社会福祉士の国家資格を得るルートはいくつもあります。
そのうち,標準なのは一般養成施設です。
福祉系大学は,一般養成施設で定められている科目を読み替えてもらって,受験資格を得ることができるようになっています。
ところで,福祉系大学ルートと一般養成施設ルートを比較するとどちらの合格率が高いと思いますか?
第29~33回国試の合格率の比較
回 |
福祉系大学 |
一般養成施設 |
33 |
28.7% |
33.6% |
32 |
29.1% |
33.0% |
31 |
29.4% |
34.0% |
30 |
29.2% |
35.0% |
29 |
23.9% |
32.3% |
平均 |
28.1% |
33.6% |
各年度でも5年間の平均でも,すべてにおいて大学が下回っています。
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意外だと思う人がいるかもしれません。
第33回を詳しく見てみたいと思います。
受験ルート |
合格率 |
(現役) |
(既卒) |
福祉系大学 |
29.1% |
50.7% |
12.9% |
福祉系短大+実務経験 |
13.4% |
||
短期養成施設 |
23.1% |
35.9% |
15.7% |
一般養成施設 |
33.6% |
56.2% |
17.0% |
「福祉系大学+実務経験ルート」が現役も既卒もないのは,既卒しかないためです。卒業してすぐには受験資格を得ることができません。
さて,福祉系大学と一般養成施設を比較すると,現役合格率も既卒合格率も一般養成施設が上回っています。
意外だと思う人もいるでしょう。
世の中には,一般的な認識と事実が異なることが多々あります。
なぜこのようなことを書いているかと言えば,大学生だからと言って決して簡単には合格できないこと,一般養成施設は最も合格率の高いルートであることを知ってもらいたいからです。
受験資格を得るルートにかかわらず,合格できる人は合格し,合格できない人は不合格になります。
国家試験を実施している「社会福祉振興・試験センター」では,合格者の年代別の比率は発表していますが,肝心の受験者の年代別の比率は発表していません。
そのため,年代別の合格率はわかりません。50歳代・60歳代の合格率は数パーセントなんていう人がいますが,それは誰もわかりません。
チームfukufuk21は,大学生が多く含まれる20歳代の合格率よりもその他の年代の合格率が高いのではないかと推測しています。
大学には私学には私学助成金,国公立は運営費の形で税金が投入されています。
それに対して,一般養成施設には税金は投入されていません。
社会福祉士の養成という視点だけでみた場合,税金もかけず効果を上げているのは一般養成施設である,ということが明らかになったら,大学のメンツ丸つぶれということにもかりかねません。下手をすると国民の批判を受けることにもなり得ます。
それでは,今日の問題です。
第28回・問題145 障害者就業・生活支援センターに関する次の記述のうち正しいものを1つ選びなさい。
1 公共職業安定所(ハローワーク)に代わり,職業紹介業務を行っている。
2 就業支援を担当する者と生活支援を担当する者が配置されている。
3 「障害者総合支援法」に基づき設置されている。
4 2015年(平成27年)5月現在,全国で21か所設置されている。
5 在職中の障害者は,支援対象とならない。
(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
障害者の就労支援に関する法制度は,「障害者総合支援法」と「障害者雇用促進法」に基づくものがあります。
障害者就業・生活支援センターは,障害者雇用促進法に基づくものです。
社会人が大学生よりも強いものは,自分の分野の法制度は知っていること,歴史を体験していることなどがあります。
障害者雇用促進法に基づくものには,法定雇用率,障害者職業センター,そして障害者就業・生活支援センターがあります。
障害者就業・生活支援センターは,その名称のとおり,就業面と生活面での支援を行います。
正解は,選択肢2です。
2 就業支援を担当する者と生活支援を担当する者が配置されている。
就業面と生活面での支援は,それぞれを担当する職員が配置されます。
一般養成施設で学ぶ社会人が強いのは,自分の働く分野があることです。
そこからいろいろ推測することができます。大学生はそのベースがありません。
1 公共職業安定所(ハローワーク)に代わり,職業紹介業務を行っている。
前回も述べましたが,制度は重ならないように作られます。
職業紹介は,ハローワークの業務です。
3 「障害者総合支援法」に基づき設置されている。
根拠法は,障害者雇用促進法です。
4 2015年(平成27年)5月現在,全国で21か所設置されている。
この時からかなり経ちましたが,この時点でさえ,300か所ほどありました。
21か所というのは,あまりに半端です。こういった知恵を働かせることができるのも社会人の強みです。
5 在職中の障害者は,支援対象とならない。
もちろん在職中の障害者も対象です。
最後にまとめとして,障害者就業・生活支援センターの業務です。
支援対象障害者からの相談に応じて必要な指導及び助言を行う。 公共職業安定所,地域障害者職業センター,社会福祉施設,医療施設,特別支援学校その他の関係機関との連絡調整その他を行う。 支援対象障害者に対して,障害者職業総合センター,地域障害者職業センターその他により行われる職業準備訓練のあっせんを行う。 支援対象障害者が職業生活の自立を図るために必要な業務を行う。 |
一般養成施設の方には,年齢や仕事などを言い訳の材料にしてはいけないと言いたいです。