市町村地域福祉計画に定める地域における社会福祉事業の供給体制確保の見込み量等に基づいて算定した各種事業費用の予想額等に照らし,市町村は市町村民税について超過課税を行うことができることとされている。


24回国試は,国試問題の文字数が最も多かった回です。

先述のように,第29回と比べる約18,000字も多いのです。
それでいて,試験時間は今と変わらないわけですから,その当時の国試の過酷さは相当なものだったと想像がつくでしょう。

そのために,合格基準点が今よりも低い水準にとどまっています。

文字数が現在のものが維持される限り,合格基準点が80点前半になることは考えにくいです。

そのため,やっぱり90点くらいは得点したいとところです。

それでは,詳しくみていきましょう。

  

1 児童福祉法において,市町村保育計画に定める保育サービス供給体制確保の見込み量等に基づいて算定した保育費用の予想額等に照らし,市町村は保護者から徴収する保育料の水準を定めることとされている。



これを見たら,こんなものは知らない,と思って混乱したことでしょう。

介護保険になぞらえて出題していますが,もちろんこんな規定はありません。よって間違いです。


2 次世代育成支援対策推進法において,一般事業主行動計画に定めた女性の雇用目標を達成しなかった一般事業主は,到達水準等に照らして算定された納付金を賦課されることとされている。



これも「知らない」「分からない」「どうしよう?」と思ってしまうような出題です。

これは,法定雇用率になぞらえて出題していますが,もちろんこんな規定はありません。よって間違いです。




3 介護保険法において,市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込み量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額等に照らし,市町村は第1号被保険者に対する介護保険料率を算定することとされている。



これが正しいです。

行政計画の基本


策定期間の定めがないか,あるいは定めがある場合は5年です。3年というのはそんなにありません。


介護保険事業計画は3年を1期としています。これも最初から3年だったわけではなく,第1期と第2期は「5年を1期として3年ごとに定める」という変わったものでした。



3年でなければならない理由


介護給付等対象サービスの見込み量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額等に照らし,市町村は第1号被保険者に対する介護保険料率を算定するため。

策定期間が3年なのは,他には障害福祉計画があります。

5年でもなく,3年でもないものは,来年から医療計画が5年から6年になります。


4 障害者基本法において,障害者基本計画に定める公共的施設のバリアフリー化の整備目標量等に基づいて算定した整備費用の予想額等に照らし,公共交通事業者はバリアフリー化費用の一部を利用者から徴収することができることとされている。


これも「知らない」「分からない」「どうしよう?」と思ってしまうような出題です。

これは,法定雇用率になぞらえて出題していますが,もちろんこんな規定はありません。よって間違いです。



5 社会福祉法において,市町村地域福祉計画に定める地域における社会福祉事業の供給体制確保の見込み量等に基づいて算定した各種事業費用の予想額等に照らし,市町村は市町村民税について超過課税を行うことができることとされている。


これも「知らない」「分からない」「どうしよう?」と思ってしまうような出題です。

もちろんこんな規定はありません。よって間違いです。


<今日の一言>


今日の問題は,でたらめ選択肢の典型例です。実に上手に作問されていると思います。

勉強した人でも正解である選択肢3以外は見たことも聞いたこともないはずです。
だってあるはずがないですよ。それ以外はでたらめなのですから。


ちゃんと参考書繰り返して勉強してきた人が,知らないと思う法制度は間違い選択肢である確率が高いです。


こんな問題が出た時には,見たことがある選択肢がどこかにあるかどうかを探してみましょう。


焦るとすべての選択肢が正しく見えて来ます。
それこそ,試験委員の仕掛けたトラップに入り込みます。


「知らないものは間違い選択だからだ」と思えると意外と得点は伸びます。

トラップに入り込まないためには,重要なことです。
こんなところが合否を分ける要因の一つになります。

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