社会福祉士の国家試験は,近年では2月第一週の日曜日に実施されています。
初めて受験する人は,その日にどんな知識を持って試験に臨んだら良いのか,具体的にイメージをするのは難しいことでしょう。
複数回の受験となる人は,もっとイメージするのが難しいかもしれません。疑心暗鬼になっているからです。
ネットでは,〇時間以上勉強したら合格できる,といった情報があります。
目安にしやすいからでしょう。
しかし,本当に重要なのは,どれだけ勉強するかといった勉強量ではなく,どのような勉強をするのかといった勉強の質です。
国試での得点力に結びつきにくい勉強法として,真っ先に挙げたいのは,参考書に書いてあることを丸暗記しようとすることです。
非効率であるとともに,文章をちょっと変えられただけでも対応が難しくなります。
第28回・問題21 社会問題の捉え方に関する次の記述のうち,構築主義的なアプローチとして,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会がどうあるべきかについては,多くの人々に共有されている規範が存在するので,これに反するものが社会問題と認識される。
2 社会は統一されたシステムを成しているので,その目標達成にとってマイナスに働く事象は,社会問題と認識される。
3 社会問題とは,客観的に実在し誰の目にも明らかな現実として存在するものである。
4 社会問題とは,専門家でなければ可視化できないような,現代社会におけるリスクのことである。
5 社会問題とは,自明なものとして存在するのではなく,人々が主張することを通して認識される問題である。
この問題の詳しい解説
https://fukufuku21.blogspot.com/2020/11/blog-post_16.html
正解は,選択肢5です。
5 社会問題とは,自明なものとして存在するのではなく,人々が主張することを通して認識される問題である。
構築主義を正しく理解しないと次の問題は解けません。
第32回・問題21 社会問題は,ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会統制論
2 緊張理論
3 文化学習理論
4 構築主義
5 ラベリング論
構築主義を正しく理解することで,瞬時に答えがわかる問題です。
正解は,選択肢4です。
過去記事では,以下のように述べました。
構築主義とは,
社会問題は,ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出される
ととらえるものです。
具体的には,社会問題は,誰の目にも明らかなものとして存在しているのではなく,誰かが社会問題だと出張することで,社会問題として認識されることを構築主義といいます。
より具体的には,マイノリティの人たちが,そこから生じる不利益を改善するよう求めることで,マジョリティの人たちが「これは社会問題なんだ」と認識するようなことです。
具体的には
先住民族
LGBT
環境
といったものです。
ここまでは,過去記事からの抜粋です。
さて,それでは合格できる勉強法とは,どんな勉強法でしょうか。
今まで書いたことからイメージできますか?
極論を言えば,中学生に説明できる知識にすることです。
これはかなり高度なものになりますが,
急がば回れ
これができるようになれば,国試の中で難しめな理論系の科目は攻略できます。
今回は,2問紹介しました。
1問目は,第28回
2問目は,第32回
3年の過去問では,カバーしない範囲からの出題であることに着目です。
この学習部屋で直近の国試問題を取り上げない理由は,直近の国試問題は傾向として参考になるものの知識としては必要とされないからです。
ということで,次回からは,第30回国試問題を取り上げていきます。