行政処分に不満がある場合,国民は不服を申し立てる権利を有しています。
平成28年に制度改正があったので,そろそろ出題されそうです。
従来は
「異議申立」「審査請求」「再審査請求」
現在は「審査請求」,「再調査の請求」(例外規定),「再審査請求」
となっています。
「異議申立」「審査請求」「再審査請求」
現在は「審査請求」,「再調査の請求」(例外規定),「再審査請求」
となっています。
この改正では,不服申立て期間は,処分があったことを知った日から60日だったものが,3か月に延長されています。
審査請求先
要介護認定に不服がある時
➡ 介護保険審査会(都道府県に設置)
障害支援区分認定に不服がある時
➡ 都道府県知事
※障害者介護給付等不服審査会の設置は任意なので,設置していた場合は,都道府県知事が障害者介護給付等不服審査会に審査を行うことができる。
※障害者介護給付等不服審査会の設置は任意なので,設置していた場合は,都道府県知事が障害者介護給付等不服審査会に審査を行うことができる。
生活保護の決定に不服がある時
➡ 都道府県知事
国民健康保険の保険料に不服がある時
➡ 国民健康保険審査会(都道府県に設置)
保育所利用の処分に不服がある時
➡ 市町村長
※介護保険サービス内容に不服がある時 ➡ 国民健康保険団体連合会(国保連)
要介護認定と障害区分認定は,とても似た制度です。
しかし介護保険審査会は都道府県に必置,障害者介護給付等不服審査会は都道府県に任意設置なので,審査請求先が異なることに注意して覚えましょう。
介護保険 ➡ 都道府県に設置される介護保険審査会
障害福祉サービス ➡ 都道府県(障害者介護給付等不服審査会ではない!)
介護保険サービスは,行政処分ではありません。
その内容に不服がある場合は,市町村や都道府県ではなく,国保連となります。
さて,それでは今日の問題を見てみましょう。
第28回・問題43
不服申立て制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民健康保険の保険料に不服があるときは,国民健康保険団体連合会に審査請求することができる。
2 介護保険の要介護認定に不服があるときは,介護保険審査会に審査請求することができる。
3 生活保護の決定に不服があるときは,市町村長に審査請求することができる。
4 「障害者総合支援法」の介護給付費等の支給に不服があるときは,運営適正化委員会に審査請求することができる。
5 介護保険サービスの内容に不服があるときは,給付費等審査委員会に審査請求することができる。
介護給付費等審査委員会という聞き慣れない名前が出てきていますが,落ち着いて問題を読めば何とかなります。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 国民健康保険の保険料に不服があるときは,国民健康保険団体連合会に審査請求することができる。
国民健康保険の保険料に不服がある時
➡ 国民健康保険審査会(都道府県に設置)
よって間違いです。
2 介護保険の要介護認定に不服があるときは,介護保険審査会に審査請求することができる。
要介護認定に不服がある時
➡ 介護保険審査会(都道府県に設置)
よって正解です。
3 生活保護の決定に不服があるときは,市町村長に審査請求することができる。
生活保護の決定に不服がある時
➡ 都道府県知事
よって間違いです。
4 「障害者総合支援法」の介護給付費等の支給に不服があるときは,運営適正化委員会に審査請求することができる。
障害支援区分認定に不服がある時
➡ 都道府県知事
よって間違いです。
運営適正化委員会は,福祉サービスの苦情に対する解決と日常生活自立支援事業の適正な運用を図るために都道府県社会福祉協議会に設置されます。
5 介護保険サービスの内容に不服があるときは,給付費等審査委員会に審査請求することができる。
介護保険サービス内容に不服がある時
➡ 国民健康保険団体連合会(国保連)
よって間違いです。
介護給付費等審査委員会は,国保連に設置され,市町村の委託で,介護給付費請求書,介護予防・日常生活支援総合事業費請求書の審査を行っている機関です。
<今日の一言>
右脳に叩き込もう!!
社会福祉士の科目は,制度別の縦割りになっているので,それぞれに学ぶと理解しにくいですが,このように並べてみると違いや共通点が見えてくることでしょう。
そして,ばらばらに覚えるよりも効率的で,しかも忘れにくいものとなり,頭に残ります。
ぜひ,自分で書いてみて,トイレなどに貼っておきましょう。
右脳はとても賢いです。右脳に覚えさせておくと,間違った問題を見た時,「何か変だな?」と感じます。そうすれば,その選択肢は消去することができます。
右脳はひらめきを与えてくれます。しかし迷うとそのひらめきは,あっという間に消え去ります。右脳が感じたものを信じられる人が国試で合格をつかむことができます。
悲しいですが,それを信じられない人は,得点を伸ばすことができずに終わります。